シガコレの愛称で親しまれている、エフエム滋賀 e-radioが主催のアイドルイベント『UtaTen presents SHIGA IDOL COLLECTION 2023』が11月25日、滋賀県野洲市にあるシライシアター野洲(野洲文化ホール)で開催された。
同イベントは、e-radioが厳選した人気アイドルたちが滋賀に集結してライブを繰り広げるというもの。2019年以来、10回目の開催となる今回は、アルテミスの翼、カラフルスクリーム、Panic Monster !n Wonderland、#Mooove!、KiSS KiSS、ハロプロ研修生ユニット’23、#ババババンビ、Devil ANTHEM.、ばってん少女隊、真っ白なキャンバス、STU48、GANG PARADE、つばきファクトリー(出演順)の全13組が出演した。
アルテミスの翼
オープニングアクトを飾ったのは、アルテミスの翼。メンバーが「みんなで一緒に盛り上がっていきましょう」と声を上げて始まった「サイノーカイカー!」は、「(いざ)参らん」「ソレソレソレソレ」の歌詞と祭囃子調の楽曲がイベントのスタートにぴったり。
「初めてのシガコレ出演です。みなさんにアルつばを覚えてもらえたら。(最後の曲は)頭を振ったりできるんで」とMCをし、体全身から放つヘビーなボーカルがインパクト大の攻撃的ナンバー「LOCK ON!!!」で締め、15分間ながら気合十分のステージを見せた。
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カラフルスクリーム
本編のトップバッターをつとめたのは、カラフルスクリーム。「シガコレ、ついに始まりました。今日はみんなを幸せにします」と告げて、「ラブ」「大好き」の言葉が詰まった「感情はラブ!」で幕開け。スピード感ある歌唱、そしてステージの最前線に立ってアグレッシブに踊る「環状線」などで観客の心をつかんでいく。
さらに「みなさん、カラフルスクリーム、ラストスパートです。サイリウムをぶんぶん振り回してください」と扇動し、「Innocent Scream」では膝を高く上げるダイナミックなダンスの動きで観る者の胸を熱くさせていく。「もういっちょ」「ここから」という歌詞の「ジェラシック・ワールド」でファンの精魂を尽き果てさせた。最後のMC「関西で唯一選ばれたグループで、トップバッター。たくさんの方に見ていただけて嬉しいです」とコメント。“関西代表”としての意地を感じさせるものだった。
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Panic Monster !n Wonderland
Panic Monster !n Wonderlandは個性的な衣装で登場。良い意味での統一感のなさがグループのにぎやかさを演出する。そんな見た目にぴったりの曲「あわてんぼうのHalloween Monster」では「みんなもモンスターになって一緒に踊っていきましょう」の号令のもと、メンバーもファンも自由奔放に騒ぎまくった。「マスカレードアラモード」も、「もっと楽しくなる魔法をかけちゃうよ」と「あっち向いてほい」をするパートがあるなど遊び心満載。
「シガコレでみんなに会えるのをとってもとっても楽しみにしていました」と嬉しい気持ちが溢れるなか、メンバーそれぞれの声の特徴を活かした歌割りに興味が湧く「Mash! Mellow!!」、ハンドルを握ってドライブをする仕草が組み込まれた「おーばーどらいぶ!!」を披露。「またぜったい会おうね」と約束してライブを終えた。
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#Mooove!
SEが鳴る前、舞台裏から「おー!」という掛け声を響かせたのは#Mooove!。「初めまして、突然すみません。初めてのシガコレです」と謙虚に切り出しながら、すぐさま「おい、おい」といかつめな煽りを入れるメンバーたち。「いっせーのーで!」では観客に落ち着く隙をまったく与えないパフォーマンスを見せ、「クライマックスRookies!」は「顔を上げて」の歌い出しからポジティブオーラが全開。
中間MCでは姫野ひなのが「初めて新幹線に乗ったの」と無邪気に喜べば、赤間四季も「遠征はいつもバスだったからね。四季はひこにゃんに会いに来た」と滋賀の名物キャラクターとの対面を熱望。この日は気温が一桁台で寒かったが、夏のテンションで攻める「カタカナサマー」などで熱くさせ、「素晴らしいアイドルさんたちと、またご一緒できるようにがんばります」とシガコレを機にさらなる飛躍を誓った。
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KiSS KiSS
イベント終盤に登場するGANG PARADEと同じWACKから6人組のKiSS KiSSが登場。大人っぽさと無邪気さが混じったグルーヴィーなナンバー「KiSS KiSS SUNSET」でスタートダッシュを決める。「わんわんおーらぶ♡」ではサビで愛らしい犬のポーズを見せ、GANG PARADEの格好良さとは違ったチャーミングさが全面にアピールされた。
途中のメンバー紹介では、メンバーのチャンベイビーが「琵琶湖でちゃぷちゃぷ、ベイビーちゃん」と滋賀にちなんだ挨拶で楽しませる一幕も。暗がりのなかメンバーが手にしたサイリウムの灯りが美しく輝く「Twilight」、「シガコレ一緒に!」との掛け声に端を発してファンが「あぁ もうどうしよう」と合いの手を入れた「KiSSES」などで盛り上げた。
