ドラマ「SUPER RICH」挿入歌として話題を集めた「ミズキリ」
シンガーソングライターの優里が、2022年1月12日に1stアルバム『壱』をリリースしました。『ドライフラワー』や『かくれんぼ』を始め、優里の人気曲がつまった大ボリュームのアルバムとなっています。
そんなアルバム『壱』に収録される新曲の1つが『ミズキリ』です。
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恋はどんなことでさえも超えていけると
思える日が来るだなんて思わなくて
≪ミズキリ 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞からは誰かを好きになったことで、心情の変化を感じている主人公の姿が想像できそうですね。
そもそも『ミズキリ』は、ドラマ『SUPER RICH』の挿入歌として書き下ろされた楽曲です。
『SUPER RICH』の主人公・氷河衛は、幼い頃に両親を亡くしてから愛を知らずに生きてきました。
しかし、衛がCEOを務める会社にやってきた春野優との出会いをきっかけに、衛の気持ちにも変化が訪れます。
ドラマのストーリーを踏まえると、冒頭の歌詞は衛の心情を表しているようにも解釈できそうですね。
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住んでる世界が違うのかな
なんて君を遠く感じていた
だけど今 触れる
≪ミズキリ 歌詞より抜粋≫
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恋愛をする中で、考え方や立場の違いから相手を遠くに感じてしまうこともあるでしょう。
ドラマでも、衛はお金持ちのCEO、優は貧乏な専門学生と立場はまるで違います。
しかし、歌詞からはお互いの違いを感じながらも、主人公と「君」の距離が徐々に近づいていったことが想像できるのではないでしょうか。
「だけど 今 触れる」は、恋の始まりを予感させるようなフレーズにも聞こえますね。
近づきながらも…どこか不安気な主人公
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さよならの後 振り返って君が笑う
いつまでそこに居るのなんて思いながら
出来れば帰りたくはないな
なんて君を遠く感じていた
≪ミズキリ 歌詞より抜粋≫
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2番の歌詞から想像できるのは、別れ際の2人の姿。
恋人とのデートの帰り道は、楽しい時間が終わってしまうのを寂しく思いますよね。
「帰りたくないな」と思う主人公と、いつまでもそこに居る君。
主人公も君も、お互い「ずっと一緒にいたい」と感じているのが想像できます。
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そんな眼をしないで 次に会う時の分までキスしよう
戸惑いもすれ違いでも 引き裂けやしないよ
≪ミズキリ 歌詞より抜粋≫
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同様に、ラストサビ前にも別れ際を想像させる歌詞が登場します。
「次に会う時の分までキスしよう」からは、離れる寂しさを少しでも埋めようとする主人公の気持ちが感じられるでしょう。
好きな人と一緒にいる幸せを噛みしめながらも、どこか不安そうな主人公の姿が浮かぶようですね。
「戸惑いもすれ違いも 引き裂けやしないよ」は、そんな不安を紛らわすために主人公が自分に言い聞かせている言葉なのかもしれません。
「ウシロムキは水切りしよう」の意味
楽曲タイトルの『ミズキリ(水切り)』には、
「水を取り去ること」
「石を水面で跳ねさせる遊び」
「生け花の水揚げの方法」
など多数の意味が存在します。
楽曲ではどの意味を表しているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
ヒントとなりそうなのが、1番サビ前の歌詞です。
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萎れかけた花に熱を与えたの
世界が変わるほどに 奇跡のように
≪ミズキリ 歌詞より抜粋≫
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「萎れかけた花」は主人公自身を表していて、「熱を与えた」=「恋をした」ことで見える世界が変わったことを表現しているのでしょう。
そして「花」というワードから、『ミズキリ』は「生け花の水揚げの方法」である水切りを指していると解釈できそうですね。
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あなただけが瞳に映るの
眼を閉じれば傍に居るの
全ての事を超えていくために
ウシロムキは水切りしよう
≪ミズキリ 歌詞より抜粋≫
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目を開けていても閉じていても、あなたばかりを感じている。
四六時中相手のことを考えていると読み取れるような、ステキな歌詞ですね。
「ウシロムキ」(後ろ向き)がカタカナで表現されているのも印象的で、もう少し深い意味があるように感じられそうです。
ここでの「ウシロムキ」とは、具体的に何を表しているのでしょうか。
2番サビの前に登場する、以下の歌詞を見てみましょう。
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もう二度と誰かのこと
好きになるなんてないと思ってた 間違いだね
≪ミズキリ 歌詞より抜粋≫
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もしかしたら、主人公は以前に失恋して辛い気持ちを味わっているのかもしれません。
相手と別れる時に不安を感じているのも、相手が自分の元から去ってしまうのを想像しているからと考えられそうです。
そんな過去の経験から、主人公がもう真剣に恋をするのはやめようと思っているとも考えられるでしょう。
しかし、再び傷つくことを恐れていては、好きな人と結ばれることはできません。
つまり、ここでの「ウシロムキ」とは「傷つくことを恐れて恋愛できない自分」を表しているのではないでしょうか。
水揚げの方法である「水切り」とは、花がよく水を吸うように水中で茎を切る行為を指します。
「ウシロムキは水切りしよう」には、恐怖心を断ち切って新しい恋へ飛び込もうとする主人公の意思が込められているのかもしれません。
ヒット曲ぞろいのアルバム「壱」も注目!
優里『ミズキリ』の歌詞の意味を考察しました。「後ろ向きな態度をやめる」という意味なら、「捨てる」「置いていく」など他にもさまざまな言葉が考えられるでしょう。
そんな中で「水切りしよう」と表現することで、今までの自分を断ち切るような主人公の姿が浮かぶようになっているように感じます。
『ミズキリ(水切り)』というワード自体も、意味を考察したくなる強烈なフックになっていますね。
同じく『SUPER RICH』の主題歌である『ベテルギウス』も、アルバム『壱』に収録されています。
ぜひアルバムを聞いて、優里の歌の世界にたっぷり浸ってくださいね。