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略奪されても杏里はオシャレ!!恋愛の清濁が詰まった『悲しみがとまらない』

隣の芝は青く見える。自分と友達を比較してしまうことは誰にでもある。家庭環境・仕事・容姿・恋人など比べようと思ったら何でも比べられてしまう。つい他人が自分より良いと思ってしまうとその人を邪魔したり、その人のモノを奪い取ろうとしてしまうこともあるから人間は怖い。欲深い生き物だ。


隣の芝は青く見える。自分と友達を比較してしまうことは誰にでもある。家庭環境・仕事・容姿・恋人など比べようと思ったら何でも比べられてしまう。つい他人が自分より良いと思ってしまうとその人を邪魔したり、その人のモノを奪い取ろうとしてしまうこともあるから人間は怖い。欲深い生き物だ。

杏里の代表曲『悲しみがとまらない』では、友達に恋人を奪われた女性の気持ちがストレートに表現されている。「I Can't Stop The Loneliness」というフレーズが端的に歌詞の世界観を伝えていて、「Can’t」の意味をもっと汲むのなら「悲しみがと"め"られない」という苦痛の叫びであると捉えても味が出てくる。もっと詳しく見てみよう。

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I Can't Stop The Loneliness
こらえ切れず 悲しみがとまらない
I Can't Stop The Loneliness
どうしてなの 悲しみがとまらない
あなたに 彼女 会わせたことを
わたし 今も 悔んでいる
ふたりは シンパシイ 感じてた
昼下がりのカフェテラス
あの日電話が ふいに鳴ったの
あの人と 別れてと 彼女から

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友達も交えてのデート。彼氏を紹介するぐらいだから、よほど仲の良い友達だったのだろう。彼氏の方も、友達を紹介したいと言われて悪い気は起こさない。お互いがウェルカムな状態でのお茶会はさぞかし盛り上がったに違いない。

どれくらいの時間が経ったのかは歌詞から分からないが、友達から電話が入る。「あの人と別れて」と強気に友達は迫ってきた。この言葉に何の悪意も感じている様子はない。彼女は動揺したとともに、あの時会わせるんじゃなかったと後悔し始めることに。

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誤解だよって あなたは笑う
だけど kiss はウソのにおい
抱きしめられて 気づいたの
愛がここにないことを
恋はちいさな アラシみたいに
友だちも 恋人も 奪って

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友達からの電話の後、彼女は疑心暗鬼に彼に説明を求める。「誤解だよ」と彼は笑ってごまかそうとする。真面目な質問に対して、笑ってあしらわれた彼女はさぞかし辛かったことだろう

気にしないように彼女は努めるが、彼の変化に気づかずにはいられなかった。抱きしめられてもキスをされても愛を感じない。「ウソのにおい」とオシャレに言ってみたが、言い直すと「嘘くさい」のだ。友達も彼も一気に失ってしまった彼女に、これだけの悲しみを止める力が残っているわけがない。

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I Can't Stop The Loneliness
彼を返して 悲しみがとまらない
I Can't Stop The Loneliness
だれか救けて 悲しみがとまらない

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終始、ドロドロしたイメージで進行する歌詞であるが、曲を聴いていてそのネガティブなイメージが気にならないという印象を受けた。それはトランペットが高鳴るオシャレなサウンドが「杏里」というアイコンにマッチした大人の雰囲気を醸し出しているからだ。落ち着いて伸びのある杏里の声もまた曲に味を加える。

作曲を担当したのは、美空ひばりや松田聖子の作曲経験もある林哲司。自身の個性は「中間色」だと彼は語る。明るさや悲しさ一辺倒の曲ではなく、明るさの中に哀愁を漂わせたり、悲しみと共に憂いも表現することで人間らしい"微妙さ"を彼は曲で表現する作り手だ。「悲しみ」や「後悔」というネガティブなイメージが全面に出た歌詞を、大人っぽくてアーバンなアップテンポサウンドに載せることで全く違った印象にしてしまったこの曲は彼の個性が光る一曲と言える。

恋愛は時に人を狂わせる。傷つけることも傷つくこともある。恋愛の酸いも甘いもひっくるめてオシャレに表現してしまった杏里や林哲司は、さすがだ。


TEXT:田中利知 【https://twitter.com/toshichika8855

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