Wonderful Life 歌詞 七尾旅人 ふりがな付

ああ 誰だれかが夜空よぞらを見上みあげ 思おもいがけない 幸運こううんを思おもう
ああ 誰だれかが夜空よぞらを見上みあげ 思おもいがけない 幸運こううんを思おもう時とき

そのベランダの上うえ 屋上おくじょうでは
飛とび降おりようか 飛とび降おりまいか 迷まよっている男おとこがいて
節ふしくれだった指ゆびで 錆さびた鉄柵てっさくを握にぎりしめ
ぼんやりとこれまでの痛いたみの記憶きおくを反芻はんすうしている
子供こどもの頃ころから安堵感あんどかんを 感かんじたことがないから
音楽おんがくと音楽おんがくの間あいだの 静寂せいじゃくが怖こわかった
そばで話はなしかけてくれる存在そんざいの代かわりに
こんなレコードをかけ続つづけて 恐怖きょうふを紛まぎらわせて

Wonderful Life

そんな男おとこのさらに上うえを 薄汚うすよごれた渡わたり鳥どり
キーキーキーキーと雑音ざつおんを立たてて 静寂せいじゃくを埋うめてしまった
おかまいなしさ これから終おわっていく男おとこのことなんて
そして鳥とりたちの上うえには 灰色はいいろの雲くもが広ひろがっている
地上ちじょうの何なにかが蒸発じょうはつして あの雲くもになったというなら
さっきのしょうもない精液せいえきやよだれや何なにかも
雲くもになってしまうんだろうか
魔法まほうのように

Wonderful Life

広ひろがっていく雨雲あまぐもを気きにしながら
商売しょうばい相手あいてにもたれて歩あるく ひとりのおんな
濃厚のうこう接触せっしょくはいやだけど そうも言いっていられない
ペストの時代じだいにだって 人々ひとびとはこう叫さけんだ
「働はたらくなというなら 食たべるものをくれ」って
家いえではあの子こが待まってる ひとりぼっちで
その小ちいさな手てのひらだけが わたしの希望きぼう
おうちでまってて baby
なるべくはやくに
お金かね稼かせいで そこに帰かえるよ

Wonderful Life

おうちでまってる baby
ちいさいね、何歳なんさい?
父親ちちおやが死しのうとしてることに気きづいていない
行いかないで
行いかないで
行いかないでって言いってみることにはきっと意味いみがあるはず
なのに知しらないんだ
行いかないで 行いかないで
行いかないでくれよ 行いかないで
行いかないで 行いかないで
あなたを今いまも 愛あいしているのに

Wonderful Life

おうちでまってる baby
ほんとの天使てんし
おうちでまってる baby
きみはおれの天使てんし
おうちでまってて baby
なるべくはやくに
お金かね稼かせいで そこに帰かえるよ

Wonderful Life

誰だれかが夜空よぞらを見上みあげ 思おもいがけない幸運こううんを思おもう
誰だれかが夜空よぞらを見上みあげ 思おもいがけない幸運こううんを思おもう時とき

誰だれかが夜空よぞらを見上みあげ 思おもいがけない幸運こううんを思おもう
誰だれかが夜空よぞらを見上みあげ

Wonderful Life