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ニューヨークで世代を紡ぐアートの系譜:篠原一家「Generations」展が問いかける創作の深淵

ニューヨークのチェルシーに響く、三世代のアートの鼓動

ニューヨーク、チェルシー地区に位置するギャラリー「GOCA by Garde」にて、2026年1月8日より「Generations」展が開催されます。この特別な展覧会は、現代美術界のレジェンドである篠原有司男氏、その伴侶である篠原乃り子氏、そして息子の篠原アレックス空海氏という、三世代にわたる篠原一家によるグループ展です。単なる家族展の枠を超え、創作という根源的な衝動が、いかに血縁を通じて継承され、そしてそれぞれの世代で独自の変奏を遂げていくのかという、壮大なテーマがそこには脈打っています。生活と制作が不可分な環境で長年にわたり活動を続けてきた篠原家だからこそ表現しうる、濃密なアートの物語が、ニューヨークの地で展開されることに、多くの期待が寄せられています。


創作の系譜を紐解く「Generations」展の核心

「Generations」展が提示するのは、表面的な血縁関係だけではありません。彼らが共有してきた制作環境、身体性、そして物語性が、それぞれのアート作品にどのように息づいているのか、その問いへの探求こそが本展の核心と言えるでしょう。戦後日本美術の最前線を駆け抜けた父、個人史から普遍的なテーマを紡ぐ母、そして都市文化と同時代性を自身の表現に取り込む息子。三者三様の視点と表現が、一つの空間で交錯することで、鑑賞者は時間を超えた層を感じ取ることができます。展示作品の一つ、黒いインクの力強い飛沫が印象的な《Autumn Sunshine》(2025年)からは、まるで世代間で飛び交うエネルギーのような、彼らのクリエイティブな対話が感じられるようです。


黒いインクの飛沫が描かれた抽象的な絵画。白い背景に、黒いインクが様々な形で飛び散り、滴り落ちる様子が表現されている。
《Autumn Sunshine》(2025年)


三者三様の個性が織りなす「創作の衝動」

それぞれのアーティストが独自の視点で表現する世界観を、さらに深く掘り下げてみましょう。


篠原有司男氏:前衛のレジェンドが放つ不朽のエネルギー
戦後日本美術史にその名を刻む前衛芸術家、篠原有司男氏。1960年代に「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」を創設し、その後ニューヨークへと活動拠点を移しました。彼の代名詞とも言える「ボクシング・ペインティング」は、ボクシンググローブに絵の具を染み込ませ、キャンバスを打ちつけるという、身体そのものを作品化するダイナミックな手法で、世界中の美術館で高く評価されています。会期中に94歳を迎える篠原氏が、GOCA by Garde開館1周年を記念して制作した新作《Black on White》(2025)は、今なお衰えぬ創作意欲の証。その迫力ある作品を間近で体験できる、またとない機会となるでしょう。


画家が大きなキャンバスに黒い絵の具で抽象的な絵を描いている様子。
90歳を超えてなお創作に打ち込む篠原有司男氏の姿は、多くのアーティストに勇気を与えるでしょう。


2人の男性が、絵画の前で立っている写真。一人は若い男性で、黒いジャケットを着ています。もう一人は年配の男性で、オレンジ色のセーターを着ています。背景には抽象的な絵画があります。
作品の前で佇む篠原有司男氏(右)と、おそらく息子のアレックス空海氏(左)。


篠原乃り子氏:日常と記憶が紡ぎ出す詩的な世界
篠原有司男氏の妻であり、自身の半生を投影した「キューティー&ブリー」シリーズで国際的に知られる画家・版画家、篠原乃り子氏。彼女の作品は、コミック的な表現を用いながらも、アーティストとしての自立、夫との関係、創作を巡る葛藤、そして日常のささやかな出来事を、時にユーモラスに、時に切なく描き出します。個人的な物語を普遍的なテーマへと昇華させる彼女の表現は、多くの人々の共感を呼んできました。今回は近年の新作・近作を通じて、彼女の幻想的で詩的な世界観に触れることができるでしょう。