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ハロプロ研修生ユニット’23
ハロー!プロジェクトの偉大な先輩たちの楽曲の数々を披露したのは、ハロプロ研修生ユニット’23だ。°C-uteによるアイドル史に残るアンセム「Danceでバコーン!」のイントロが鳴ると「おおー」という歓声が沸き、ボルテージは最高潮に。メンバーのダンスの振付も一つひとつがパワフルで、ファンもその動作に合わせて「おい、おい」と声を上げる。「女で地球は回ってる」の小指だけを突き上げる仕草も、一切気を抜かずに指を立てていることが遠目でも分かる。
中間のMCでは、橋田歩果が「滋賀県(出身)のお笑い芸人さんといえば、ダイアンの津田さん。ゴイゴイスー」とモノマネを披露するお茶目な面も見せたが、「恋したい新党」の後ろ向きでフォーメーションチェンジをしてもまったく乱れない統制力、「ダイスキだけど付き合えない」における微妙な心理状態を表現する歌唱、「彼女になりたいっ!!!」でダッシュしたり腕を大きく回したりするなど一見自由度が高そうに見えてすべて動きが計算されている構成など、いずれも圧巻だった。
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#ババババンビ
#ババババンビは、武器である「バカ騒ぎ」をこのシガコレでもあますことなく発揮。メンバー同士の“格闘シーン”がある派手な楽曲「とぅーまっそ」でシガコレを自分たちの世界に染め上げ、「シガコレ、今日一番盛り上がっていくぞ」と「ばばばばんびずむ〜!!」「カノン」でステージ中を駆け回る。「カノン」では「君も君も君もとばして 君も君も君も騒ごう」と会場のあらゆるところに指をさしながら観客に笑顔をプレゼント。
ストレートな歌詞と疾走感のあるメロディが突き刺さる「キスしてほしい」からエモーショナルな空気も流れ始め、「BPM180」では「みんなで一緒にドキドキしちゃいましょう」と胸の高鳴りをファンと共有。#ババババンビの豊富な運動量、キュートな魅力が味わえたライブだった。水湊みおが「今日は初めての滋賀でのライブということで緊張していたんですけど」と話していたが、そんな様子をまったく思わせない#ババババンビらしい暴れぶりだった。
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Devil ANTHEM.
ひときわ大きくて太い重低音が会場を揺らし、迫力あるサウンドの波が観客を飲み込んでいく。Devil ANTHEM.のメンバーは、グループの名物であるLEDが仕込まれたグローブを着用して序盤から躍動。会場中に光線を駆け巡らせた。「滋賀、いくぞ」と先導し、「ミッドナイトドライブ」で夜のムードへ変えていく。「LINK」では派手さだけではなく繊細な歌唱表現でも観客を魅了し、高揚感を上げていく。
「Fever」では本来であれば煌びやかさを演出するレーザーのグローブが、感動を後押しする効果へ変わっていて、曲の個性によってアイテムの役割が異なることの面白味を感じさせた。また同曲はダンスのステップワークが特徴的でもあった。格好良さを見せつけたパフォーマンスの一方で「初めての滋賀で、衣装を忘れて…。ちょっと恥ずかしいんですけど」と黒いTシャツの自分たちの姿を見合って苦笑い。「次は完ぺきな状態でまた会いに来てください」と呼びかけた。
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ばってん少女隊
「九州を拠点に活動しておりまして、初の滋賀でのライブとなります。滋賀っぽいもの、食べました?」「近江牛を食べました」「(ケータリングの)サラダパンが気になっていて、ゲットして帰りたい」「ホテルで琵琶湖の水を飲んだよ」と滋賀グルメにハートをつかまれていたのは、ばってん少女隊。彼女たちにしか出せない九州の地域性を出した曲「OiSa」、腕を斜め上にまっすぐ伸ばして手首を曲げる振付から始まる「でんでらりゅーば!」など、古今的要素を取り入れた表現の数々がクセになる。
またシガコレに出演した他のグループとは異なり、抑制を効かせた動きも特色がある。絶妙な温度感だ。手や腕を組んだりして輪になって踊るヨーデルを彷彿とさせる「さがしもの」では、観客も一緒に飛び跳ねて楽曲を満喫。「琵琶湖のパワーをもらって精一杯盛り上がっていくぞ」とステップのスピードを上げていった。「嬉しいね」「また滋賀でライブができるように」と充実の表情を浮かべていた。
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真っ白なキャンバス
事前のグループ紹介で「いろんな私たちを見せます」とアナウンスされた真っ白なキャンバスは、その宣言通り、美しさからハードな面まで幅広い表現で観る者を惹きつけた。「キャンディタフト」で麗しいハーモニーや「好きだ」というダイレクトなメッセージを聴かせ、続く「ダンスインザライン」では「踊れ!」の合図とともに攻撃的な曲調でワイルドなパフォーマンスを披露。そのグループ名や佇まいとのギャップで楽しませた。
