15周年の節目を迎えたSuperfly
今年デビュー15周年を迎えるSuperfly。
『Voice』はその記念日にあたる2022年4月4日にデジタルシングルでリリースされました。
初披露の時はまだ未完成だった歌詞や音楽を、その後も時間をかけて丁寧に作り込みリリースに至ったそうです。
長い時間をかけて作り込まれた『Voice』には、不安や悲しみが多いこの世界に生きる私たちへのメッセージが力強く表現されています。
作詞作曲をしたSuperflyのボーカル越智志保は何を思いながらこの楽曲を制作したのでしょうか?
歌詞の意味を考察していきます。
「Voice」に出てくる「私」は誰を表しているか
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どうすればいいの 心が破裂しそう
行き場もなく 消えかけた声が暴れている
眠れずに 苦しむ理由は何?
矛盾だらけの 真逆の気持ちのはざまで
嫌われたくなんてないの いい人でいたい
でも私は変わる 臆病にさよなら
≪Voice 歌詞より抜粋≫
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1番の冒頭は自分の中の負の感情を抑えることができずに苦しむ様子が描かれています。
モヤモヤした気持ちを誰かにぶつけたいけど「嫌われてしまうかもしれない...」と考えて我慢してしまうことは、多くの人が経験したことのある苦しみではないでしょうか。
『Voice』の登場人物はそんな自分を変えたいと感じているようです。
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悲しみを歌おう 何度でも叫ぼう
残酷な世界に 愛をおこして
こぼせない涙 繰り返す悲劇
言いなりの私を壊すの
このガラパゴスで
≪Voice 歌詞より抜粋≫
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嫌なことがあっても声を出せない自分、そして繰り返される悲劇を自分の手で壊していこうと歌われています。
この歌詞にも出てくる登場人物の「私」は誰を表しているのでしょうか?
ストレートに解釈すると、作詞をした越智自身が「弱い自分を変えたい」と表現していると読むことができます。
その一方でこの『Voice』のリスナーや口ずさむ人が、歌詞の「私」を自分に置きかえて考えて欲しいという願いが込められているのではないでしょうか。
誰しもが感じたことのある悲しみや苦しみだからこそ、多くの人が共感できる楽曲になっていると感じます。
嫌なことと向き合う勇気をくれる歌
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本当はきっと 似た者同士かもね
栄光にすがる方がずっと心地いいもの
生きるには 傷つく勇気もいる
人間って 臆病で脆い生き物
夕焼けに飛び立ってく あの鳥のように
鋭い眼差しで 世界を見下ろして
≪Voice 歌詞より抜粋≫
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ここの歌詞には主語がないため、誰と誰が似たもの同士なのかを読み解くことはできません。
おそらく「自分と、自分に嫌なことを与えてくる誰か」のことではないかと推察できます。
嫌なことから目を背けていた方が楽ではあるけど、傷つく勇気を持たないと世界は変わらない。
つまりは闘う勇気を持つことを促していると考察することができます。
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思いきり笑おう 枯れるまで叫ぼう
透明な世界へ 愛で壊して
怖いけど進もう 正義など知らない
これからの私を愛して
救いたい
≪Voice 歌詞より抜粋≫
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「正義など知らない」というフレーズから、闘うことは正義感とかではなく、
思い切り笑いたいから、そしてこれからの私=一歩踏み出した自分を好きになりたいからと解釈することができます。
そしてここの歌詞最後の「救いたい」の言葉。
これは越智志帆から今苦しんでいる人たちへ、心からの一言のように感じました。
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この雲を抜けて 暗闇を抜けて
灰色の世界に 愛を咲かせよう
嫌われていいの 正直なままで
新しい私を始めよう
このガラパゴスで
≪Voice 歌詞より抜粋≫
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暗雲立ち込める世界を変えて、愛がたくさんある世界にしようと歌われています。
闘って得るものは、勝ち負けや栄光ではなく愛のある世界であって欲しいと願いが込めらているように受け取ることができました。
サビの最後に出てくる「ガラパゴス」は(独自に発展している)孤島という意味を持つ言葉で、世間に対しての個人、もしくは世界に対しての日本のことを指していると解釈することができます。
個人や日本から悲しみの声を上げることで世界を変えていきたい。
『Voice』にはそんなメッセージが込められた楽曲だと考察することができました。
MV最後は30秒の沈黙。その意味とは
『Voice』には世の中に訴えかける強いメッセージが表現されていました。そしてこの世界を変えるためには一人一人が声を上げることが必要であると歌われています。
YouTubeで配信されている『Voice』のMVには、曲が終わった後に30秒の無音でクレジットが流れる映像が差し込まれています。
この曲を考察した後に改めてMVをみると、この30秒はクレジットを流す為だけではなく私たちリスナーに改めて考える時間を与えているのではないかと感じました。