2人の人物が、パイナップル、魚、天使、渦巻きのあるカラフルな絵画。2人の人物は、それぞれ魚と渦巻きの中心にいるように見える。背景には建物とレンガの壁がある。
篠原乃り子氏の作品に見られる、物語性と個性豊かなキャラクター。


アトリエで作業をする老夫婦の様子。
長年、生活と創作を共にしてきた篠原有司男氏と乃り子氏。その深い絆が作品にも影響を与えていることでしょう。


篠原アレックス空海氏:都市の鼓動を捉える若き才能
両親から受け継いだアートの遺伝子を持ちながら、彼自身の独自の表現世界を築き上げているのが、息子の篠原アレックス空海氏です。ブルックリンを拠点に、都市の廃材やストリートカルチャーの感覚を取り入れた絵画や彫刻を制作しています。使用済みの段ボール、電線、工業用プラスチックといった「都市の痕跡」を素材として活用し、ネオンカラーやジェスチャー性の強い筆致で、スケートボードやバイクなどのモチーフを描き出します。彼の作品からは、現代的なスピード感や消費社会、そして都市に生きる人々の記憶が、個人的な物語として昇華されているように感じられます。


抽象的な絵画で、さまざまな形や顔が描かれています。パステルカラーが使用され、全体的に柔らかい印象を与えています。
篠原アレックス空海氏の作品。パステル調の色合いと抽象的ながらも具象的な要素が混じり合う。


世界へ発信するGOCA by Gardeと展覧会詳細

今回の展覧会の舞台となる「GOCA by Garde」は、ニューヨークのチェルシー地区に位置し、インテリアデザインをグローバルに展開する株式会社GARDEが手掛けるギャラリーです。日本およびアジアのアーティストを世界に紹介する拠点として、絵画、彫刻、陶芸など多彩な作品を展示しており、GARDE初の海外アートギャラリーとして注目を集めています。「Generations」展は、GOCA by Gardeの開館1周年を記念する特別な企画でもあります。世界有数のアートとカルチャーの中心地であるチェルシーで、日本の現代アートがどのような輝きを放つのか、その役割に期待が高まります。


絵画が展示されたアトリエの風景。様々な色と形の抽象的な絵画が壁に立てかけられ、画材や小物が置かれたテーブルが手前に見える。
アトリエの様子。ここから多くの傑作が生まれているのでしょう。


もしニューヨークに滞在する機会があるなら、この特別な展覧会はぜひ訪れていただきたい場所です。しかも、入場料は無料というのも嬉しいポイントでしょう。



  • タイトル: 「Generations」

  • 期間: 2026年1月8日(木)〜2月19日(木)

  • 住所: GOCA by Garde 515 W 23rd St, New York, NY 10011

  • 入場料: 無料


アートとは、時に個人の内面を深くえぐり、時に社会全体を映し出す鏡のような存在です。そして、その創作の衝動が「家族」という最も身近で普遍的な単位の中で、どのように紡がれていくのか――篠原一家による「Generations」展は、私たちにそんな問いを投げかけます。この展覧会が、日米のアートシーン、ひいては世界のアート愛好家たちに、新たなインスピレーションと対話の機会をもたらすことは間違いありません。ニューヨークの活気あるアートシーンで、ぜひこの「世代の鼓動」を感じ取ってみてはいかがでしょうか。


3人の人物が、絵の具が飛び散った壁を背景に立っている写真。左の男性は、赤いインナーと、絵の具で汚れたジャケットとズボンを着用している。中央の女性は、灰色のセーターと茶色のズボンを着用している。右の男性は、黒いセーターとジーンズを着用している。
GARDEのオフィスかギャラリーと思われる空間で、談笑する人々。

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