「ぼっち」は横一線に並んで真っ直ぐ前を見据えて歌唱するフォーメーションだけでも、曲の登場人物の想いが伝わってくる。一方「ああ もう ごちゃごちゃうるせえな 心よ」という歌詞は鬼気迫る歌いぶりだった。「アイデンティティ」含め、生命力がみなぎる、強い意志を感じたセットリスト。「滋賀県に4年ぶりに来させていただきました。4年経っても滋賀県で応援してくださる方がいるんだなって思うと、嬉しいです」と気持ちを口にしてステージを降りた。
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STU48
「花は誰のもの?」では、膝をつく振付で「もしこの世界から 国境が消えたら 争うことなんかなくなるのに」と訴えかけ、「僕たちは自由を諦めない」と絞り出す。アイドルとしての華やかさを備えながら、時代の代弁者にも映るSTU48。「暗闇」もメロディに収まりきれないほどの言葉数が溢れ出る。そして「防波堤の上に立って 僕は叫んだ」の歌詞に合わせて防波堤から飛び込むような“演劇性”。
STU48のライブは音楽であり、物語でもある。あらためてそう印象付ける内容で、特異な存在感を発揮した。ただMCでは打って変わって「滋賀―! 滋賀―!」と無邪気に呼びかけたり、兵庫出身・小島愛子が、甲斐心愛から「関西の女、どうですか?」と滋賀の印象を尋ねられて「ほぼ初めての土地で緊張しているんですけど」と初々しく挨拶したりした。「ペダルと車輪と来た道と」はフルバージョンでパフォーマンスし「普段イベントでフルバージョンを披露することは少ないのですが、今日は(客席の)近くまで行くことができました」とステージを動き回るなど、シガコレで“レア”なステージを作り上げた。
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GANG PARADE
GANG PARADEには、滋賀出身のメンバー、ユイ・ガ・ドクソンが在籍。MCでは「なかなか滋賀県でライブができる機会がなかったので、こんなに素晴らしいグループのみなさんとこうやって滋賀県で一緒に騒げるということがあっても良いのかって」と感慨深そうに語った。そんなGANG PARADEのステージは、メンバー数が今回のシガコレで最多となる13人とあって、壮大なエンタテインメントショーを鑑賞している感覚に。
「BREAKING THE ROAD」ではLEDライトが仕込まれたリストバンドの灯りが燦々と揺れ、手を振り上げて太鼓を叩くような振付ではファンも一緒になって腕を振りまくった。「SUPER PARTY PEOPLE」では音にバチバチとはめていくダンスが格好良く、しかもそれが13人の大所帯でおこなわれるので迫力倍増。「Gangsta Vibes」では、13人から5人へ、5人から8人へ……とステージ上の人数を目まぐるしく切り替えていくフォーメーションに目を奪われた。ラストの代表曲「Plastic 2 Mercy」の「まだ足りない」の歌詞パートのとてつもない爆発力は、シガコレ史に残るエポックメイキングとなった。
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つばきファクトリー
シガコレのトリを飾ったのは、つばきファクトリー。「低温火傷」は一人ひとりのボーカルがクリアに聴こえ、またそれぞれ立ち位置はまったくブレない驚異的安定度で披露されるダンスは絶品の一言。「間違いじゃない 泣いたりしない」も全員のボーカルが一切埋もれることなく、振付も指先まで集中力が行き渡っていることが分かる。「9人体制初のパフォーマンスです」と自己紹介したが、新体制になったばかりとは到底思えない完成度。
「勇気 It’s my life」では、両手で頬杖をついたり、頬に人差し指をくっつけたりする仕草があざとかわいい。「アドレナリン・ダメ」での高音のボーカルも乱れがなく、聴いていて気持ちが良いものに。「今夜だけ浮かれたかった」では観客席がこの日一番のサイリウムのカラフルな光りで埋め尽くされ、ラスト曲「帰ろう レッツゴー!」ではメンバー同士で抱き合い、手を繋ぎ、ファンに対して手を広げて笑顔をプレゼントするなど、思いおもいのやり方でシガコレに感謝の気持ちを伝えた。
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13組のパフォーマンスが終わり、最後につばきファクトリーが再登場して挨拶。新沼希空は「(9人体制初ステージは)緊張しました。今までも人数が変わったりしたけど、久しぶりに9人という少ない人数で。今まで12人で踊っていたのが9人になったので、配置が変わったりして『どうなるんだろう』って不安があったんですけど、みなさんの温かい声援で気持ち良くライブをすることができました」と頭を下げた。さらに「私はリーダーになったんです。それもあるし年齢的にも一番上なのでしっかりしなきゃなって。グループの目標はアリーナに立つことです」と堂々宣言。
また秋山眞緒は「つばきの輪がもっともっと広がってくれたら良いなって」と湖国でつばきファクトリーのファンが増えてほしいと願い、「個性的なメンバーがたくさんいるので、私は自分らしく、愛してくれる人を信じて活動して、愛を届けられるように頑張っていきます」と意気込みを語った。
全13組、約6時間の大型イベントとなった『UtaTen presents SHIGA IDOL COLLECTION 2023』。出演者も観客も全力を尽くしてライブを楽しんだ。
TEXT 田辺ユウキ
PHOTO ヨシモリユウナ