ユーミンの大ヒット曲に込められた想いを考察!
『やさしさに包まれたなら』は、荒井由実(現:松任谷由実)が1974年にリリースした楽曲。
デビュー40周年を記念してリリースされたベストアルバム『日本の恋と、ユーミンと。』にも収録されており、世代を超えて多くの人に愛されている楽曲です。
ジブリ映画『魔女の宅急便』のエンディングテーマとして記憶している方も多いのではないでしょうか。
そんなユーミンの名曲『やさしさに包まれたなら』の、歌詞の意味を考察します。
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小さい頃は神さまがいて
不思議に夢をかなえてくれた
やさしい気持で目覚めた朝は
おとなになっても 奇蹟はおこるよ
カーテンを開いて 静かな木洩れ陽の
やさしさに包まれたなら きっと
目にうつる全てのことは メッセージ
≪やさしさに包まれたなら 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞は、大人になった主人公が幼い頃の自分を回想していると解釈できます。
「不思議に夢をかなえてくれた」ことは、子どもならではの無邪気で素直な姿を表しているのかもしれません。
小さい頃はやりたいことを「やりたい」、欲しいものを「欲しい」と素直に表現していた方も多いでしょう。
一方で、大人になると周りを気にしてしまったり、失敗を恐れてしまったりと、自分の行動に自ら制御をかけてしまう場面も多いのではないでしょうか。
そんな時にふと外を見ると、昔と同じように太陽の光が注いでいることに気づくはずです。
時が経つに連れて変化したのは自分自身であって、周囲の環境が変わったのではないでしょう。
子供の頃のように素直に生きていけば、もっと世界は素敵なものに見えてくるはず。
「大人になっても、私たちはもっと自由に生きていい」というメッセージが込められているように思います。
「くちなしの香り」をどう解釈する?
1番同様に、2番の歌詞も主人公が過去を振り返っていると捉えられます。
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小さい頃は神さまがいて
毎日愛を届けてくれた
心の奥にしまい忘れた
大切な箱 ひらくときは今
≪やさしさに包まれたなら 歌詞より抜粋≫
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歌詞では「神さま」と表現されていますが、幼い頃に毎日愛を届けてくれた人物と言うと、両親の姿が思い浮かぶのではないでしょうか。
周囲からたくさんの愛情を受け取りながら、私たちは大人になっていきます。
しかし、成長する過程で親とぶつかることもあれば、愛情さえ鬱陶しく感じてしまうこともあるでしょう。
さらに時が過ぎて親元を離れた時、初めて育て親の有難みに気づくものかもしれません。
「大切な箱」とは、いつしか忘れてしまう「感謝の気持ち」を示しており、大人になった今こそ感謝を伝えていくべきだという想いが込められているように思います。
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雨あがりの庭で くちなしの香りの
やさしさに包まれたなら きっと
目にうつる全てのことは メッセージ
≪やさしさに包まれたなら 歌詞より抜粋≫
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歌詞中の「くちなし」は、庭先などで見られる常緑低木で、6月〜7月頃に花を咲かせます。
「雨あがり」の言葉も見られるので、ちょうど梅雨の時期を描いているのかもしれません。
また、アメリカでは男性が女性をダンスに誘う際に、くちなしの花を贈る風習があったそう。
そんな話を踏まえると、主人公に素敵な出会いがあったことを表しているとも解釈できそうですね。
くちなしの花言葉は「とても幸せです」であり、いわば幸せの象徴。
愛されていた側から、今度は自分が家族を作り愛する側へ、愛情が受け継がれていく様子が描かれているとも捉えられるでしょう。
「やさしさに包まれたなら」はスピリチュアルソング?
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カーテンを開いて 静かな木洩れ陽の
やさしさに包まれたなら きっと
目にうつる全てのことは メッセージ
≪やさしさに包まれたなら 歌詞より抜粋≫
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『やさしさに包まれたなら』の中でも特に印象的なフレーズが、サビのラストに歌われる「目にうつる全てのことは メッセージ」ではないでしょうか。
歌詞中で3回繰り返されるこのフレーズは、「偶然の出会いを大切にしよう」というスピリチュアル的なメッセージのように思えます。
人、情報、本や音楽などあらゆるものに関して、私たちが生きている内に出会えるのは、この世に存在する中の一握りでしょう。
すべてのものには出会えないからこそ、出会えたものには運命的な意味があると言えるかもしれません。
特に子供の頃は、目にするもの、耳にするものすべてが新鮮で、さまざまなことに興味を抱いたのではないでしょうか。
同じように、大人になってからも周りをもっとよく見れば、素敵な出会いは溢れているのでしょう。
「考え方を変える」という解釈で歌詞を見ていくと、「カーテンを開いて」は「心を開いて」の意味にも捉えられます。
子どもの頃のように穏やかな気持ちでいれば、自分にとって大切なことに気づけると教えてくれているのかもしれません。
「やさしさに包まれたなら」は大人になってからこそ聴きたい名曲
荒井由実(松任谷由実)の大ヒット曲『やさしさに包まれたなら』の歌詞を考察しました。小さい頃から聞き馴染みのある方も多いかもしれませんが、大人になってから改めて歌詞を見ると、より心に響くものがあるのではないでしょうか。
1974年にリリースされた『やさしさに包まれたなら』は、絢香や植村花菜など、数多くのアーティストにカバーされています。
忘れていた大事なことに気づかせてくれるようなこの曲は、何年経っても愛され続けていくのでしょう。