革命を起こそう
小山田壮平(Vo/Gt)、藤原寛(Ba)、後藤大樹(Dr)によって2007年に結成されたオルタナティヴロックバンド、andymori。2010年に後藤が脱退し、同年、岡山健二(Dr)が加入し、2014年に解散した。彼らの楽曲は、ユーモラスな世界観と現実感が入り混じる個性的な歌詞が魅力である。今回は、彼らの3rdアルバム「革命」に収録されたリードトラック「革命」の世界を見ていく。
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革命を起こすんだ 夢を見るんだと誰もが今夜祈るわけは
革命を起こすんだ 風を待つんだと誰もが胸踊らせるわけは
リンリンリンと電話が鳴って 呼んでるんだ 熱が騒ぐんだ
≪革命 歌詞より抜粋≫
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もしも、何も変化のない日常を変えられるなら。もしも、現在いる場所から遠い見たこともない場所にいけるのなら。何もない日常の中で、夢や理想を考えてしまう夜があるだろう。
イマを変える。理想の姿を手に入れる。といった“革命”を起こしたいと、イマを想う全ての人が考える。
その期待が、心の中で電話のように鳴り続ける。その騒ぎの熱はエネルギーに代わり、自分という人間を動かす原動力になる。
イマを変えたいと願うエネルギーは、少し先の世界へ繋ぐ力になる。
いつか誰かの為
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100回 1000回 10000回叫んだって
伝わらない 届かない想いは
100日 1000日 10000日たった後で
きっと誰かの心に風を吹かせるんだ
≪革命 歌詞より抜粋≫
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しかし、革命の想いだけで、イマを変えられる保証はない。
現実世界で持った願いのエネルギーだけでは、理想の姿に届かない可能性がある。
努力や気合いだけで変わる世界もあるかもしれないが、だいたいはそこに、現状の境遇やその瞬間の運なども加味され、望ましくない未来にしかたどり着けないものだ。
“100回 1000回 10000回”の革命の声が何処にも届かず、世間に流れる現実の風に流されて消えていく。その光景は、決して珍しいものではなく、むしろ、ほとんどの人間が持つ、現在の姿なのである。
だが、だからといって革命の音が無駄になることはない。
風に流された革命の音が、今じゃないいつか、自分の知らない第三者の心を動かすきっかけになるかもしれない。
その考えや想いが、誰かの心の中で意識すらしていなかった夢の端に触れ、その夢を動かすエネルギーになることもある。そしてそのまま誰かが、理想の姿にたどり着くかもしれない。
その可能性を考えるだけで、自分自身では叶えてあげられなかった夢と、それを動かそうとした革命の音が無駄になることはない。
自分の夢が自分だけでは繋げられずとも、誰かの人生へ繋げて変えることはできる。それも一つの“革命”なのであろう。
誰かに、自分に、繋がる
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100回 1000回 10000回くり返して
伝わらない 届かない想いは
100日 1000日 10000日たった後で
夜明けを待つ心に風を吹かせるんだ
≪革命 歌詞より抜粋≫
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“届くことのなかった革命の想いを、途絶えさせず表し続ければ、きっと無駄にならない。その想いが届いた誰かの夢へと繋げることができる。”
そういった想いに対する希望を感じるだけで、逆に自分の願いを持ち続ける力になっていく。
その力を心の中に貯めておけば、やがて、困難が訪れた際、未来へと繋げていけるエネルギーとして利用することができるのだ。
それが夢や理想とは関係のない困難でも、必ず何処かで力になることは間違いない。
叶えられずとも鳴らし続けた革命の音は、いつか来る”夜”を”朝”に導いてくれる力を、遠回りかもしれないが、与えて人生を繋いでくれる。
イマを想い、未来を繋いでいきたい全ての人は、”革命を起こすんだ”と、いつかの為、そして自分を含めた誰かの為に、この言葉を今夜も響かせ続けよう。
TEXT 京極亮友