「急いそいで,貴方達あなたたち?風神殿あねもんの神官様しんかんさまがお待まちよ?」
「んもぅ,新入しんいりィ。グズグズしてると、
アタイの鉄拳てっけんが日ひを噴ふくよォ?」」
「んふふ」「ごめんなさい」
女蛮族あまぞんのような腕力わんりょくはないけれど
芸げいのない唯ただの売女ぽるねとは違ちがうわ
嗚呼ああ...花代どらくまと真心まごころを引ひき換かえに美うるわしの夢ゆめを売うる...
敬愛する詩人そふぃあのような教養きょうようはないけれど
学がくのない唯ただの街娼でみえとは違ちがうわ
嗚呼ああ...元々もともと哀かなしき奴隷どれいの身みとはいえ
今いまは咲さき誇ほこる薔薇ばら【高級遊女】へったいら
花はな開ひらき風薫かぜかおる春はるを鬻ひさぐ以外いがい
身寄みよりなき娘むすめには何なにもないけれど
憐あわれみならば要いらないわ...馬鹿ばかにしないで...
アナタの其それは愛あいじゃない!
「っと、着ついたわねぇ」
「ぅわぁーぉ」
「ここが風の都いーりおん」
【風の都 】
「お前まえらーささと運はこべ」
「サボるんじゃない!」」
「貴様きさまらはここで、死しぬまでこの城壁じょうへきを
作つくり続つづけるんだ」
「さぁ、運はこべ!休やすむんじゃない!」」
「さっさと運はこばんかい コラァ!エェイ!!」
壁石いしを運はこぶ者もの 乾かわいた音おとに打うたれ
医師いしを叫さけぶ者もの 地ちに臥ふして虚むなしく
奴隷どれい達たちの多おおくは背後はいごに黒くろき影かげを纏まとっていた...
遺志いしを継つげる者もの 奴隷どれいの替かえ数多あまた
縊死いしを遂とげる者もの 冥府めいふへの逃避行とうひこう
その影かげは他ほかの者ものには視みえていないようだったが
少年しょうねんは何時いつからかその存在そんざいに気付きづいていた...そして――
その影かげを纏まといし者ものはそう遠とおくない内うちに確実かくじつに死しんでいったのである……
愛あいと慈いつくしみだけに 抱だかれ育そだった少年しょうねんは
怒いかりと憎にくしみだけを 抱だいて今いまを耐たえ忍しのぶ
いっそ死しんだらラクだなんて きっと今いまよりマシだなんて
酔よった譫言うわごと繰くり返かえして 去さった希望きぼうに追おい縋すがった
そんな負まけ犬いぬのように 運命みらに飼かい馴ならされはしない
たとえ奴隷どれいが犬いぬであれ 剥むくべき牙きばは忘わすれない
オオカミは奔はしる前まえに 満月まんげつに吠ほえる
「どこがイイんだい?言いってごらん?」
「息仔ねくろす…モット生せいヲ憎にくムガィィ…
ィズレソノ身みハ我わがモノトナル…」
「くそぅ、痛いてぇ…あの変態神官へんたいしんかんいつか、殺ころしてやる」
「よぉ、ブサイクちゃん!ひでぇツラだなぁ」
「フン、人ひとのこと言いえたツラかよ…」
「フ、フフッ、ちげぇねぇ!」「ハハハ」
人ひとは誰だれもが 死しすべき運命さだめを背負せおい
儘まま...抱だいて(抱だかれて) 寂さびしさを愛あいで埋うめる
されど彼等かれらの多おおくは 死しすべき運命さだめを呪のろい
儘まま...奪うばい(奪うばわれ) 虚むなしさで胸むねを満みたす
少女しょうじょの頬ほおを伝つたわる 清きよらかな雫しずくを
赤黒あかぐろき舌先したさきが 掬すくいかけた刹那せつな
繋つないだ手てと手て 駈かけ抜ぬける風の都いーりおん
降ふり注そそぐ星屑ほしくず 夕闇よいやみの風の都いーりおん
嘆なげきと死しの城壁しろ 聳そびえ立たつ風の都いーりおん
振ふり返かえる背後はいごに 遠離とおざかる風の都いーりおん
神域しんいきを穢けがした者ものを 風神ふうじんは決けっして赦ゆるさない
その怒いかりは 雨あめ女神めがみと交まじわり 娘むすめを生うむだろう……
「急isoいでide,貴方達anatatachi?風神殿anemonのno神官様shinkansamaがおgao待maちよchiyo?」
「んもぅnmou,新入shiniりriィi。グズグズguzuguzuしてるとshiteruto、
アタイataiのno鉄拳tekkenがga日hiをwo噴fuくよkuyoォo?」」
「んふふnfufu」「ごめんなさいgomennasai」
女蛮族amazonのようなnoyouna腕力wanryokuはないけれどhanaikeredo
芸geiのないnonai唯tadaのno売女poruneとはtoha違chigaうわuwa
嗚呼aa...花代dorakumaとto真心magokoroをwo引hiきki換kaえにeni美uruwaしのshino夢yumeをwo売uるru...
