アニメ「呪術廻戦」第2クールOP主題歌
2019年にボーカリストのWho-yaを中心として結成されたクリエイターズユニット・Who-ya Extended (フーヤ エクステンデッド)。
2021年2月17日リリースの『VIVID VICE』がアニメ『呪術廻戦』の第2クールの新オープニングテーマとして起用されており、今人気急上昇中のアーティストと言えます。
『呪術廻戦』は、集英社の週刊少年ジャンプで連載されているコミックが原作のテレビアニメ。
人間が生む負の感情が呪いと化す世界を舞台に、高校生の虎杖悠仁が鬼神・両面宿儺との出会いを境に呪いを巡る戦いの世界に身を投じていくダークファンタジーです。
第2クールのOPムービーでは、葬式を思わせるシーンと最強の呪術師・五条悟が持つ花束に注目が集まり、意味深な内容への驚きや楽曲とマッチしたかっこよさで、アニメファンを釘付けにしています。
曲名「VIVID VICE」の意味は
重厚感のあるロックサウンドと疾走感あふれる歌詞が魅力の『VIVID VICE』。
英語を直訳すると「鮮やかな悪」という意味になります。
一見相対するような「鮮やか」と「悪」という言葉ですが、どのような深い意味が込められているのでしょうか?
それではさっそく歌詞の意味を読み解いていきましょう。
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歪な終焉に向かって 溢れる
命の表面張力が 張り詰めた 張り裂けた
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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「表面張力」は液体の分子同士が引き付け合う力により、コップに満杯に入った液体がこぼれそうでこぼれない状態のこと。
しかし、コップに少しでも力が加われば、表面張力は簡単に解けてしまい、液体はあっけなくこぼれてしまいます。
「命の表面張力」は自分という器の中にある、人の生命力の脆さを描いていると考えられます。
「歪な終焉」というフレーズとOPムービーの葬式のシーンを重ねてみると、誰かの身に思いがけない死が訪れたことは明らかでしょう。
決断を後悔しないために現実を変える
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沸騰した不倶戴天の叫び縁取って
激昂した不可視の本性が顕在化してく
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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「不倶戴天(ふぐたいてん)」は非常に強い憎しみや恨みの気持ちを表す四字熟語です。
「沸騰した」や「叫び」と表現していることから、その憎しみの深さがより伝わってきます。
本来は目に見えないはずの負の感情が、高まるあまりに態度や行動に表れていく様子が垣間見えます。
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千切れそうな綱の上 ただ揺らさぬように潜めるか
一か八か 駆け抜けるか 選択肢なんて 罠に見える
踏み出せ その歩を
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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「千切れそうな網の上」は不安定さを表しているのでしょう。その上に立つだけでも緊張感が漂う状況で、主人公はどう行動するべきかを悩んでいます。
思い浮かぶ選択肢はどれも悪い結果になりそうで、足踏みしてしまうこともあるはず。
1つの決断が生死を左右する可能性があるとすれば、余計に行動するのが難しくなるかもしれません。
それでも、不安な気持ちを押し殺して足を踏み出さなければ何も始まらないという事実を、主人公は理解しているのです。
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もう戻らない
金輪際 後悔はしない 現実を変えてみせる
真実がたとえ残酷でも
染まっていく Disaster 肥大化した罪を 宿怨を手懐けて
駆け抜けるただ声を追うように
擬態したい無情なトーン 期待したい不情なゴング
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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人が後悔をするのは、行動が失敗だったと気づくから。誰もが後悔せずに生きたいと願いつつも、思うようにできずに何度も後悔を繰り返してしまいます。
行動を失敗に終わらせない唯一の方法は、現実を変えることです。
これはとてもシンプルでありながら最も難しいこと。しかし、主人公は自身の行動に後悔しないために物事を動かそうとしています。
状況の背後にある真実がどんなにつらいものだとしても、ただ前を見つめて行動することをやめない姿勢は、芯の強さを感じさせますね。
続く「Disaster」は、突然の大規模な災害を意味するフレーズです。
膨れ上がる負の感情という悪は、突然の災害のように周囲や自身を襲い、心も身体も蝕みます。
誰かを守るためにただ悪を成敗することだけに専念したくても、そんな時に限って相手への慈悲や優しさが邪魔をするものです。
優しさを捨てて「無情」に戦えるなら、もっと強くなれるのではないか。
また「不情なゴング」が鳴るように否応なく戦いが始まれば、相手のことを気にする暇もなく打ち勝つことだけに集中できるのではないか、とも考えているようです。
そんな風に、主人公自身も自分の中にある様々な感情と戦っているように感じられます。
善と悪を秘めた自身の正義を信じて戦う
