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【歌詞コラム】女たちを、三代目JSBの胸ぐらに飛び込ませる歌詞とは

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今やショービジネス界の巨星となった三代目 J Soul Brothers。彼らの人気を支えているのはダンスナンバーではなく、バラードだ。「Unfair World」には冴えた文学テクニックが随所に光っている。

公開日:2019年11月20日 更新日:2019年11月20日


この記事の目次
  1. ・始まりは相手側の心情から
  2. ・逆らえないギャップ
  3. ・「だろう?」という曖昧な表現
  4. ・何もできないけどただ…
  5. ・三代目J Soul Brothers Profile
この歌は映画「アンフェア」の主題歌である。

今回は映画の世界観から離れ、弱い女性を前にした男の、理性と本能の葛藤という独自の視点で歌詞を分析する。

では、まずこの歌の冒頭から見てみる。

始まりは相手側の心情から


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「あなただけは信じてる」 呟いて君は目を逸らす
≪Unfair World 歌詞より抜粋≫
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歌いだしの歌詞はまず自分(アーティスト)側の心情を表すものが普通だ。

しかしこの歌では、相手側の「あなただけは信じてる」で始まる。

己の存在を“女の呟き”で隠すことで、この歌を、単なるラブバラードじゃないとリスナーに印象付けている。

しかも私が気になったのは「あなただけは」の「は」である。「信じてる」の前ならば「あなただけを」になるはずだ。

仮に「あなただけを信じてる」にしてみると、女の立場がぐんと上がり、女性管理職が若い新人君に「この仕事任せられるのあなたしかいないのよ。プレゼンきっと成功するよ」と圧を掛けているかの状況になってしまう。

あえて「あなただけは」とすることで、この女の外見上の儚さ、二の腕の白さ、細さなどを表現し、「君は目を逸らす」へのつながりによって、歌を聞くというより、ドラマの1シーンを見ている感覚を与えている。

そして


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何を見ているの?と 僕が問いかけたなら
「…星を見てる」 そう言った
≪Unfair World 歌詞より抜粋≫
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につながる。この第2のつながりによって、外見上のはかなさから、この女が精神的にもかなり崩れかけていることが分かる。

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今日も 忙しい 裏切りの街では 夜空に星なんて見えなくて
ビルの上の航空障害灯が 点滅するだけなのに
≪Unfair World 歌詞より抜粋≫
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この歌詞の最初のハイライトである。この歌詞をまともにとると笑いすら起こる。

この女は、ビルに点滅する人工的な光を星と間違えている。

道に落ちているレジ袋を白猫と間違えて、逃げないように恐る恐る近づく猫好きと同じだとも思える。

しかしそう思わせないのは冒頭の「あなただけは信じてる」である。

逆らえないギャップ


この女が呟いた2つの言葉“僕だけを信じてる”と「星(航空障害灯)を見てる」をリンクさせ、僕は彼女にとって本物の星じゃない、単なる危険を回避するためだけに働いている人口灯にすぎないのだと言っているのだ。

“俺はダメ男である”と宣言するのではなく、ダメ男であることに最高の香りをまとわせ、さりげなくリスナーの快楽中枢を刺激しているのだ。

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泣いていいんだよ この腕の中 疲れ果てて眠るくらい 泣けばいいさ
その哀しみに 触れられない僕は ただ君を抱きしめていよう
人は誰しも 光と影が 交差する世界の果ての 迷える旅人
色褪せてる 朝日昇るまで 一緒に眠りに就こう In unfair world
≪Unfair World 歌詞より抜粋≫
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彼女の悲しみとは何か?

その手がかりが「その悲しみに触れられない僕は」である。

もし彼女の悩みが恋人の裏切りだとしたら、“僕”は男として、その悲しみに対して自身を持って“そいつ”に殴り込みをかけられるはずである。

しかし「触れられない」というのは、“僕”が分からない悩み、女であることで,馬鹿にされた、彼女が思うような仕事をさせてもらえなかったという重要な内容であると推測できる。

にもかかわらず、僕はその悩みを解決するために、パワハラ上司に抗議することもせず、このときをチャンスに彼女と(たとえ性的つながりはなくても)一夜を共に過ごそうと言葉は悪いが企んでいるのである。

精神的な救いだけを求める女と、結局男であることに逆らえない“僕”との果てしなきギャップ。

足元を次第にすくっていく浅くて広いエロスの海に、あまたの働く女たちはいつのまにか溺れてしまうのだ。

しかし働く女たちは簡単に海から陸地へと連れ戻される。それが次の歌詞だ。


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希望の欠片捨てるたび 屋上へ君は駆け上がる
涙こぼれないように 九十度に首を曲げて
もどかしいほど 空を見る

そして 僕は 少し離れた場所で 愛しさを持て余しながら
心で君を守っているよ それが僕の愛だから
≪Unfair World 歌詞より抜粋≫
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まず彼女を見守り、そして彼女の悩みを聞き、そして一夜を共にするのが普通の話の展開だ。

