幕張メッセがアニメ一色で染まった一日
▲PHOTO=shibata eri5人組ミクスチャーバンドFLOWが、2020年2月24日に幕張メッセイベントホールにてワンマンライブを行った。
FLOWがこの規模の会場でワンマンライブを行うのは初のことで、アニメ縛りリターンズと銘打ち、会場に押し寄せたファンを熱狂させた。
アニメ縛りは、2017年に日本青年館で行われたワンマンライブだ。アニメソングだけに絞った初の試みは、メンバーの予想を超え、10倍近い応募が殺到。
改めて、アニメソングへの熱量の高さ、そしてFLOWへの期待値の高さを証明する形となった。
翌年にはアニメ縛りツアーを敢行。さらに日本だけでなく南米にも足を運び、世界のファンを熱狂させた。
アニメ縛りライブは、日本アニメが日本内外で愛されていることを証明しただけでなく、FLOWの可能性をも広げた、特別なライブだといえる。
アニメソングだけでライブができるFLOWの強み
▲PHOTO=shibata eriアニメ縛りだけで、日本青年館でのワンマンライブ、日本国内ツアー、南米ツアー、そして幕張メッセイベントホールでのワンマンライブと、数多くのライブを実現させてきたFLOW。
彼らの強みは、アニメソングの多さにある。声優やアニソン歌手以外のバンドがアニメの主題歌を担当することは珍しくない。
しかしFLOWはタイアップの数が桁違いなのだ。
2018年に行われたアニメ縛りツアーに先駆けてリリースされたベストアルバム『FLOW THE BEST~アニメ縛り~』には、実に23曲ものアニメタイアップ曲が収録されている。
ライブのセットリストは20曲前後で組まれることが多いが、それを考えても十分にライブが成立する楽曲数だ。
バンドによっては、アニソンのイメージが定着することをいやがることもあるだろう。
しかしFLOWは、アニソンバンド、ロックバンド、そんなバンドの呼び方や立ち位置にこだわらない。
"ロックやアニメの壁を音楽で壊したい"というのが、FLOWを代表してKEIGOが言い続けてきたことだ。
彼らはその言葉を体現し続けている。
ロックやアニメにこだわらず、目の前にある作品と真摯に向き合う。
その姿勢があってこそ、アニメの枠を越え、アニメファンからも音楽ファンからも愛される名曲が生まれてきたといって過言ではない。
海外でも人気の高いFLOW
▲PHOTO=shibata eriFLOWの楽曲が海外でも愛されるのは、FLOWファンやアニメファンにとっては周知の事実だろう。
それは、メンバーも感じている通り、何よりも日本アニメが世界で愛されていることにある。
加えて、作品のことを考え、ファンのことを考え、真摯に曲作りに取り組んできたFLOWの音楽性にもあるのだ。
アニメを愛しているファンだからこそ、アニメの世界観を大切にし、自身もアニメ作品のファンであるFLOWの音楽をも深く愛すことができる。
ファンの中には、FLOWの音楽を通じて日本語を覚え、日本語でメンバーに話しかけてくれる人もいるという。
そのため海外公演では、日本語の歌詞を海外のファンが歌唱する場面が多々見受けられる。
FLOWの音楽は国境を越えて愛されるのだということを如実に示す事実だ。
『NARUTO』の主題歌『Sign』が快挙
▲PHOTO=kimura yasuyukiさて、今回の幕張でのワンマンライブへと導いた楽曲がある。
それは、FLOWがこれまで長年にわたって携わってきたアニメ「NARUTO-ナルト-」の主題歌である『Sign』の動画再生回数が2000万回を突破したことだ。
FLOWと「NARUTO」のタイアップは非常に多く、FLOWの代名詞ともいえる『GO!!!』を始め、『Re:member』や『SUMMER FREAK』『虹の空』、ファンに絶大な人気を誇る『Sign』と名曲揃いだ。
さらにNARUTOのゲーム「NARUTO×BORUTO 忍者TRIBES」のテーマソングとして『Break it down』も制作している。
ボーカルのKEIGOがいっているように、まさに、FLOWとNARUTOは戦友とも呼べる関係なのだ。
『NARUTO』だけじゃない!FLOWのアニソン
▲PHOTO=kimura yasuyukiアニメのタイアップ曲だけで23曲も持ち歌があるFLOW。
『NARUTO』でFLOWを知ったという人は多いかもしれないが、ここでは『NARUTO』以外の楽曲にも注目してほしい。
では、幕張メッセイベントホールでのライブで披露された名だたる名曲を、抜粋してご紹介しよう。
ライブは、アニメごとにコーナー分けされて披露された。まずは『コードギアス 反逆のルルーシュ』より、『COLORS』『WORLD END』『PENDULUM』だ。
中でも『COLORS』は非常に人気が高く、イントロだけで大歓声が巻き起こった。
会場を埋め尽くす色とりどりのペンライトはまさに『COLORS』だ。
『デュラララ!!×2 結』からはタオルを増して大盛り上がりする『Steppn' out』、『サムライフラメンコ』の楽曲『愛愛愛に撃たれてバイバイバイ』では、サイリウムを使用したダンスが披露された。
オタ芸をもパフォーマンスに取り込んでしまうところが、さすがアニソンを数多く手がけてきたFLOWらしい間口の広さだ。
▲PHOTO=kimura yasuyuki
FLOWにとっても新境地を切り開いたきっかけの楽曲『DAYS』は、『交響詩編エウレカセブン』の主題歌として、根強い人気を誇る。
同アニメの『ブレイブルー』で会場が青一色に、『BURN』(『テイルズ オブ ベルセリア』)で赤一色に染まったのは壮観だった。
会場を手拍子と青い光が包み込んだ『風ノ唄』(『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』)も印象的だ。
このように、FLOWの楽曲には『NARUTO』以外にも、ファンに愛され、FLOW人気の根底を担う楽曲が多々ある。
幅広い客層に愛され、ファンの心を掴んで離さない彼らの強み。
それは、アニソンだからと距離を置かず、間口を広く持ち、どんなことでも面白がって取り組む姿勢にある。
"音楽で壁をぶち壊したい"そんな夢も、彼らなら叶えてくれるだろう。そう思わせてくれるFLOWから、今後も目が離せない。
TEXT 岡野ケイ