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石川さゆり「天城越え」日本の名曲に描かれた女の情念…強烈な歌詞の意味を考察!

日本を代表する名曲の一つとして挙げられる石川さゆりの『天城越え』ですが、愛憎渦巻く恋愛模様が綴られた曲であることをご存じですか?旅の風景と女性の心情が織りなす複雑な歌詞の意味に迫ります。

「天城越え」は一途な女性の歌


1986年にリリースされた演歌歌手・石川さゆりの代表曲『天城越え』。

第28回日本レコード大賞で金賞を受賞し、NHK紅白歌合戦でも『津軽海峡・冬景色』と共に繰り返し歌唱されている日本の名曲です。

多くの著名なアーティストがカバーしてきたこともあり、よく知られた楽曲ですが、歌詞に注目するとその過激さに驚かされます。

実はこの楽曲は北条政子をモデルにしていると言われています。

親の決めた相手との婚礼の最中に自身の愛する源頼朝の元に走った北条政子のような、一途な女性像が描かれているのです。

さっそく歌詞の意味を詳しく考察していきましょう。

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隠しきれない 移り香が
いつしかあなたに 浸みついた
誰かに盗られる くらいなら
あなたを殺して いいですか
≪天城越え 歌詞より抜粋≫
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主人公の女性には「あなた」と呼ぶ愛する男性がいます。

しかし近頃、彼から自分とは違う誰かの「移り香」が香ってくることに気づいています。

香りが移るということは、それだけ長い時間密着しているということです。

主人公は彼の浮気が一度や二度ではなく長い期間行われていて、かなり親密な様子であることを察しています。

しかし、心底彼を愛しているため、別れを考えることはしません。

むしろ「誰かに盗られるくらいならあなたを殺していいですか」と、いっそ彼を殺して誰の元にも行けないようにしてしまいたいとさえ考えます。

『天城越え』の歌詞が怖いと言われるのは、こんな強烈なフレーズが出てくるからです。

ほかの女性のところへ行ってしまう彼への恨みがましい気持ちともう手放せないほどの愛情が混ざり合い、複雑な感情を抱いていることを感じさせます。

何があってもあなたと越えたい


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寝乱れて 隠れ宿
九十九折り 浄蓮の滝
舞い上がり 揺れ落ちる 肩の向こうに
あなた…… 山が燃える
≪天城越え 歌詞より抜粋≫
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天城峠への旅行中、宿で身体を重ねる二人。

「隠れ宿」というフレーズから、周囲に公にはできない関係であると解釈できます。

つまり主人公の方が浮気相手であり、彼と不倫関係にあるということです。

「九十九折り」と「浄蓮の滝」はどちらも天城峠にある名所なので、主人公が恋人と二人で見た旅の景色を印象深く心に留めている様子と捉えられるでしょう。

また「九十九折り」の曲がりくねった道と「浄蓮の滝」の水が激しく滝壺に落ちていくさまを、先の見えない自身の不倫関係と重ねているのかもしれません。

夢中で快楽に溺れる彼の肩越しに見た窓の向こうには、紅葉で真っ赤に色づく天城峠の山が見えます。

その景色には燃え上がる自分たちのひと時を重ね、言いようのない気持ちが胸にこみ上げてきます。

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何があっても もういいの
くらくら燃える 火をくぐり
あなたと越えたい 天城越え
≪天城越え 歌詞より抜粋≫
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そんな切なくも熱い時間を過ごし、主人公は「何があってももういいの」とこの関係を受け入れることを決めたようです。

「くらくら燃える火」は紅葉の景色をくぐり天城峠を越えるように、困難ばかりが待ち受ける人生を進む覚悟を感じさせます。

真っ当さや安らぎとは無縁でもいいから、彼と二人で生きていきたいという想いの表れでしょう。

たとえ行き着く先が死であろうと自分の人生の峠を「あなたと越えたい」のです。

「刺さったまんまの割れ硝子」の意味とは


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口を開けば 別れると
刺さったまんまの 割れ硝子
ふたりで居たって 寒いけど
嘘でも抱かれりゃ あたたかい
≪天城越え 歌詞より抜粋≫
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彼は口では妻と「別れる」と繰り返しながらも、実行に移す素振りが見られません。

続く「刺さったまんまの割れ硝子」という言葉は、彼女の心情を示す比喩表現と考えられます。

おそらく彼の不誠実な振る舞いが、割れた硝子の破片のように鋭く心に突き刺さっているのでしょう。

しかし、彼はそのことに気づいていないか気づかないふりをしていて、そのせいで彼女を傷つける原因は取り除かれないまま脆い心を傷つけ続けています。

「ふたりで居たって寒い」という言葉から、彼と一緒の時間を過ごしていても本気で愛されていないために寂しさが募っていることが伝わってきますね。

それでも「嘘でも抱かれりゃあたたかい」と、身体を重ねることで肌の温もりを感じ孤独感を紛らわそうとしているようです。

それがいかに虚しいことかにも気づいていますが、束の間の幸せを手放すことができないでいます。

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わさび沢 隠れ径
小夜時雨 寒天橋
≪天城越え 歌詞より抜粋≫
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清らかな水の流れる静かな「わさび沢」の「隠れ径」で寄り添った時間は、きっとごく普通の恋人同士のような穏やかな時間だったことでしょう。

「小夜時雨」は冬の夜に短い時間だけ降る雨のことです。

その幻想的な情景に浮かぶ「寒天橋」は、彼女の目にどのように映ったのでしょうか?

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走り水 迷い恋
風の群れ 天城隧道
恨んでも 恨んでも 躯うらはら
あなた…… 山が燃える
≪天城越え 歌詞より抜粋≫
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「走り水」は田んぼに水を引く際の風景を表し「天城隧道」は天城トンネルを指す言葉です。

このように天城峠の風景を歌詞にいくつも取り入れることで、幸せな旅と心の中の複雑な想いが対比されてよりこの恋の切なさが際立っているように思えます。

「迷い恋」というフレーズから、主人公がこの恋を続けていていいのかと悩んでいる様子も見えてきますね。

しかし、彼のことをどんなに恨んでも、身体を重ねれば悦びに浸ってしまう自分の裏腹な気持ちに苦しんでいます。

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戻れなくても もういいの
くらくら燃える 地を這って
あなたと越えたい 天城越え
≪天城越え 歌詞より抜粋≫
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最後には元の生活に「戻れなくてももういいの」と、破滅への道を進む決意が示されています。

その人生はきっと「くらくら燃える地を這って」進むように、世間的に険しく惨めな人生になるでしょう。

それでも愛する人と共に生きられるならそれでいいという強く深い想いが心に刺さります。

「天城越え」の歌詞の魅力を感じよう

石川さゆりの『天城越え』の歌詞には、不倫関係にある男性への情念に駆られる女性の心情が描かれていました。

相手が最低な男だと分かっていながらも手放せない様子に、幸せなだけではない愛の恐ろしく切ない側面が垣間見えます。

強烈でありながら繊細な美しさも表現する昭和の名曲の素晴らしさを改めて感じてください。

石川 さゆり(いしかわ さゆり)は、1958年熊本県出身の演歌歌手である。 小学1年生の時に島倉千代子の歌謡ショーに感動したことをきっかけに歌手を志す。1972年フジテレビ系列番組「ちびっ子歌謡大会」への出場をきっかけに事務所に所属することとなる。1973年から1997年まではホリプロに所属···

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