毎日が当たり前じゃないからこそ気持ちを大切に
──早速ですが、今回配信された『My Life』って、めちゃめちゃ壮大なテーマじゃないですか。このタイミングにこのテーマで曲を制作されたきっかけって何かあったんですか?CHIHIRO:デビューしてラブソングをずっと一筋で書いてきたんですけど、私のラブソングを聴いてくれて一緒に進んでくれたファンの女の子からくる質問や悩み相談の内容が、だんだん仕事とか夢とか結婚とか、色々なものが絡まって難しくなったからこそ出るものが増えてきて。
周りが結婚しだしたとか、仕事の環境が変わったとか、何かやりたいことを見つけたとか、でも、人の声を気にして無理だと勝手に終わらせちゃったり、「今更…」とか「どうしたらいいか分からない」って進めなかったり、誰かと比べて自信をなくしたり。そういう恋愛にも恋愛以外にも通じるものをラブソングじゃない形で歌ってみんなの背中を押せる曲を書きたいと思って書いてみました。
──今作に限らず今後もこういったラブソングという形以外で曲を制作されたりっていうところも視野に入れていらっしゃるような感じですか?
CHIHIRO:今の時代を生きている女の子に向けて曲を書きたいから、今みんなはこんなことで悩んでるっていう時代に合わせた曲を書く上では、またこういう挑戦があってもいいなと思います。
やりたいことに向かう姿がダサいと思ったり、誰かに反対されても、自分がそれで「ダメじゃん」って思ったらダメで、終了しちゃう。女の子はきれいなところばっかり見せたがるから、本当の自分が出せないみたいなことがあると思うけど、いろいろマイナスに思う前にまず行動してみて、行動して頑張った後に見えたものから答えを出せばいいじゃんって思って、そういう歌が書けたらいいなと思って『My Life』は書きました。
──今は色々な情報があるから、自分自身で選択しているようで人の経験や価値観に踊らされているだけだったりしますしね。そんな中で自分のやりたいことをまず持つことも難しければ、それを信じて行動することってもっとハードルが高いことだと思うんですけど、その一歩踏み出す勇気ってどう考えてみたら持てるものなんでしょう?
CHIHIRO:私の場合は、音楽を一緒にやってきて自分の人生を変えてくれた方がいたんですけど、その方が事故で亡くなったんです、急に。さっきまで話していた人が急にいなくなって、音楽も一緒に作れなくなって、すごく立ち直るのに時間がかかったんですけど、その経験から初めて”明日何もできなくなるかもしれないし、明日いなくなるかもしれない”ってことに気づいて。
当たり前にみんな生きてるけど、当たり前って絶対になくて、恋人がいたとしてももしかしたらその人の運命の人がいきなり現れるかもしれないし(笑)、仕事だって明日無くなるかもしれないし、それが人生だし。
危機感を持つことが全てではないけど、当たり前に生きているのはもったいないなと思ったら今日が大事になるから、自分が持っている気持ちも大事にするし、やりたいことに対しても失敗することすら恥ずかしくなくなるんじゃないかなって。
私はそれで強くなったというか、考え方が変わったんです。生きるっていう事を実感しながら生きた方がすごく充実するんじゃないかなって思って。すごく難しいけど(笑)
──深い。なんとなく生きていると本当に忘れますけどね。明日が当たり前にあるなんて思っちゃいけないんですもんね。
CHIHIRO:そうそう。恋愛もそうじゃないですか。別れるまでこの人は当たり前にいると思うから、別れたら「はあー!」ってなっちゃう(笑)。
誰もが限られた時間の中で生きてることを忘れちゃいけないって感じるし、時間って一瞬一瞬の積み重ね。ぼーっと過ごしてるとあっという間に過ぎてしまうから、あの頃に戻ろうと思っても戻れない。やりたいことがあればやればいいんだよって思う(笑)
──本当に女の子が1歳1歳年重ねていくことってすごく大きいし、変化もありますもんね。
CHIHIRO:その1年1年を頑張った子って絶対輝いていると思うんです。だから、そっち側でいてほしいなって。ちょっとしたことで変わるから。
いくつになっても恋愛の悩みは一緒!
──『My Life』の制作にかかった時間はどのくらいだったんですか?CHIHIRO:ラブソング書くより難しくて、時間はかかりました。
もがいている感って人それぞれ違うし、何を基準に書こうかと思ったんですけど、私が「頑張りなよ」って言うような歌じゃなく自分で「私、頑張らなきゃ」って思う歌にしたかったので、一人の主人公というか女の子が一人でもがいていて、やっぱり自分で戦うしかないみたいな。そういう書き方をしたから、難しかったです(笑)。
──実際ここで歌われているような、女だから甘く見られたとか、人のタイムラインが羨ましくなったことってCHIHIROさんご自身経験あったりしますか?
CHIHIRO:結婚しなきゃいけないとかは言われました。「みんな結婚してるから結婚しなきゃいけないよ」とか。
切ない曲、叶わない曲を書いているのが多いから、それを音楽として聴いてくれている人はすごく共感してくれるけど、身内とか周りの人は「何を考えてそういう歌詞書くんだろう」みたいな(笑)
──『My Life』の1番の歌詞は割と主人公が大人なイメージなんですけど、逆に2番はもう少し若い層のイメージで、いろんな世代の悩みが歌われているような気がしました。女の子が持つたくさんの悩みの中から今回歌詞にされたものを選んだ理由は?
