少年の愛を描くBTSの人気曲をチェック
2019年4月発表のEP『MAP OF THE SOUL : PERSONA』のリード曲『Boy with Luv(feat. Halsey)』。
タイトルが「愛を持った少年」と訳せるこの曲は、少年が初めて愛を知っていく様子とその楽しさを表現しています。
韓国語バージョンのタイトルはハングルで「작은 것들을 위한 시(小さなものたちのための詩)」となっていて、成長を後押しするエールソングにも感じられますね。
グループ初の14億回再生を突破したMVは、楽曲のイメージにぴったりのパステルカラーを基調としたかわいらしい雰囲気です。
フィーチャーしたHalsey自身も出演。
劇場や街の風景をバックにBTSの華麗なパフォーマンスが繰り広げられる、ミュージカル映画のような豪華な作品に仕上がっています。
名作ミュージカル映画『雨に唄えば』を思わせる演出も登場し、映画ファンにとっても見所が満載です。
日本語ver.の歌詞から、楽曲に込められた意味を詳しく考察していきましょう。
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気になるのさHow's your day
Oh tell me
何が君の幸せ?
Oh text me
Your every picture
近くに置きたくて
Come be my teacher
教えて 君のこと
Your1,your2
≪Boy With Luv -Japanese ver.- 歌詞より抜粋≫
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主人公の少年は「How's your day(今日は一日どうだったか)」や「何が君の幸せ?」と、好きな人のことを知りたい気持ちを明らかにしています。
言葉でもメールでも彼女のことを教えてほしいと思っています。
「君」の写真は全部自分の近くに置いておきたいという想いも、好きな人がどんなことを楽しんでいてどんな表情でいるのかを知りたい気持ちの表れでしょう。
「Come be my teacher(僕の先生になって)」1も2も、くまなく教えてほしいと願っています。
君への愛を知って人生が変わった
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君と知り合ってya
変わった人生がya
些細な事すら些細でなくさせてくれたya
何から何まで
特別なmy babe
君のすがた 君のしぐさ
君の些細なところまで
≪Boy With Luv -Japanese ver.- 歌詞より抜粋≫
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主人公は、彼女と知り合ってから人生が変わったと語っています。
若い頃は、自分の興味のあること以外、あまり気にも留めないものです。
しかし「君」と出会ってから、それまで些細なことだと見過ごしていたものにさえ意識が向くようになり、時にはそれがとても素敵なものに感じたことすらあったのでしょう。
そんな風に、狭かった自分の視野を広げて新しい世界を見せてくれた「君」は、主人公にとって「何から何まで特別」な人。
外見や仕草だけでなく、普段の何気ない本当に些細なところまで魅力的に感じています。
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みんなは言う
あの少年が英雄になったと(Oh nah)
僕らは言う
端から運命じゃなかったと(Oh nah)
世界の平和(No way)
世の秩序(No way)
ただ君を守るよ
(Boy with luv)
≪Boy With Luv -Japanese ver.- 歌詞より抜粋≫
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周囲は主人公の良い変化を見て「あの少年が英雄になった」と口々に褒めるようです。
しかし主人公は「端から運命じゃなかった」と答えます。
「世界の平和」や「世の秩序」も確かに大切だけれど、自分の中にあるのは「ただ君を守るよ」という信念だけ。
それこそが運命だと気づいたから、変われたんだと伝えているようです。
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Listen my my baby僕は
羽ばたくあの大空を
(君がくれたこの翼で)
ここは遠すぎて
君と目を合わせたくて
Yeah you makin' me a boy with luv
≪Boy With Luv -Japanese ver.- 歌詞より抜粋≫
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サビの歌詞では主人公が「君」に呼びかけています。
「君がくれたこの翼」というフレーズは、彼女の存在が主人公の世界を広げ自由を与えてくれたことを意味していると考察しました。
また続く部分で「ここは遠すぎて」とあることから、予想以上に高く飛んでしまったとも考えられますね。
