Vant 歌詞 より子 ふりがな付

泣なき化粧げしょうの仮面かめんをつけた旅人たびびとの道化師どうけしは
生うまれた時ときから一度いちども泣ないたことがありませんでした

「母親ははおやが死しんだ日ひも平然へいぜんと祈いのりを捧ささげた。アイツは人ひとの子こじゃない」
誰だれもがそう云いいました

彼かれは旅たびに出でました
亡なき母ははが残のこしていった美うつくしい顔かおを塗ぬりつぶして一粒ひとつぶの涙なみだを描えがいて
自分じぶんの涙なみだでしか洗あらい流ながせないように
彼かれはこの仮面かめんに呪のろいをかけました

旅たびの途中とちゅうある街まちで不思議ふしぎな3人にんに出会であいました
知恵ちえを持もつ男おとこと力ちからを持もつ男おとこと幼おさない少女しょうじょ

運命うんめいに導みちびかれた4人にんの旅たびが始はじまりました
彼かれは生うまれて初はじめて本当ほんとうの仲間なかまを見みつけました

時ときは経たち 旅たびの果はてに
彼かれは仲間なかまを守まもる為ために自分じぶんの身みを捧ささげました

眩まぶしい程ほど青あおい空そらから 温あたたかな雨あめが一粒ひとつぶ二粒ふたつぶ
彼かれの頬ほおにこぼれ落おちてきました
見上みあげれば幼おさない少女しょうじょが泣ないていました

『泣なかないで 僕ぼくはいつも 側そばにいるのだから』

彼かれが目めを閉とじた時とき 突然とつぜんその泣なき化粧げしょうが音おとも無なく消きえてゆき
そこには幸しあわせそうに微笑ほほえんだ とても美うつくしい人ひとが眠ねむっていました
閉とじた瞼まぶたの渊ふちに 一粒ひとつぶの涙なみだを残のこして