2015年5月にリリースされたウルトラタワーのシングル【希望の唄】この曲は、大人気アニメ『食戟のソーマ』の初代オープニングテーマとして話題となった。
まず、食戟のソーマとはどのようなアニメなのかを紹介したい。
主人公の幸平創真は実家の定食や「食事処ゆきひら」で、父親を超えるべく日々料理の修業に励んでいた。しかしある日突然、父親が店をしばらく閉めて海外で仕事をすると創真に伝える。納得のいかない創真に父親は、ある料理学校への編入を勧めた。
その学校の名は「遠月茶寮料理學園」卒業到達率10%未満の超名門エリート校だった。編入した創真を待っていたのは腕に自信のある強者達と、地獄のようなカリキュラムの数々だった。そしてこの学園には、料理を盾とし矛とする闘い「食戟」が存在する!
持ち前の料理技術と発想力を活かしながら、新たな料理のジャンルを学び、高見へと成長していく物語だ。
『希望の唄』はさすがは1発目の主題歌といおうか、個人的には1番作品とシンクロしていると感じる。
それを裏付けるように、アニメ第1期の最終回で挿入歌としても使用されているほどだ。主人公の創真の心情や、ストーリーの中で成長していく様が見事に歌詞に表れている。
――――
生まれ変わる 今ここで
仰いでいた 空超えていく
握りしめた掌のその中に希望があったんだ
――――
「生まれ変わる今ここで」からは、遠月で自分の知らない料理の世界を知って、料理人としての武器を増やして成長するという創真の強い意志が伝わってくる。その後の歌詞の「仰いでいた空超えていく」は、自分の遥か上にいる父親を超えたいという気持ちだ!
――――
目の前に広がる景色全部が
実はちっぽけだったと気づいた
例えば君と出会えば簡単に
世界はひっくり返る
――――
編入を勧められた時に創真は、金を払って料理をならうなんてアホくさいと考えていた。しかし入学して自分の知らない世界や、自分と同等かそれ異常に技術の高い強者達に出会ったことによって、「目の前に広がる景色全部が 実はちっぽけだったと気づいた」のだ。
作中でも「ゆきひらに籠ってたら知らないままだったのか」と自分が見ていた世界の狭さを感じており、改めてこの学校でたくさんの武器を増やすと決心している。「君と出会えば簡単に」の君は、後に秋の選抜で闘うことになるメンバーや、ヒロインの薙切えりなのことだ。
――――
知らないことだらけで 笑えてくるな
まだまだ先に行ける証しだ
――――
自分が知らないジャンルや自分よりも格上の料理人に出会うことで、まだまだ知らないことがたくさんあると気づいている。しかし創真の長所は考えることを辞めず、負けたり失敗してもいろんなことを吸収しようとする向上心があり、それがあるからこそ先に行けるという強い心が持てるところだ。
――――
追いかけてた 遥か遠く
譲れない思いも連れて
誰も知らない頂を目指していく 全て懸けて
――――
創真が思う「譲れない思い」、それは自分の店に対する誇りだ。作中では定食屋であるために周りから冷ややかな目で見られることも多いが、彼は自分の店に誇りを持っている。自分が今まで積み重ねてきたもの、これから得るものを全て活かして「誰も知らない頂を目指していく」という意志だ!
2期の秋の選抜では、たくさんの料理人を苦しめてきた美作との食戟を受け、条件として負けたら料理人を辞めると言い放った。非道な奴には負けない自分の「全て懸けて」見事美作に勝利した。
――――
ありふれたものに隠れてるような
特別を見逃さないように
例えば見る角度変えてみれば
違う生き物みたい
――――
創真は作中でトップクラスの発想力を持っている。駄菓子から料理のヒントを得たり、秋の選抜の決勝でサンマの目利きに苦戦しながらも、独自の方法で旨さを引き出すなど、「ありふれたものに隠れてる」答えを見つけることに長けている。考え方や「見る角度」を変えれば様々なものが輝いて「違う生き物」に見えるという意味だ。
――――
大層でなくていいよ 見栄は張らずに
その日その場で出せる最高を
――――
地獄の合宿編では特にこの歌詞がシンクロしている。限られた条件下の中で、自分だけの料理を作るにはどうしたらいいか、「その日その場で出せる最高」の料理で勝負をしたいという気持ちが伝わる。
――――甘い日も苦い日も浴びながら
僕ら 気づいていく 学んでいく
僕らしかできないことを
――――
難関な試験をクリアしたり、仲間と刺激して成長することもあれば、四宮との食戟に負けたり、秋の選抜でも準優勝だったりと苦い経験をすることもある。そうした「甘い日も苦い日も浴びながら」、自分にしか作れない最高の料理「スペシャリテ」にたどり着くのだ。
このアニメは創真はもちろんのこと、キャラクターそれぞれに得意分野や強い個性がある。彼らが刺激し合って成長していくストーリーをこの曲は全て表現している。このようにアニメの内容と合わせながら曲を聴くのも、主題歌ならではの楽しみだろう!
TEXT:.SHIN