8月16日にmusic card形式で新曲「キミと僕。/ 最強 Summer!!」をリリースするGEMが、7月8日、横浜赤レンガパークにて開催された『アイドル横丁夏まつり!!~2017~』から2017年の夏イベントをスタート。彼女たちの武器でもある高レベルのパフォーマンスと向日葵のような笑顔で集まった観客を楽しませたが、その裏側では死闘と呼んでも過言ではない、10人の魂のこもったライブが展開されていた。
最高気温33度、GEMメインステージ
最高気温33度と、赤レンガ倉庫一帯を灼熱の世界へと変える日差しを浴びて、GEMは勢い良くメインとなる1番地のステージに飛び出してくる。そしてアカペラでの村上来渚のシャウトに伊山摩穂の煽りが絡む「Do You Believe?」。熱気を帯びて昇華していくような高揚感で、会場を飲み込む大きなうねりを作り上げて、観客のボルテージを引き上げる。そもそも全国にあるエイベックス・アーティストアカデミーの各校からエースクラスのメンバーを集めて結成されるなど、GEMはアイドルという枠組みには収まりきらない実力派ぞろいばかり。しかし昨今、たとえば6月に行なわれた4周年記念ライブでは、オープニングSEなどを村上来渚が制作。小栗かこも一部楽曲の振り付けを担当と、自らの存在証明かのように、変化を厭わない攻めの姿勢をとり続けている。
そんな最新型のGEMが、これまでのGEMらしさとは異なる“ダイバーシティー”を打ち出した新曲といえば、圧巻の10人ヘドバンが披露される「キミと僕。」。また、もうひとつの新曲「最強 Summer!!」では、観客側がタオル回しにクラップ、そしてウェーブで、2017年の夏を歴史的な佇まいの中に描いていく。
潮風に髪をなびかせ、素肌に汗を浮かべて、文字通り熱唱に熱唱を重ねる10人。ところがここで、最高気温33度に会場のテンションが加わったせいか、アクアマリンの汗を飛び散らせてひときわアグレッシブなステージパフォーマンスを続けたためか、南口奈々の靴のソールが剥がれるというアクシデントが発生してしまう。異変に気づき、それが修復不能とわかるや否やステージ裏に一旦戻る南口。一部始終を目撃したファンの多くは別の靴に履き替えて出てくるのだろうと思ったかもしれないが、再び彼女が姿を見せた時、足元はなんと靴下のみ。午前中から数多くのアイドルたちが使用してきたこともあって、一切冷却されることなく、たとえるなら焼けた鉄板のような状態のステージ上。布一枚でその高熱を遮断できるはずもなかったが、それでも南口は、その後の「We're GEM」も含めて、靴下だけでステージに立ち、笑顔を絶やすことなくパフォーマンスを続けたのだった。
「最高な汗をかきました!」「また明日!」「体調に気をつけてこの後も楽しんでください!」と、最後まで笑顔で手を振りながら、GEMはステージを後にする。しかし大勢のオーディエンスを目の当たりにして、持てる力以上のものをすべてぶつけたのか、ステージ裏に設置されたテントに戻ると、激しい消耗でイスに座り込んで動けなくなるメンバーがでてしまうほどの過酷な光景が広がっていた。
5年目に入った2017年に“GEM VICTORY YEAR!!”を掲げたGEM。そのステージパフォーマンスに対する執念と気合いが垣間見えた、そんな『アイドル横丁夏まつり!!~2017~』だった。