結婚の約束果たせなかった彼 歌詞 坊坊主 ふりがな付

兄あにのいない私わたしは 近所きんじょに住すむ8歳さい上じょうのいとこが大好だいすきで
良よく自転車じてんしゃに乗のせて あちこちへ連つれて行いってもらいました
いとこも妹いもうとを 病気びょうきで亡なくしていたので
私わたしを実じつの 妹いもうとのように思おもってくれたのでしょう

ある日ひ 二人ふたりで浜名湖はまなこに行いき ボートに乗のり食事しょくじをして帰かえりました
異性いせいを意識いしきしていなかった
14歳さいの私わたしはいつしか胸むねの高鳴たかなりを覚おぼえるようになりました

43年ねんの夏なつごろ いとこに召集令しょうしゅうれい状じょうが来きたのです
汽車きしゃの窓まどから日ひの丸まるの旗はたを 振ふりながら遠とおざかっていく彼かれ
その姿すがたに私わたしは 涙なみだが止とまらなくて 困こまりました

たしか中国ちゅうごく戦線せんせんからだったと思おもいます 戦地せんちから届とどいた封書ふうしょに
「もし復員ふくいんしたら 必かならず慶子けいこをお嫁よめさんにするからね」と
書かかれていて私わたしは うれしくてうれしくて
手紙てがみを抱だきしめ その日ひの来くるのをどんなに待まち焦こがれたことでしょう
でも終戦後しゅうせんご 戻もどってきたのは白木しらきの箱はこ 中身なかみは 紙切かみきれ1枚まいでした

私わたしは住すんでいた 静岡県しずおかけんから豊川とよかわ海軍かいぐん工廠こうしょうに
動員どういんされました 45年ねん8月がつ7日にち 2500人以上にんいじょうが亡なくなった空襲くうしゅうで
私わたしは着きのみ着きのまま裸足はだしで (命いのちからがら) 逃にげ回まわり
同級生どうきゅうせいは爆死ばくししました
その時とき大事だいじにしていた手紙てがみも寮りょうにあって焼失しょうしつしてしまい
(現在いまは) 何なにも残のこっていません

幸しあわせだった あの頃ころを思おもい出だすと 今いまも涙なみだがこぼれます
どんなことがあっても 戦争せんそうだけは絶対ぜったいにしてはいけない
私わたしは声こえを大だいにして 叫さけびたいです