このフレーズ聞いたことあるでしょ?
「フォロミー♪フォロミー♪フォロミー♪フォロミー♪ベイベー♪」印象的なこのフレーズ。モデルばりのルックスを兼ね揃えたメンバーたちがキレのあるダンスを見せるE-girlsの代表曲『follow me』だ。
この曲は一見、主人公の女の子が大好きな男の子を連れまわして気持ちを伝えるという幸せそうな世界観に解釈できるが、よく見てみるとそうでもない。冒頭の歌詞を見てみよう。
follow me
----------------
高いビルの展望台のぼって
君とふたり(We can fly Don’t you think so? Hey)
広い空と小さく見える街
ドキドキしちゃう(I don’t know why my heartbeat is too fast)
≪Follow Me 歌詞より抜粋≫
----------------
舞台が発表された。高いビルだ。空が広く見えて、街が小さく見えるほどの高さ。展望台まで来たらさぞかし見晴らしはいいだろう。
こんなところで何をしようというのか。綺麗な景色は見えるが、これが目的なのか。
おや、彼女の様子がおかしいぞ。「We can fly Don’t you think so? Hey」。「私たちなら飛べるってあなたも思わない?Hey」。えっ、何がHeyなんだ?ここから飛ぼうって冗談だろう?彼の凍りつく顔が浮かぶ。
続きを見てみよう。
彼女の暴走が止まらない!?
----------------
Fly So High
Follow Me! Follow Me! Follow Me! Follow Me! Baby
両手を(O-O-O-Oh) 広げて(O-O-O-Oh)
Fly So High
Lucky Me! Lucky Me! Never Be Unhappy Baby
このまま(O-O-O-Oh) 飛べそう(O-O-O-Oh)
君と出会ってはじめて自由になれた気がするよ
You Just Follow Me
≪Follow Me 歌詞より抜粋≫
----------------
飛ぶ気満々だ。両手を大きく広げて、目の前に広がる大きな空に向かって彼女は鳥にもならん勢いで飛び立とうとしている。「君と出会ってはじめて自由になれた気がする」らしいが、高層ビルの頂から飛び立とうと女の子に思わせる彼。
相当のイケメンか詐欺師か、催眠術師か。普段どんな付き合いをしているんだ、君たちは。
後半も彼女の暴走は止まらない。だが、前半の高揚した彼女の言葉とは少しニュアンスが違ってくることに注目してほしい。
心を離さないで!
----------------
ひとりじゃないそう分かっているから
走り出せる(I’m not living If you’re not by my side)
転びそうな瞬間心を
止めてくれる(Watchin’ me over and catchin’ my heart)
笑ってると気付かないの
スルーしてくアクシデント
時にちょっと曇っても
大丈夫
≪Follow Me 歌詞より抜粋≫
----------------
楽しく大空を羽ばたきたがっていた前半とは変わって、「彼がいないと前にすすめない」「間違ってつまずきそうな時は彼が私を止めてくれる」と彼の存在感が際立ってくる。
そして英語の部分。「あなたがそばにいてくれないなら私は生きていけない」「ずっと私を見て、私の心を離さないで」。
こういうことを言うシーンは決まっている。別れのシーンだ。彼から別れを切り出されて気が気ではない彼女がビルの屋上から飛び降りようとしているシーン。
彼に訪れていた限界
----------------
試して(O-O-O-Oh) みようよ(O-O-O-Oh)
強がってても本当は涙隠してる私に
You Just Follow Me
≪Follow Me 歌詞より抜粋≫
----------------
いつも天真爛漫の彼女は、彼とのアクシデントにも気づかずにスルーしてしまっていた。ちょっとぐらいなら大丈夫だと思っていたのは彼女だけで彼にはもう限界だった。
別れを告げられた彼女は「あなたと別れるぐらいなら死んでやる」と叫んで、彼が引き留めてくれるのを期待してビルの屋上に立った。
いつもの天真爛漫なキャラクターを保とうと強がっていたが、本当は飛び降りたくなんてないし、何よりもし彼が引き留めにきてくれないという事態になれば、それが彼女には一番ツラい。
「試してみようよ」は彼の気持ちを確かめてみようという彼女自身の奮起の表れだ。
別れたくない想いが強すぎた結果
涙を流して泣きたいというのが本音。高いビルから飛び降りるのも、彼に振られるのも嫌だろう。最後の「You Just Follow Me」が、狂気の叫びにしか見えない。
頼む、彼女を止めてやってくれ。
●E-Girls / Follow Me ~Short Version~
TEXT:田中利知