V6解散…最大のヒット曲「愛なんだ」の魅力を再発見
2021年11月1日、多くのファンに惜しまれつつ、26年の歴史に幕を下ろしたジャニーズのレジェンドグループ・V6。グループでの音楽活動のみならず、トニセン・カミセンの愛称で親しまれたユニット活動、俳優業やMC業など、個々の活躍でも不動の地位を確立してきたグループでした。
長い歴史の中で数多くの名曲を世に送り出してきましたが、なかでも1997年リリースの『愛なんだ』はV6のシングル売上枚数第1位を記録する最大のヒット曲です。
作詞・松井五郎、作曲・玉置浩二の、いわゆるゴールデンコンビが手がけていることでも知られています。
1996年に井ノ原快彦がドラマ『コーチ』で玉置浩二と共演した際、V6のために楽曲を作ってしいとお願いしたことで、この曲が生まれたそう。
「愛なんだ」というストレートなフレーズと軽快なメロディが耳に残りますが、歌詞をじっくり紐解いていくと、その温かなメッセージに泣ける感動的な楽曲です。
V6が解散した今こそ、改めて感じたい『愛なんだ』の魅力を歌詞から考察していきます。
心を満たし支えてくれる愛の力
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風のガードレール
行きたい場所もなく
どうしてこんなに
渇いているんだろう
胸に巡る
まぶしすぎる夢も
時の流れにいつか
消えてしまうのかい
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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1番では、誰もが心の隅に抱える満たされない気持ちを歌っています。
「風のガードレール」というフレーズに注目してみましょう。
ガードレールは歩行者や自動車に降りかかる危険から、身を守るために設置されるものです。
しかしここではそれが"風"という見えない何かでできているとあるので、見えない力によって、危険から自分の身が守られている状態と言えるかもしれません。
それは言い換えれば、心の中で危険を恐れて挑戦することにブレーキをかけている状態とも捉えられます。
かといって「行きたい場所はここ」と、胸を張って言える挑戦したいことも特にないようです。
心が満たされたいのに具体的に、どうなりたいのかが見つからない。
そのため「どうしてこんなに渇いているんだろう」と、心の渇きを訴えているのでしょう。
いつか思い描いた夢は今となっては眩しすぎて、次第にそうしたキラキラした気持ちから遠ざかってしまう不安を言い表しています。
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YEAH そうなんだ
きっとここから愛なんだ
はじめることが愛なんだ
傷つくこと怖れちゃ
だめ だめ だめ だめだよ BABY
つらいときでも愛なんだ
できるなにかが愛なんだ
信じてみてもいいはず
あきらめない明日の太陽
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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よく知られたサビの部分では「愛なんだ」のフレーズが繰り返し歌われます。
「きっとここから」「はじめることが愛なんだ」という歌詞は、過去がどうあれ今一歩踏み出すことの大切さを教えてくれますね。
新しい何かに挑戦する時、傷つくこともあるでしょう。
確かに傷つくことは怖いですが、恐れていては何も始まりません。
「つらいときでも」「できるなにかが」必ずあると「信じてみてもいいはず」と、真っ直ぐに励ましてくれています。
「あきらめない明日の太陽」という言葉からも、輝く未来をあきらめない前向きな気持ちが読み取れるでしょう。
改めて「愛なんだ」のフレーズについて考えると、おそらくこの愛は自分や周囲の人への愛であり、人生には愛が不可欠であることを意味していると考えられます。
自分を信じることも、何かに挑戦することも、誰かを応援することも、すべては温かな愛が根底にあるということを感じさせます。
前向きな歌詞に6人の生き様が見える
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孤独なんか
なんでもないふりで
どうして心は
道に迷うんだろう
わかりあえる
誰か探しながら
すれちがいの優しさに
戸惑ってばかり
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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2番では、孤独な気持ちや人間関係の難しさについて考えているようです。
「孤独なんかなんでもないふり」という言葉が、心に刺さった方も多いのではないでしょうか。
口では「1人でいることに慣れている」「1人の方が楽だから」と言いつつも、その心は孤独感に振り回されているかもしれません。
きっと世界中の誰もが「わかりあえる誰か」を探していて、孤独から抜け出したいと思っているでしょう。
一方、優しさを求めながらも素直に好意を受け取れなかったり、思いがけない人からの優しさに戸惑ってしまったりすることもあります。
そうした矛盾する心を持て余していると、なんだかもどかしく感じるもの。
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YEAH そうなんだ
きっとここから愛なんだ
はじめることが愛なんだ
ふりむいてばかりいちゃ
だめ だめ だめ だめだよ BABY
きっと涙も愛なんだ
微笑みもそう愛なんだ
つよい気持ちでいれば
かならずある明日の太陽
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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そんな時、必要なのが愛です。
過去の出来事やつらい気持ちに「ふりむいてばかり」いると、今や未来へ目を向けることができなくなります。
涙や微笑みは感情からにじみ出るもので、何かに対する愛があるからこそ感情が動かされます。
そうした自身の感情一つひとつを大切に思う「愛」を捨てないでいれば、きっと新たなスタートを切ることができるのです。
このことをV6に重ねてみましょう。
ると、彼らも様々な経験を積む中で苦しく思ったこともあったはずです。
それでも自分とメンバー、ファンや関わったスタッフへの愛を大切にしてきたからこそ、26年もの歴史を積み重ねることができたのでしょう。
解散はファンにとって悲しい出来事ではありますが、見方を変えれば彼らがそれぞれ新しいスタートを切る門出とも言えます。
歳を重ねれば重ねるほど、新しいことに挑戦することを恐れてしまいますよね。
しかし『愛なんだ』の歌詞の通り、思い描く世界がこの先に「かならずある」と信じて、変わらず前進する6人の力強い生き様が垣間見えます。
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知りたい ふれたい 見つけたい いつか ほんとの愛だけかなえたい
いつでも どこでも 与えたい もっとすべてを変えてみたい
逃げない 負けない 離さない いつも感じることなら嘘つかない
いつでも どこでも 求めたい もっとすべてが変わるまで
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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この部分では胸の内をストレートに表現しています。
何が自分の求める「ほんとの愛」かを探求し、見つけたらいつか叶えたい。
優しさを求めるばかりではなく今度は自分から与えられる人になって、満たされない日常を変えたいと強く願っているのでしょう。
そして心の声に正直になって、つらさや苦しみからも逃げ出さず、常に挑戦し続けたいという決意表明もされています。
簡単なことではありませんが、愛で満たされた人生を歩むための勇気がもらえる楽曲です。
「愛なんだ」は永遠に残し続けたい名曲
『愛なんだ』はリリースから24年経った今も多くの人々の心に刻まれ、きっとこれからもその心を励まし続ける名曲です。
愛の力を感じると共にこれまでのV6の輝きも思い起こされ、今後の個々の活動を応援していきたいという思いが強まったのではないでしょうか。
永遠に廃れない名曲を胸に、彼らと一緒にさらに輝く人生への第一歩を踏み出しましょう!