CHIHIRO:みんなが気にしていることとか、みんなが感じていることを集約しようとして書くので、それをどう歌の中で表現できるかっていうところを考えながら、色々なパターンを書いて、一番言いたいことを言えているのをはめていったような感じです。
──なるほど。じゃあもっと膨大な量色々あったんですね(笑)あとどんな悩みの候補があったんですか?
CHIHIRO:「あの時ああしていれば私こうだったのに」みたいなタラレバばっかり言う女の子のことを書いていたんですけど、ちょっと激しくなってやめて(笑)。
──激しくなって(笑)!言い過ぎてしまいそうになりますよね。
CHIHIRO:実は私なんでもはっきり言ってしまうタイプで、毒舌になってしまいそうになったので、抑えて聴きやすい感じにしました(笑)
──それもちょっと気になります(笑)。話は戻って、『My Life』っていうタイトルにピッタリな壮大なメロディーになっていて、ラストはゴスペルのような感じになっています。そういうアレンジをされた理由とか、CHIHIROさんの中でのブームなどがあったんでしょうか?
CHIHIRO:もともとR&Bのクラブ系でデビューしたので、R&Bが原点で好きで、ソウルとかゴスペルも大好きなんです。
ゴスペルって光を導くみたいな、すごくパワーのあるようなイメージがあって。結構コーラスもちゃんとシンガーさんに入れてもらって、クラップもみんなで生で入れたりしたので、前向き感が出ればいいなと思います。
──すごく豪華ですね。コーラス、人も入っているんですね、機械で入れているわけじゃなく。すごい。こだわりのって感じですね。ゴスペルっぽいコーラスのメロディーもCHIHIROさんが考えたんですか?
CHIHIRO:そうです。私が考えて、Elianaちゃんっていうミュージカルとかで活躍されているシンガーさんが歌ってくれました。
同じ事務所の方なんですけど、同じくらいの時期にデビューして、昔よくライブを一緒にやっていたんですけど。久々に会ったら実は同じ事務所だったんです(笑)!
──えー!そんな長い間お互いに気がつかないなんて(笑)!
CHIHIRO:そうなんです(笑)、それで是非ってことでコーラスを入れてもらって。
Elianaちゃんに私が1曲提供で作っているときに、ちょうど同時進行で『My Life』を作っていたのもあって。
──CHIHIROさんが提供されている楽曲も気になりますね。さて、『My Life』ですが、歌詞の中でCHIHIROさんが特に気に入ってるフレーズをご紹介していただきたいと思います。
CHIHIRO:最後の「頑張り抜いた先に答えが待ってるはず」っていうところかな。
やってみないと見えない景色って絶対あると思うんです。そこに立たないと分からない答えもあると思うから、何でも全力でやってほしいなって思っていて。
自分がダメだなって思ったりする出来事がいっぱいあってもそれも含めて全部自分だから、そんな自分の人生に自信をもって前向いて生きていこうみたいなところが一番この辺が言えているかなって思います。
──そのあとの歌詞からの「やり直したい過去だなんて 数えきれないほどあるけど」ってフレーズも勇気が湧きますよね。失敗とか後悔っていけないことじゃないって言ってくれている感じが。
CHIHIRO:そうです。
もちろん夢だけじゃなくて、恋愛でもやる前から諦めないで、とにかくやってみないとその失敗が次の恋に活かされるかもしれないし。逃げないでほしいなって。
──確かに、恋愛でいうと彼氏彼女っていう形にすごくこだわっていた気がするけど、仮に告白して彼女になれなくてもそれって失敗じゃなくて、新しい関係値をつくり出せるきっかけかも。
CHIHIRO:自分がいいと思う方向に行けばいいなって思いますね!
──私、今の若い子の恋愛感がすごく気になるんです。今って恋愛リアリティ番組みたいなのが多かったり、私の学生の頃とは全然違っていそう。CHIHIROさんの元に寄せられる相談の中で何か感じることあったりします?
CHIHIRO:今いる環境や、自分の立場によって、恋する相手も恋してはいけない相手も違うとおもうんです。例えば10代の子の叶わない恋の相談って、好きな人が先生とか同じクラスの子だったり、すごく年上の人とか。
逆に20代とか30代の子は会社の上司とか、誰かの彼氏とか。仕事だったり、バイト先だったり、お友達のお友達だったり。結局立場が違うだけで、片想いとしてはどの恋だってキラキラしていて、切なさもある。だから、対象は違っても悩むことは一緒じゃないかなって感じてます。
──なるほど、貴重なお話ありがとうございました。もう一つ作品に関して聞きたかったんですけど、ジャケット写真のイメージはどういった感じで?
CHIHIRO:扉と鏡が後ろにあるんですけど、女の子が新しい世界に行くみたいなイメージで、ちょっと上を向いているようなシルエットで作りました。結構ずっと強くありたい女の子みたいなイメージです。
──CHIHIROさんがデザインも考えられたんですか?
CHIHIRO:そうですね、アイデアを入れて、デザイナーさんがやってくれてコラージュみたいにしてくれて。
──おしゃれ。CHIHIROさんのビジュアルが入っていないのは珍しいですよね。
CHIHIRO:ちょっと変えてみました(笑)