初めは見たことのない景色を喜び自由を楽しんでいましたが、そのせいであんなに知りたかった「君」から遠く離れてしまいました。
自由になってもなお「君と目を合わせたくて」と願う主人公の、純粋で強い愛に胸を打たれます。
「Yeah you makin' me a boy with luv」は「あぁ君は僕を恋する少年みたいにするんだ」と訳せます。
彼女のこととなるとただの不器用な恋する少年のようになってしまうという表現に、どれほど主人公が彼女に夢中になっているかが伝わってきますね。
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Yeah you makin' me a boy with luv
Oh my my my oh my my my
You got me high so fast
共にしたい全てを
Oh my my my oh my my my
You got me fly so fast
今なら そう、わかるんだ
Love is nothing stronger
Than a boy with luv
≪Boy With Luv -Japanese ver.- 歌詞より抜粋≫
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「You got me high so fast」は意訳すると「こんなに早く高みへ連れて行ってくれるなんて」となります。
「君」がくれた翼は、主人公をすぐさま空の高いところまで連れて行ってくれました。
主人公はそれをただ喜ぶのではなく、力を貸してくれた「君」と全てを共にしたいと考えています。
「Love is nothing stronger Than a boy with luv」のフレーズは、愛よりも、また愛を持った少年よりも強いものはないとはっきり訴えかけてきます。
愛する気持ちの尊さや育む楽しさを知った主人公は、無敵の存在。
この愛があれば何でもできるという確信が、きっと彼をより強くしてくれるはずです。
BTSとファンの関係を描いている?
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正直言うと
いつの間にか力み過ぎていた
高まったsky,広がったhall
時に逃がして欲しいと祈っていた
But your傷は僕の傷
気付いたんだ 誓うこの想い
君のイカルスの翼で
太陽じゃなく君へ
Let me fly
≪Boy With Luv -Japanese ver.- 歌詞より抜粋≫
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ここで主人公はやる気が空回りして力み過ぎていたことも、逃して欲しいと祈ることもあったと正直に告白します。
若さゆえの失敗は多かれ少なかれ誰にでもあるものです。
思い出せば恥ずかしくなるような考えや出来事にも正直になれたのは、やはり成長できたからなのでしょう。
「君の痛みは僕の痛み」と人の痛みを感じる優しい気持ちを知り、自身の心に芽生えた愛に気づきます。
その時「君」にもらった翼を君のために使うことを誓いました。
ここで出てくる「イカロス」とはギリシャ神話に登場する若者のこと。
イカロスは、父親の作った蜜蝋で固めた翼を用いて自由に飛ぶ能力を得たものの、太陽に近づきすぎたために蝋が溶けて、墜落死したという神話で有名です。
あえて「イカロスの翼」という言葉を使っているのは、その自由になる能力が自分自身の持っているものではなく「君」からもらったものであることを強調するためなのかもしれません。
少年の恋を描くにはスケールの大きな内容ですが、これをBTSとファンの関係に置き換えると答えが見えてきます。
メンバーたちもかつては空回りしたり、逃げ出したくなったりしたことがあるのでしょう。
それでも応援してくれるファンの存在のおかげで世界的アーティストとして知られるようになり、言わば翼を手にしたような状態です。
しかし、今よりもっと高いところにある「太陽」のような輝かしい栄光を求めすぎるとその翼は失われてしまいます。
それで、BTSは世界に認められるグループになった今だからこそ、改めて自分たちの世界を広げてくれたファンを想いファンのために進むと宣言しているということなのではないでしょうか?
韓国語版のタイトルの「小さなものたちのための詩」という言葉を改めて考えると、BTSのメンバーとファン1人1人がこの「小さなものたち」として1つになっていることを感じさせます。
互いへの愛が互いを強くしていると考えると、よりBTSに愛を届けていきたいと思えてきますね。
BTSからファンへのメッセージに感動
BTSの『Boy with Luv(feat. Halsey)』は、愛する人を見つけた少年の心情を描きつつ、BTSメンバーからファンへの愛のメッセージが込められた楽曲でした。少年の成長をテーマにしたのは、もしかしたらこれまでファンが成長させてくれたように、これからもさらに成長していきたいという気持ちを伝えたかったからかもしれません。
この曲のリリースから約3年、留まるところを知らないファン想いのBTSの活動からますます目が離せません!