OPが流れた瞬間、持田香織の歌声に懐かしさを覚えたのは私だけではないはずだ。
今回は、このドラマに彼女の歌が定着した原点、2006年に放送された『結婚できない男』のOPである『スイミー』の歌詞を振り返りたい。
ヤツに似合わずポップで爽やか
----------------さて、前作のドラマを観ていた方ならば、彼がいかに偏屈な男かよくご存知だろう。
不思議なことがあるよ
きれいなことがあるよ
夏の匂い
青む風が ぼくを 通り抜ける
≪スイミー 歌詞より抜粋≫
----------------
阿部寛演じる桑野は、ドラマのタイトルから想像するイメージを裏切らない・・・とにかくユニークな男だ。
彼のテーマソングとも言えるこの楽曲は、何故かそんな彼のイメージに反し、Every Little Thingらしい爽やかさと優しさに溢れている。
夏の澄んだ晴天の下、すぅっと吹き抜ける風を感じ、爽やかに微笑む桑野を想像出来るだろうか。私には無理であった。
----------------かといって、OPがもっと陰気な楽曲だったり、彼の好きなクラシック音楽などにすれば良いのかと言うと、そうではないのだ。
夢うたう日々があるよ
とまどう日々もあるよ
君の匂い
滲む空に こころ 流れつけば
奥にかさばった
遠い日の想い
今なら 晒せるだろう
≪スイミー 歌詞より抜粋≫
----------------
もはやEvery Little Thingでなければ、持田香織の歌声でなくてはいけないのだ。
思うに、これは桑野をイメージした歌詞と言うよりは、彼に寄り添い話しかけているような世界観なのではないか。
“良い日もあれば、悪い日もある。それを繰り返して、いつかあるところにたどり着いたら、あなたもいつか素直になれるかもしれないよ。”という語りかけのように聴こえる。
前作では、見事ハッピーエンドを迎えていた桑野。そんな彼へ向けた優しいエールだったのではないかと感じられるのだ。
周囲のおかげで個性を発揮できる
----------------独身を貫く桑野だが、彼の日常生活は何故かいつも賑やか。
紡いだ日々があるよ
やさしい人がいたよ
水の匂い
まどろむ君が ぼくを 透かしてみる
≪スイミー 歌詞より抜粋≫
----------------
個性溢れる登場人物達に囲まれていた。
そんな人々と日々を重ねる桑野。彼は間違いなく変人だが、悪い人ではないのだ。
彼がたまに見せる不器用な優しさや人をハッとさせる発言。
周囲の人々は、それを桑野という男の魅力の一つとして気がついていたのだろう。
----------------スイミーは、赤い魚の群れの中に一匹だけ存在する黒い魚。
かたらずも
分かちあえるなら
ためらいもせずに 君に触れたいな
きらめいて 溢れだすように
日々を泳いだ
もうすぐ君に逢いにゆくから
≪スイミー 歌詞より抜粋≫
----------------
このキーワードをこのドラマに当てはめた持田は天才では無いかと思う。
周囲と異なる素質を持った人物というのは、とにかく俗世間で浮きまくる。
しかし、一見仲間外れにされそうな存在でも、自分のやるべきことや自身の価値を見失わなければ大丈夫。
集団や社会で胸を張って活躍できるのだ。
そうして日々を泳げば、積み重ねた経験は自分を強くする。
そうすれば、自信を持って、社会の荒波を泳いでいける。
・・・彼の場合は、その自信が凝り固まってしまったのかも知れないが。
桑野という男が日々を泳ぐ中で誰と、何と出逢って来たのか。
そして、今作ではどんな世界を泳いでいくのか。今シーズンも楽しく見守りたい。
TEXT 島田たま子
▷Every Little Thing オフィシャルHP ▷Every Little Thing オフィシャルTwitter ▷Every Little Thing オフィシャルFacebook ▷Every Little Thing YouTube Channel