それがまず、彼女の心の深淵に入り込み、一夜を共にしたあとで、彼女を遠くで見守るというのは、どう考えても順番が逆である。

では、この歌が普通に「希望“ゆめ”の欠片~僕の愛だから」で始まっていたらどうだろうか。

この男は、この女と何の接点もない状態で監視していることになり、“僕”は単なるストーカー男になってしまう。

つまり、まず彼女と既に精神的に懇ろになってことを最初に持ってくることで、彼女を遠くから見守るという行為はストーカー行為ではなく、紳士的な大人の男のたしなみにすり替わり、“僕のステイタス”がぐんと格上げされるのだ。

しかし“僕”はそのままずっと格上げしたままというわけではない。


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月も星も ひとりきりでは 決して光り輝いたりできはしない
夜の裏側 うつむいた誰かを 太陽が今照らしてる
君になりたい 君になって 何もかも僕が代わりに 乗り越えて行きたい
断ち切ること 出来ないやるせなさを 声が涸れるまで 叫び続けて
≪Unfair World 歌詞より抜粋≫
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彼女を一人にしておいて本当にいいのか?“僕”は彼女の太陽になるべきではないのか。

と、いかにも彼女への責任を深く考えているように見える。

しかし続く「君になりたい君になって」には、君の苦しみ悲しみを背負う覚悟と同時に、今すぐにでも彼女と一体になりたい欲望が、じわっと理性の隙間から染み出し、さらに「断ち切ることが出来ない」から“僕”は結局、人として彼女を見守るより、男としていや雄として彼女を求めたい方向へ傾いていることが分かる。

「だろう?」という曖昧な表現


そしてついに彼の結論は爆発する。

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明日はどんな嘘が君を
傷付けるのだろう?
その傷は僕がきっと
塞いでみせるんだ
明日はどんな闇が君を
苦しめてしまうんだろう?
君を照らすんだ Cry for your love
≪Unfair World 歌詞より抜粋≫
----------------
この歌詞に私は史上最強のエロスを感じてしまう。それが匂うのが「傷つけるのだろう?」「苦しめてしまうんだろう?」の「だろう?」である。

これが、“明日は嘘が君を傷つける” “明日は闇が君を苦しめる”だったら、明日限定で、君が傷つき苦しむ意味合いが強くなる。

それをあえて「だろう?」という、明日も彼女は傷つくのか?といかにも曖昧な含みを持たせることで、彼女の苦悩が無期限な状態なのだと印象づけているのだ。

これはつまり、明日も明後日もその次も半永久的に、彼女は汚い嘘や恐ろしい闇に襲われることを、“この僕なら”絶対に予測できる言っているのだ。

さらにそれに対して、「僕がきっと塞いでみせるんだ 君を照らすんだ」と言っている。

この“僕の激変を穏やかに考えるとすれば、勇気を振りかざし最も美しい男に生まれ変わった感動すべき瞬間と言える。

が、裏を読むと、この「るんだ」という、大人の男が決して口にしてはおかしい、やや幼い言葉には、彼女を仮にも力づくでモノにしても、“僕”は許される、“僕”にはその権利があるんだぐらいの、雄の臭い丸出しの危ない自信に満ち溢れているのだ。

何もできないけどただ…


そしてこの歌はこの歌詞で終わる。

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泣いていいんだよ この腕の中 疲れ果てて眠るくらい 泣けばいいさ
その哀しみに 触れられない僕は ただ君を抱きしめていよう
人は誰しも 光と影が 交差する世界の果ての 迷える旅人
色褪せてる 朝日昇るまで 一緒に眠りに就こう In unfair world
≪Unfair World 歌詞より抜粋≫
----------------

この歌詞が単なる繰り返しに置かれたものではないことは言うまでもないだろう。

まず注目したいのは「ただ君を抱きしめていよう」の「ただ」である。

最初の歌詞の「ただ」は、僕は何もできない、君の心の入り口にも行くことはできない、まして君の傷を癒すことなんてできやしない、けど、君がこんな“僕”でもいいのなら、何の役にも立たないけど、「ただ君を抱きしめていよう」という意味合いになる。

しかし、ラストの締めくくりの「ただ」は全く意味合いが異なる。つまり、この「ただ」には君の傷、闇といったものははっきりいってどうでもいいのだ。


今この部屋で、「色褪せてる朝日昇るまで」、ただ肌と肌を合わせ、ただの男と女として抱き合っていよう ただそれだけだと言っているのだ。

私は男より強くなりたい、強くなって会社を、そして日本を変えたいんですと訴える働く女たち。

いや女は結局強くなりたくないんですと女の本音を暴く作詞家小竹正人。

その両者を腹の底に据え置き、絶妙なエロスのマグマを制御してみせる登坂広臣。

今日も女たちは三代目 J Soul Brothersの胸ぐら向かって駆け出してしまうのだ。

TEXT 平田悦子 

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