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虚ろな感情に巣食ってる 穢れを
諌める未練の箍は 砕かれた
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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心の中に潜む「穢れ」があふれ出してしまわないように、何かに対する「未練の箍(たが)」がずっと押し留めて自身を守ってきたようです。
アニメのストーリーからすれば、純粋に善だけを持っていた過去の自分への未練かもしれません。
しかし、それもやがて壊れてしまいました。それほどまでに悪は強く、心は脆いものです。
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拮抗してゆく是非善悪のボーダーラインと
葛藤していた温い本心に一撃を打つ
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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物事の良し悪しを表す「是非善悪」は、人の中で常に拮抗しています。
誰かにとっての善が他の誰かにとっては悪になるように、明確なボーダーラインを引くことはできません。
だからこそ、自分がしようとしていることが本当に正しいことなのかを疑問に思うこともあるでしょう。
主人公はその当然の気持ちを「温い本心」と呼びます。
その本心に耳を傾けていては目的を遂行することはできないため、一撃を加えて余計なことを考えないようにしているようです。
何かを守るためには、時に悪に身を任せてでも戦わなければならない瞬間があるということを示していると考えられます。
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グラつく瓦礫の城 ただ取り繕うため飾るか
罪か罰か 導けるか その場凌ぎじゃ 底が見える
見開け その目を
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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城と言えば聞こえはいいですが、瓦礫を集めただけの建物はいつか崩壊してしまいます。
これは、そんな不確かな自身の正義のことを指しているのではないでしょうか。
どれほど声高に正義を語っても、そこに信念という土台がなければ小さな衝撃ですぐに崩れてしまうでしょう。
強く行動するための原動力である正義を本物にして信念を築くには、目を見開いて自身と周囲に真剣に向き合わなくてはならないのです。
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もう止まれない
表裏一体 曇天な未来 頂上まで這い上がる
愛憎の群れが渦巻いても
刻んでいく Blaster 無稽な背徳を 宿命を従えて
嘆く連鎖を断ち切るまで
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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すでに戦いは始まっていて、終わるまで誰にも止めることはできません。
先行きが不安でも「愛憎の群れ」に葛藤しながらも、主人公は頂上に向けて突き進んでいきます。
「Blaster」は光線銃を意味しているので、攻撃の様子を表しているのかもしれませんね。
根拠のない背徳感や巡り合わせに導かれるようにして、自身の弱さを抱えながら悪の連鎖を断ち切るために戦うことを選びます。
その心の中は、やはり相対する感情がひしめき合っているようです。
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自戒したい気丈なソウル 理解したい机上のショウ
毀壊したい無縁なフロー 味解したい不縁なドロー
≪VIVID VICE 歌詞より抜粋≫
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悪を宿した心を何とかコントロールする一方で、無駄で滑稽にも思える自分の決断と行動が善であるかを知りたいと思っているのでしょう。
そして、世間一般の流れを壊し、本当にこの戦いに引き分けがないのかを考えているようにも見受けられます。
何が正しく何が間違いであるかが分からないからこそ、自身の思う正義を信じたい。
つまり主人公が求めているのは単なる勝利ではなく、敵味方関係なく誰もが分かり合い、手を取り合って生きる未来なのではないでしょうか。
まさに呪いの力に翻弄されるキャラクターたちが置かれている状況と重なる歌詞に引き込まれる楽曲です。
聴く人を夢中にさせる歌詞とパワフルな楽曲
メジャーデビュー曲からアニメとのタイアップで一時配信チャートを席巻し、爆発的な人気を獲得しているWho-ya Extended。
バンドメンバーなど情報が多く明かされていない謎めいた音楽ユニットです。
しかし、巧みなバンドサウンドにWho-yaが作り出すメッセージ性の強い歌詞と深みのある歌声が乗る楽曲は、聴く人をきっと虜にします。
特に『VIVID VICE』で表現されたような力強い生命力を感じる楽曲は、ユニットの魅力がより際立ちます。
じっくり聴いて堪能したら、今後の新曲やライブ情報にもぜひ注目してくださいね。
ボーカリストWho-ya(フーヤ)を中心としたクリエイターズユニット、Who-ya Extended(フーヤエクステンデッド)。 2019年10月より放送されたTVアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス 3」のオープニングに大抜擢され、2019年11月にメジャーデビュー。 新人としては異例の大抜擢で、アニメ放送開始と···