Orangestar×「夏がはじまる。」篇
大塚製薬株式会社が夏の大会を控える部活生たちに向けたモチベーションムービー『夏がはじまる。』篇を公開しました。バランス栄養食商品・カロリーメイトで、部活に打ち込む学生の毎日を支えたい、という思いが込められた企画です。
監督は志賀匠氏が務め、異なるタッチのアニメーションが次々と展開されるムービーは部活生たちの熱量の爆発を見事に表現しています。
『Surges』はOrangestarがこの企画のために作詞・作曲した楽曲。疾走感のある曲調と熱の溢れる歌詞が部活生たちに向けたムービーにぴったりです。
『Surges』にはボカロ曲の“feat.IA&初音ミク”と、『夏がはじまる。』篇で使用されている“feat.夏背&ルワン”の2つのバージョンがあります。
ボーカルの異なる2つのバージョンは、それぞれ配信およびYouTubeで動画が公開されているため、聴き比べるという楽しみ方もできるでしょう。
今回は『夏がはじまる。』篇のために書き下ろされた楽曲であるという視点で『Surges』の歌詞を考察します。
コロナ禍の部活生に寄り添う歌詞
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流れ続く空と日々の狭間に
形のない今日をそれでも進む
何も知らぬ朝と清かな風に
息を繋ぐ僕らの声は何を望む?
≪Surges (feat. 夏背&ルワン) 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞で使われているのは、「何も知らぬ朝」という言葉です。
今日がどんな一日になるか分からないものの、「清かな風」が背中を押し、未知に挑戦するようなポジティブな印象を感じます。
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形のない今日をそれでも進む
行方のない朝の穏やかな風に
涙滲む僕らの声は何を望む?
迷っていた君に届かない
≪Surges (feat. 夏背&ルワン) 歌詞より抜粋≫
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ところが、後半の歌詞では「行方のない朝」に表現が変わっています。
未来への希望が持てた「何も知らない朝」が未来や希望を感じさせない「行方のない朝」という言葉に変わってしまったのは何故でしょうか。
『夏がはじまる。』篇のムービーでは、この歌詞直前の間奏部分で「インターハイ中止決定」という文字が表示され、学生たちが呆然としたり、泣き崩れる様子が流れます。
コロナ禍によって部活生たちが目標にしていたインターハイや大会などが中止になってしまった絶望感を「何も知らない朝」から「行方のない朝」という歌詞に変化させることで表現したのではないでしょうか。
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心の奥がまだ燃えていて
望まぬ未来がそこにあったって進む
僕たちは最高を目指して征ける
言葉にならない心の全部を燃やしてゆけ
踠いていたって何も掴めない光が
≪Surges (feat. 夏背&ルワン) 歌詞より抜粋≫
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終盤の歌詞では「わかっていたって諦め切れない」というストレートな言葉が紡がれます。
学生時代の部活は一生の思い出になります。
大会がなくなったとしても、努力や熱を懸けてきた部活動を中途半端に終わらせたくありませんよね。諦めずに最後まで全力でやり切りたい、という部活生たちの思いを表現したのではないでしょうか。
そして、「言葉にならない心の全部を燃やしていけ」という歌詞が続きます。
コロナ禍に日常や夢を奪われた悔しさを爆発させて全力でやり切れ、というメッセージだと捉えられそうですね。
悔しくてどうしようもない部活生の気持ちを代弁し、包み込んだ上で、思いっきり背中を押してくれる音楽だといえるでしょう。
「Surges」はあらゆる人々の背中を押す
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夜明けを僕たちは越えてゆけ
描いた未来のその先の空を貫く
僕たちの"最高"を目指して征け
≪Surges (feat. 夏背&ルワン) 歌詞より抜粋≫
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「描いた未来のその先の空を貫く」という歌詞を部活に打ち込む学生たちの視点で考察してみましょう。
大会で結果を残すという「描いた未来」がコロナ禍によって崩れてしまったとしても、全力でやり切るという目標を「その先の空」として設定し、突き進んでいくという意味に解釈できそうです。
また、この歌詞は部活生に限らず大人にも響く歌詞でしょう。
例えば、理想の職業に就くという「描いた未来」を叶えたものの、職場で上手くいかずに転職を考えていたり、新たな夢ができたという社会人も多いはずです。
挫折を乗り越えて、「その先の空」へ踏み出したいあらゆる世代の人々の背中を押してくれる楽曲だといえるでしょう。
私たちの“最高”を決めるのは他の誰でもない自分なのだと思わせてくれる歌詞ですね。
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