嵐の33作目『Dear Snow』
嵐の33thシングル『Dear Snow』は、雪を題材にした楽曲。ただ、少し違うのは雪を迷惑者としてではなく、やさしく、かけがえのない存在のように描いているところ。
ふれると解けてしまう雪の儚さにポイントをしぼっており、この楽曲を聴いて雪への印象が変わる人がいたとしてもおかしくはない内容だ。
PVでの相葉雅紀に注目
以前に、畳にブーツ問題でファンを騒然とさせた時期もあり少し問題のある作品と言えるが、もしPVを観る機会があれば個人的に凍えるように膝を抱える相葉くんをオススメしたい。もちろん、嵐の他のメンバーもアンニュイな感じでドラマ以外では見れそうにない表情ばかりなので、全員をオススメしたい気持ちはあるのだが…。
その想い以上に、迷子になった子供のような相葉雅紀の姿に、母性本能をくすぐられてしまう私を許してほしい…。
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大奥の主題歌『Dear Snow』
Dear Snow
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鮮やかに染みついた 愛おしい面影
弱い自分を知った あなたに出逢ってから
抱えきれない痛みを押しころせば 届かぬ想い 募るだけ
雪はただ静かに まるであなたのように
この肩に 舞い降りて そっと微笑む
手で触れればきっと消えてしまうから このままで
ひとり 目を閉じ あなた感じる
≪Dear Snow 歌詞より抜粋≫
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今作『Dear Snow』は、よしながふみ原作で、嵐のメンバーである二宮を主演に、江戸時代の大奥を男女逆転させ描いた歴史改変SFとも言われる映画「大奥」の主題歌だった。
ニノ(二宮和也)が演じたのは水野祐之進という、困窮した実家を救う為に大奥に上がった一本気な青年で、8代将軍徳川吉宗の御内証、すなわち“初めての相手”にまでなる。
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雪はただ静かに まるであなたのように
この肩に 舞い降りて そっと微笑む
手で触れればきっと消えてしまうから このままで
ひとり 目を閉じ あなた感じる
永遠に叶わない それでも愛しい人よ
≪Dear Snow 歌詞より抜粋≫
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しかし、水野は大奥に上がる前から好いていた初恋の相手をずっと想い続けていた。その背景も考えると、この楽曲は水野の気持ちが色濃く出ている楽曲とも言える。
しかし本当は、この楽曲は水野だけでなく、むしろ吉宗の気持ちこそ反映した楽曲ではないだろうか…。
夜伽では自分の名前を呼んでもらえず、水野を救うためとはいえ自分から彼を手放してしまう吉宗。
彼女だって水野を想っていなかったわけではないというのに…最期まで、その想いを口にすることはなかった。
この作品の歌詞最後の一文。これは、まさしく水野への想いを語った吉宗の言葉だろう。
雪の本性
当然ながら雪は冷たい。なのに、そっと空から舞い降りてくる。
触れようとすれば簡単に人の熱で溶けてしまうほど脆いはずなのに、ひとたび積もれば迷惑なパワーを発揮する。
だからこそ、吉宗は水野祐之進を雪に例えたのだ。
自分の前にまでやって来れるほどの周りを惹きつける魅力と力強さを持ちながら、心の内ではずっと初恋の人を想っていた水野。
それはまるで、強さと弱さを兼ね備えた雪のようで。思わず目で追わずにはいられない。初めての相手だったのだから。
TEXT:空屋まひろ