女子ならではの目線が光る描写
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あーなったのはなぜか今もわからない
あの言葉が頭から離れない
やらなきゃいけないこといっぱい
なのに今日に限って遅すぎるWi-Fi
10PM いつもならNetflix
ポップコーンとコークでビンジウォッチング
≪Living in the city 歌詞より抜粋≫
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こんな一節で始まるのが、日本が誇るガールズバンドのひとつであるSCANDALが2020年6月に配信リリースした『Living in the city』です。
ベース担当のTOMOMIが作詞作曲をし、完全自宅録音で制作されました。
彼女が綴る想いの詰まった歌詞に注目しながら、中身をみていきましょう。
歌い出しを飾るのは主人公の嘆きの言葉。
「あーなったのはなぜか」という口語的な表現によって、女の子らしさに加えアットホームな雰囲気を楽曲に与えています。
「あの言葉」が頭を離れない主人公。
しかし「やらなきゃいけないこと」も溜まっており、その葛藤がさらに頭を悩ませています。
「10PM」という歌詞から、深夜を舞台設定にしていることがわかります。
そしていつもはこの時間になれば楽しんでいるという「Netflix」。
くつろぎの時間にはお気に入りの映画を観て楽しむという人も、きっと多いのではないでしょうか。
まさにガールズバンドらしく女子の心境を細かに描写した歌詞が、とても印象的ですね。
夜をどう過ごすかが重要だ
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出来たばっかのコインランドリーfromベルリン
わざわざポンプフューリーキメて
そうやってなんとか騙し騙し
きっと誰にでもあるこんな夜を
どうやって過ごすかが重要
≪Living in the city 歌詞より抜粋≫
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生活感あふれる「コインランドリー」というキーワードが印象的なこちらの一節。
「ポンプフューリー」とは、ファッション好きであればきっと知っているスニーカーの名前。
ちょっとした外出に、ちょっとしたオシャレをして出ていく。
そんな些細なことに毎日の楽しみを見出しながら、日々を「騙し騙し」やり過ごす「夜」には、どこか思い当たるものがある人もいるのではないでしょうか。
そして、そんな聴き手それぞれの「夜」に対して「どうやって過ごすかが重要」だと投げかけています。
決して派手なことばかりが続く楽しい毎日だけではないけれど、悲観的にならずにその存在意義を確かめて欲しい。
そんな彼女の想いが詰まった言葉に思わずハッとさせられますね。
どんな状況でも未来に期待したい
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ここは東京
Living in the city
少しずつ I become me わかってく
誰よりも自分のこと
Living in the moment
何度でも笑って泣いて
最後にはいつだって前を向いて
未来に期待したい
≪Living in the city 歌詞より抜粋≫
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タイトルにもなっているキーワードが登場するこちらの一節。東京の街に生きる主人公の想いが語られます。
「I become me」は直訳すれば「私になる」という意味。
ゆっくりとした時間の中で様々な葛藤と共に自分と向き合うことで「少しずつ」自分の本当の姿が見えてくる。
そんな素敵な夜を、クールに描き切っています。
笑ったり、泣いたりを繰り返して前に進んでいくのが人生というもの。
時には真っ暗闇の中に取り残された感覚になる日もあるでしょう。
ですが「最後にはいつだって前を向いて」いるだろうと結論がつけられます。
今がどんなに退屈で暗い日常であったとしても「未来に期待」する価値は十分にある。
そんな心温まる力強いメッセージを歌詞の中に込めているようです。
様々な状況の中で、苦しい毎日を強いられることも多い現代の社会。
そんな中『Living in the city』が、ひとつ心の拠り所になってくれるかもしれませんね。
TEXT ヨギ イチロウ