結成25周年記念シングル
『VOXers』はゴスペラーズにとって通算52枚目のシングルで、記念すべき結成25周年記念シングルとしてリリースされました。
初回限定生産盤はCDとDVDに加えフォトブックもついた豪華な内容。
この曲のリリース後には25周年記念のライブツアーも敢行しています。
この『VOXers』、本人たちによるとグループ初の「ケンカアカペラ」とのことです。
確かに『VOXers』はリズムやベースも含め、全曲メンバーの声だけでレコーディングされたアカペラ曲です。
25周年という節目にボーカルグループという自分たちの強みを意識したのかもしれません。
しかし「ケンカ」とはおだやかではありませんね。一体どんな曲なのでしょうか?
メンバーを色で表現。リーダーはやはり赤?
----------------
In the Red corner
誇り高き試合巧者 真の狙いはひた隠し
テンカウントまで追い込む策士
≪VOXers 歌詞より抜粋≫
----------------
「Red corner」つまりは赤コーナーです。
ボクシングで言うと赤コーナーはチャンピオンが立つ場所。
そしてこのパートを歌うのはグループのリーダーである村上てつやです。
リーダーが赤というのは、戦隊シリーズの第一作目であるゴレンジャーの頃から戦隊ヒーローではお約束ですよね。
『VOXers』の歌詞ではこのように5人のメンバーそれぞれに色を付け、各パートの個性を引き立たせているのです。
----------------
In the Green corner
ブレることなきマシーン 緻密に叩き続けるビートの
振動が お前のスタミナを削り取る
≪VOXers 歌詞より抜粋≫
----------------
続いて登場するのは緑です。
このパートを歌うのは『VOXers』の作詞作曲も担当した酒井雄二。
「ブレることなき」「叩き続けるビート」などの歌詞は、この曲では主にリズムを担当している酒井自身のことを表しているのでしょう。
----------------
In the Yellow corner
最後に生き残れるのは
交差する読み合いに 本能が喰らわすカウンター
≪VOXers 歌詞より抜粋≫
----------------
黄色は黒沢薫です。
彼はカレーマニアとしても知られています。
ゴレンジャーではキレンジャーは大のカレー好きという設定だったので、もしかしたら、黒沢薫が黄色というのはそんな理由かもしれません。
ところで、ここまでの歌詞では各パートの歌詞に「テンカウント」「スタミナ」「カウンター」など、ボクシングの用語が頻出しています。
各コーナーに陣取ったメンバーが自分の声とスキルを武器に、お互い真剣勝負をするという内容なのです。
「ケンカアカペラ」というのはここから来ているのでしょうね。
個性豊かなメンバーが声とスキルで戦う
----------------
In the Orange corner
ボディを狙った低音波 wow
選びな ガードを下げるのか ダウンするかを
≪VOXers 歌詞より抜粋≫
----------------
続いてオレンジコーナーは北山陽一です。
ベース担当の彼の魅力は低音。
おなかに響くその低音で聴く者をノックダウンするのです。
----------------
In the Orange corner
ボディを狙った低音波 wow
選びな ガードを下げるのか ダウンするかを
≪VOXers 歌詞より抜粋≫
----------------
ラスト、青コーナーは安岡優です。
「堅い守りと有効打」という歌詞から、彼のまじめな性格がうかがえます。
作詞した酒井雄二が各メンバーをどのように見ているのかわかる気がします。
リングの上で戦う「ボクサー」
----------------
五角形のリング 互いのプライドを賭け にらみ合う
頂点をつなぐ 対角線はまるで Laser beam
それは光って 星の形を作る10種の関係
飛び散る汗ごと 声をぶつけ合う 命がけ
≪VOXers 歌詞より抜粋≫
----------------
ボクシングに見立て、お互いが自らの声とスキルで真剣勝負する『VOXers』。
その舞台は四角形ではなく五角形のリングです。
ちなみにタイトルにある「VOX」というのは声という意味で、ボクシングのボクサーは「BOXER」ですが、ゴスペラーズは拳ではなく声を武器に戦うので『VOXers』なのです。
「10種の関係」というのは、5人から2人組を作った場合の組み合わせ数を表しているのでしょう。
違うメンバー同士の対戦になれば違う色が生まれます。
それはメンバーの声が織りなすハーモニーと言い換えてもいいと思います。
25周年の節目のページに、自分たちは声だけで戦うチームなんだという決意を覚悟を改めて描いた曲なのかもしれません。
TEXT まぐろ