敬愛する詩人sofiaのようなnoyouna教養kyouyouはないけれどhanaikeredo
学gakuのないnonai唯tadaのno街娼demieとはtoha違chigaうわuwa
嗚呼aa...元々motomoto哀kanaしきshiki奴隷doreiのno身miとはいえtohaie
今imaはha咲saきki誇hokoるru薔薇bara【高級遊女】hettaira
花hana開hiraきki風薫kazekaoるru春haruをwo鬻hisaぐgu以外igai
身寄miyoりなきrinaki娘musumeにはniha何naniもないけれどmonaikeredo
憐awaれみならばreminaraba要iらないわranaiwa...馬鹿bakaにしないでnishinaide...
アナタanataのno其soれはreha愛aiじゃないjanai!
「っとtto、着tsuいたわねぇitawanee」
「ぅわぁuwaaーぉo」
「ここがkokoga風の都îrion」
【風の都 】
「おo前maeらraーささとsasato運hakoべbe」
「サボsaboるんじゃないrunjanai!」」
「貴様kisamaらはここでrahakokode、死shiぬまでこのnumadekono城壁jouhekiをwo
作tsukuりri続tsuduけるんだkerunda」
「さぁsaa、運hakoべbe!休yasuむんじゃないmunjanai!」」
「さっさとsassato運hakoばんかいbankai コラァkoraa!エェイeei!!」
壁石ishiをwo運hakoぶbu者mono 乾kawaいたita音otoにni打uたれtare
医師ishiをwo叫sakeぶbu者mono 地chiにni臥fuしてshite虚munaしくshiku
奴隷dorei達tachiのno多ooくはkuha背後haigoにni黒kuroきki影kageをwo纏matoっていたtteita...
遺志ishiをwo継tsuげるgeru者mono 奴隷doreiのno替kaえe数多amata
縊死ishiをwo遂toげるgeru者mono 冥府meifuへのheno逃避行touhikou
そのsono影kageはha他hokaのno者monoにはniha視miえていないようだったがeteinaiyoudattaga
少年syounenはha何時itsuからかそのkarakasono存在sonzaiにni気付kiduいていたiteita...そしてsoshite――
そのsono影kageをwo纏matoいしishi者monoはそうhasou遠tooくないkunai内uchiにni確実kakujitsuにni死shiんでいったのであるndeittanodearu……
愛aiとto慈itsukuしみだけにshimidakeni 抱daかれkare育sodaったtta少年syounenはha
怒ikaりとrito憎nikuしみだけをshimidakewo 抱daいてite今imaをwo耐taえe忍shinoぶbu
いっそisso死shiんだらndaraラクrakuだなんてdanante きっとkitto今imaよりyoriマシmashiだなんてdanante
酔yoったtta譫言uwagoto繰kuりri返kaeしてshite 去saったtta希望kibouにni追oいi縋sugaったtta
そんなsonna負maけke犬inuのようにnoyouni 運命miraにni飼kaいi馴naらされはしないrasarehashinai
たとえtatoe奴隷doreiがga犬inuであれdeare 剥muくべきkubeki牙kibaはha忘wasuれないrenai
オオカミookamiはha奔hashiるru前maeにni 満月mangetsuにni吠hoえるeru
「どこがdokogaイイiiんだいndai?言iってごらんttegoran?」
「息仔nekurosu…モットmotto生seiヲwo憎nikuムガィィmugaii…
ィズレソノizuresono身miハha我waがgaモノトナルmonotonaru…」
「くそぅkusou、痛iteぇe…あのano変態神官hentaishinkanいつかitsuka、殺koroしてやるshiteyaru」
「よぉyoo、ブサイクbusaikuちゃんchan!ひでぇhidheツラtsuraだなぁdanaa」
「フンfun、人hitoのことnokoto言iえたetaツラtsuraかよkayo…」
「フfu、フフッfufuxtu、ちげぇねぇchigeenee!」「ハハハhahaha」
人hitoはha誰dareもがmoga 死shiすべきsubeki運命sadameをwo背負seoいi
儘mama...抱daいてite(抱daかれてkarete) 寂sabiしさをshisawo愛aiでde埋uめるmeru
されどsaredo彼等kareraのno多ooくはkuha 死shiすべきsubeki運命sadameをwo呪noroいi
儘mama...奪ubaいi(奪ubaわれware) 虚munaしさでshisade胸muneをwo満miたすtasu
少女syoujoのno頬hooをwo伝tsutaわるwaru 清kiyoらかなrakana雫shizukuをwo
赤黒akaguroきki舌先shitasakiがga 掬sukuいかけたikaketa刹那setsuna
繋tsunaいだida手teとto手te 駈kaけke抜nuけるkeru風の都îrion
降fuりri注sosoぐgu星屑hoshikuzu 夕闇yoiyamiのno風の都îrion
嘆nageきとkito死shiのno城壁shiro 聳sobiえe立taつtsu風の都îrion
振fuりri返kaeるru背後haigoにni 遠離toozakaるru風の都îrion
神域shinikiをwo穢kegaしたshita者monoをwo 風神fuujinはha決kextuしてshite赦yuruさないsanai
そのsono怒ikaりはriha 雨ame女神megamiとto交majiわりwari 娘musumeをwo生uむだろうmudarou……