ガウディ建築「カサ・バトリョ」が誘う、現代アートとの新たな共鳴
もし、あの神秘的なガウディの傑作建築が、現代アートのキャンバスになるとしたら。バルセロナの象徴とも言えるユネスコ世界遺産「カサ・バトリョ」に、現代アート専用のギャラリーが誕生するというニュースは、多くの人々を驚かせ、そして期待に胸を膨らませています。これは単なるギャラリーの開設に留まらず、ガウディの精神を受け継ぎながら、最新のテクノロジーとデザインが融合した「生きた遺産」としての新たな挑戦です。2026年1月、私たちはガウディの創造性と現代アートの無限の可能性が織りなす、前例のない体験を目撃することになるでしょう。
歴史的空間に宿る現代の息吹：Mesuraが描く「ガウディの宇宙」
かつて、ガウディがその天才的な発想力で生み出したカサ・バトリョ。建物自体が唯一無二の芸術作品であるこの場所で、長らく非公開だった2階フロア（約230㎡）が、全く新しい現代アートの空間へと生まれ変わります。この壮大なプロジェクトを手がけたのは、バルセロナを拠点とする建築事務所Mesuraです。彼らは、ガウディが残した歴史的価値を深く尊重しつつ、現代の技術と感性で空間を再設計しました。Mesuraの建築家カルロス・ディマス氏が「ガウディの宇宙にささやきのように寄り添う設計」と語るように、新ギャラリーの天井には水面の波紋のような湾曲した金属構造が配され、訪れる人々を幻想的な世界へと誘います。最新のロボット技術を駆使しながらも、オリジナルの木工やステンドグラスといった要素は丁寧に保存されており、そのこだわりとリスペクトには頭が下がるばかりです。
▲ カサ・バトリョの象徴的なファサード
▲ 新ギャラリー内のイメージ。天井の水面模様が印象的。
この新たなギャラリーは、2021年から始動している芸術プログラム「Casa Batlló Contemporary」の一環として展開されます。Refik AnadolやSofía Crespo、Quayolaといった世界的なアーティストたちとコラボレーションし、建築とデジタルアートの融合を試みてきたカサ・バトリョ。今回のギャラリー開設は、その活動をさらに深化させるものとなるでしょう。
UVAが彩る光と建築の異次元体験、バルセロナの夜空に輝くスペクタクル
新ギャラリーのこけら落としを飾るのは、ロンドンを拠点とするアートスタジオ、United Visual Artists（UVA） によるインスタレーション「Beyond the Façade」です。Matt Clark氏によって設立されて以来、光、建築、そしてテクノロジーを融合させた表現で世界中の観客を魅了してきたUVA。彼らの作品は、ただ見るだけでなく、空間全体を体験するような没入感を与えてくれます。ガウディ建築が持つ有機的な曲線や光の取り入れ方と、UVAの光とテクノロジーの融合が、どのように響き合うのか、想像するだけで胸が高鳴ります。
▲ UVA作品のイメージの一つでしょうか。建築的な図案に光の要素が重なります。
そして、同日には、カサ・バトリョの正面ファサードを使った大型プロジェクションマッピングも発表されます。建物自体が巨大なスクリーンとなり、UVAの創造性が投射される瞬間は、まさにバルセロナの夜空を彩る新たなスペクタクルとなること間違いありません。これはもう、アートファンならずとも必見です。
▲ カサ・バトリョの全体像。このファサードがどう変化するのか。
2026年1月31日オープン！ガウディ没後100年に繋ぐ未来へのメッセージ
気になるギャラリーのオープンは2026年1月31日（土）です。今後、新ギャラリーでは年間2回の現代アート展が開催される予定なので、いつ訪れても新鮮な出会いがあるかもしれません。入場はカサ・バトリョの通常見学チケットに含まれるほか、単独チケットでの入場も可能です。ガウディ建築の魅力を満喫しつつ、現代アートの最先端にも触れられるのは、旅の満足度をぐっと高めるでしょう。時間がない方も気軽にアート体験を楽しめる、嬉しい選択肢が用意されています。
館長のゲイリー・ゴーチエ氏は、このプロジェクトについて「これは単なる新設ではなく、“生きた遺産”としてのガウディ建築の可能性を広げる取り組み。世界建築首都としてのバルセロナの文化的存在感を高めるものでもあります」と語ります。2026年は、アントニ・ガウディ没後100年という節目の年であり、バルセロナが「世界建築首都」に指定された記念すべき年でもあります。このタイミングでカサ・バトリョが新たな一歩を踏み出すことは、過去の偉大な遺産が現代、そして未来へと受け継がれていく、その力強いメッセージなのです。もしあなたがバルセロナへの旅行を計画しているなら、2026年以降は、カサ・バトリョの新たな魅力を体験するチャンスをぜひお見逃しなく。ガウディの時代を超えた創造性と、現代アーティストたちの新たな視点が織りなす奇跡を、ぜひその目で確かめてみてください。
