「YG宝石箱」「TREASURE」において「ミチョガネ」が持つ意味が深い
TREASUREは韓国人8名、日本人4名の計12名で構成されたK-POPアイドルグループです。個性豊かで実力派揃いのTREASUREですが、このメンバーでデビューに至るまで、厳しい逆境を数多く乗り越えてきました。
2018年、韓国の芸能事務所YGエンターテインメントは、同事務所の練習生29名を対象にデビューサバイバル番組「YG宝石箱」を開催。
このYG宝石箱のシグナルソングになっていたのが『ミチョガネ(GOING CRAZY)』です。
事前に絞られたデビュー候補生とその座をかけた練習生たちが1対1で競い合い、最終的に選ばれた上位7名のみがこの楽曲を披露することが出来ました。
選ばれたメンバーにとっては確かな自信へと繋がった舞台であり、一方で選ばれなかったメンバーにとっては悔しさと同時に、必ず挽回してやるという強い決意を抱かせた楽曲です。
その後、正式メンバーが確定したTREASUREは2020年にデビュー。
「第35回ゴールデンディスクアワード」の授賞式(新人賞を受賞)で、デビュー後初となる『ミチョガネ(GOING CRAZY)』を披露し、ファンの間で大反響を呼びました。
デビューに向け奮闘してきたTREASUREと彼らを支えてきたファンにとって、晴れの舞台で『ミチョガネ』が披露されたことは非常に重要な意味を持っていたのです。
欲望にかられる男性心理を描いた歌詞
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今日も見とれてしまうけれど
呼び止めたって返事もない
君の瞳に僕は映らないのかな
I'm going crazy
≪ミチョガネ (GOING CRAZY) 歌詞より抜粋≫
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歌詞の内容は、好きな人を追いかける男性心理を描いています。
主人公は憧れの女性に声を掛けますが、意中の相手は返事すらしてくれないようです。
手に入れたいのにどうにも叶わないじれったさが、僕の心を焦がしていきます。
どうしようもなく手に入れたいのに、なかなか手に入れることが出来ない状況は「TREASURE」を目指し、身を焦がして闘い続けてきたメンバーの心情と重なるのではないでしょうか。
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感情移入 パーフェクト
演技ならこれはメソッド だけど現実さ
新しい Feeling feeling
Call me freaky freaky boy
絡まり合う Body
≪ミチョガネ (GOING CRAZY) 歌詞より抜粋≫
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こちらのフレーズでは、好きな人に没頭している主人公がややシニカルに描かれています。
しかし、今回の相手は一筋縄ではいきません。
初めて本気になった相手に対し、僕はなりふり構わずアプローチを仕掛けます。
次第に彼は、自分の内にでこれまで感じたことのない感覚が芽生えていくことに気づきます。
「freaky」は不思議な、突飛なという意味です。
おかしいと思われてもいい、とにかく彼女を手に入れたい、そんな純粋な欲望が見え隠れします。
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近づけば近づくほど なぜ君は離れていくの
ただ僕は君のそばにいたいってそれだけなのに
≪ミチョガネ (GOING CRAZY) 歌詞より抜粋≫
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やっと掴んだと思っても、実際にはその手をすり抜けていってしまう大切な人。
追えば追うほど恋焦がれ、想いは募るばかりです。
愛情が強まるほど僕の願いはシンプルになっていきます。
「ただ僕は君のそばにいたいってそれだけなのに」という独り言のようなフレーズが切なさをはらんでいますね。
「ミチョガネ」にのせて溢れ出す僕の想い
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ミチョガネ そう君のせいで
ミチョガネ 愛しの Lady
もう君に夢中さ 愛しているよ
This must be crazy love
This must be crazy love
君の心が欲しいよ
This is crazy love
≪ミチョガネ (GOING CRAZY) 歌詞より抜粋≫
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タイトルにもなっている韓国語「ミチョガネ」とは「狂っていく」という意味です。
一度聴いたら忘れられない可愛らしい発音ですよね。
サビでは僕の想いが一気にあふれ出します。
タイトルとは相反して狂気的な要素は全くなく、爽快感溢れるメロディーからは僕の優しさや包容力が垣間見えるようです。
僕の心を締め付ける狂おしい感情
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隙も見せない
君と僕の駆け引き
この手届かない
残り香に溶けるため息
夢中で踊りながら君の名叫ぶ
24/7 A day 巡る 永遠
悩みが頭の中 Crazy
≪ミチョガネ (GOING CRAZY) 歌詞より抜粋≫
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前半では直接的なアプローチが多かった僕。
それに比べ、この部分では回りくどい恋愛の駆け引きが描かれています。
二人はお互いに本音を隠しながら、絶妙な距離感で意図を探っているようです。
高ぶる気持ちとは裏腹に、僕は君に触れることも出来ません。
別れた後には君の残り香が微かに漂い、より一層、僕の心を締め付けるのでした。
頭の中は四六時中君のことでいっぱいになり、永遠にも感じられるほど狂おしい感情に苛まれていきます。
自分への応援歌からファンへの感謝の歌に
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前だけ見て 君の元へ走って行くよ
コケたって気にしない I never give up
手を繋いで 二人で空駆けていこう
燃え尽きるまで
We're going all the way
≪ミチョガネ (GOING CRAZY) 歌詞より抜粋≫
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ここまで君に振り向いてもらえず苦悩する僕の様子が描かれてきましたが、最後の部分にはとても前向きな言葉が並んでいます。
どんなに失敗しようが絶対に諦めずに君の手を取るから、同じ道を歩んでいこうといった内容になっています。
初めて『ミチョガネ』を聴いた頃は、まだ練習生だったメンバー。
自分を鼓舞しながら闘っていた当時の彼らは「コケたって気にしない I never give up」という歌詞に自身を重ねていたことでしょう。
しかし、TREASUREにはずっと待ち続けてくれた心強いファンがついています。
今の彼らは自分達の為ではなく、「もうその手を離さないから、同じ道をずっと一緒に行こう」と、ファンに対する感謝の想いを込めて歌っているのではないでしょうか。
「ミチョガネ」はTREASUREを支え続けた曲
デビューの兆しが見え始めてから実際にデビューするまで、とても長い時間を要したTREASURE。それでも諦めることなくデビューを勝ち取って表舞台に登場した彼らは、練習生時代より格段に洗練された姿を見せつけました。
『ミチョガネ(GOING CRAZY)』は、TREASUREが活躍するその日まで彼らの背中をずっと押し続けてきた思い出深い楽曲なのです。
今回は、日本語バージョンの『GOING CRAZY (ミチョガネ)』をご紹介しました。
TREASUREが歌っている韓国語バージョンも公式Youtubeで公開されているので、ぜひチェックしてみてください。