TikTokで大注目！「DECO*27」の新曲ボカロの主人公は愛を求める女の子
自身もアーティストとして活動するかたわら、多くの大ヒットボカロ曲を世に送り出してきたボカロP・DECO*27の62作目の楽曲『ヴァンパイア』。この曲は、彼のこれまでのボカロ曲とは一線を画すダンスチューンです。
八三が担当したMVのイラストでは、歌唱する初音ミクがヴァンパイアをイメージして小悪魔っぽく描かれ、楽曲のポップで可愛らしい雰囲気とマッチしています。
Mの映像が2021年の「ミクの日」である3月9日に合わせて公開されたことも、粋な演出ですよね。
TikTokやYouTubeでは、ファンによる歌ってみた動画やオリジナルの振り付けで踊るダンス動画にも多く用いられていて、世界的な人気の高さが窺えます。
さっそく歌詞の内容を見ていきましょう。
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あたしヴァンパイア
いいの?吸っちゃっていいの?
「もう無理もう無理」なんて 悪い子だね
試したいな いっぱいで吐きたい まだ絶対いけるよ
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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「あたしヴァンパイア いいの？吸っちゃっていいの？」と歌う通り、この楽曲で描かれている主人公はヴァンパイアの女の子のようです。
相手への意思を確認するそぶりを見せながらも、ひとたび受け入れると自分が満たされるまで止めることを許さない強引さに、少し危ない雰囲気が漂っています。
満たされすぎて吐き出したくなるほど、貪欲に求めている様子が伝わってくるでしょう。
しかし歌詞をよく見ていくと、彼女は本当のヴァンパイアというよりも「ヴァンパイアのような女の子」として描かれているように感じられます。
DECO*27といえば2019年にリリースされた『モスキート』で、愛を欲しがる恋人の関係を血を求める蚊に例えていました。
蚊と同じく血を求める存在であると共に、肌に触れて吸血するという肉感的なイメージがあるヴァンパイアは、ダークな恋愛感情をより鮮明に表現するモチーフと言えるのではないでしょうか。
この観点から続く歌詞の意味を徹底考察していきましょう。
不安を埋める愛が欲しい
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最低最高 ずっといき来してる
甘くなる不安の果実
No more 発展 嫉妬息をしても
要らないだけ 五月蝿いだけ
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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彼女は気分の浮き沈みが激しい状態にあるようです。
果実が甘くなるのは成長の証のため、「甘くなる不安の果実」とは心の中の不安が大きくなっていることを示していると考えられます。
愛する人とはこれ以上発展はなく、嫉妬の気持ばかりが募っていくというもどかしい気持ちを抱えているということですね。
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誰かといれば それはたられば
強がってたって気持ちにゃ逆らえない
離れていても 感じてるエモ
繋がって確かめたら死ねるかも
いいもん 悲しいもん 切ないもん
きみのすべてを喰らうまで 絶叫
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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他の「誰かといれば」気が紛れると思っても、恋人を想う気持ちには逆らえません。
離れた場所にいてもその人に心を奪われている状態は、恋愛の正しい反応です。
肉体的な繋がりがあれば、愛を感じられて安心できるとも考えているのでしょう。
愛情があふれるあまり、恋人の動向が気になって悲しく切ない感情に襲われる彼女は、心も体も「君のすべてを喰らう」ことを望んでいます。
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あたしヴァンパイア
求めちゃってまた枯らしちゃってほらやな感じ
泣いて忘れたら「はじめまして」
あたしヴァンパイア
愛情をください まだ絶対いけるよ
あたしヴァンパイア まずはこっちおいで
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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しかし、求めても求めても愛欲が尽きることはありません。
失敗に泣くこともありますが、時間が経てばまた初対面のように新鮮な気持ちで求めてしまいます。
彼女が体の触れ合いを求めるのは「愛情をください」という純粋な願いからです。
体の距離を詰めて、もっと心の距離を近づけたいと思っています。
快楽を通して得る愛への欲求はヴァンパイアのよう
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内緒の想い洗いざらい 吐き出したなら「正に」ばかり
割り切れないけど余りじゃない そっと朝まで通せんぼ
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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誰にも言えない想いを吐き出してみれば「正に」愛情と言えるものばかりです。
「割り切れないけど余りじゃない」という部分は、割り切れない複雑な気持ちも彼女の愛情の一部だと感じさせる素敵な言葉遊びになっています。
少しでも長く一緒に過ごすため、恋人を引き留めようとするいじらしさに彼女のピュアさも表れていますね。
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繰り返すヤダ 我儘はタダ
欲張ってまたチャンスを逃すのだ
病まないもしも 叶えたいけど
重なって押しつぶされちゃうのかも
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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「我儘はタダ」だから「繰り返すヤダ」。
しかし、そうして「欲張ってまたチャンスを逃す」日々を過ごしています。
思うように恋人からの愛情を実感できないのは、相手を愛しているからこそ苦しいことですよね。
「病まないもしも」は、気持ちが病んでいない状態と叶えたい願いが止まないという二つの意味をかけていると考えられます。
未来への願いが多すぎて、自分の心さえ潰されそうになっているのかもしれませんね。
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いいじゃん 楽しいじゃん 気持ち良いじゃん
溺れるまでが癖になるね 絶叫
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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不安の中で考え続けるのは大変で、いっそ快楽にだけ身を任せたいと感じているようです。
快楽に溺れていく時間だけは、どんな思考にも邪魔されずただ恋人への愛と恋人からの愛だけに浸れます。
そのため、彼女は血に飢えるヴァンパイアのように終わりのない愛欲に囚われているのです。
「きみ」に伝えるメッセージの解釈とは
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きみもヴァンパイア
いいよ 吸っちゃっていいよ
「もう無理もう無理」だって 言わせてほしい
きみ以外では絶対にいけない ほら絶賛させてよ
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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ここからは彼女だけでなく「きみもヴァンパイア」と歌われていますね。
ヴァンパイアというキャラクターは、吸血した相手をヴァンパイアにすることができます。
初めは彼女ばかりが愛を求めていましたが、次第に恋人の方も愛欲に溺れていくようになったようです。
彼女はその気持ちが嬉しく、もっと自分を求めてほしいと願っています。
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きみもヴァンパイア
求めちゃってまた枯らしちゃって今何回目?
星が見えるような泡の中で
きみもヴァンパイア
延長をください まだ絶対いけるよ
≪ヴァンパイア 歌詞より抜粋≫
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何度求め合ったかも分からないのに、まだまだこの時間が続いてほしい。
ふわふわした浮遊感と光が散るような独特な心地に浸りながら、恋人の愛情を感じる時間は究極に幸せなものでしょう。
体の繋がりばかりが愛ではありませんが、それによって自分たちが幸せで笑っていられるならそれで良いのかもしれませんね。
「ヴァンパイア」は聴けば聴くほど世界観に入り込む！
DECO*27が手がける『ヴァンパイア』は、ひとつの愛の形を示したあざとかわいいボカロ曲です。ポップな内容を詳しく聴くと、直接的な表現を使わないのにどこかセクシーに聴こえてくるところがDECO*27の歌詞の魅力と言えるでしょう。
ぜひ何度も聴いて、彼ならではの世界観を楽しんでくださいね。
