マッチングアプリで知り合った彼との運命の出会い
2022年9月28日に配信リリースされた人気ロックバンド・クリープハイプの新曲『愛のネタバレ』は、同月8日に大阪城音楽堂にて開催されたライブ「クリープハイプの日2022大阪」で初披露された楽曲です。リリース前から楽曲タイトルの“ネタバレ”にちなんで楽曲情報が漏洩する「愛のネタバレの10のネタバレ」企画が実施され、ファンを大いに盛り上げました。
難解な歌詞と衝撃のラストを迎える俳優の荻原みのり出演のMVが印象的で、クリープハイプの楽曲の中でも特に様々な考察がなされています。
尾崎世界観が綴る日常を切り取る絶妙な歌詞から、意味を考察していきましょう。
\曲を聴きながら記事を読む/
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初めて見た時初めて見たと思えたそれだけで
当たり前だけどなんか嬉しかった
どこかであったような気がするよりもっと運命で 好きだと思ったんだ
≪愛のネタバレ 歌詞より抜粋≫
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誰かを初めて見た時に、大抵は何も感じませんが、気になる人がいると「初めて見た」ということを意識するのではないでしょうか。
実際に初めて見るのだから当然の感想ですが、そんな当たり前のことが主人公には嬉しく感じられるのです。
よく運命の出会いを語る場合には、会ったことがないのに「どこかであったような気がする」と言われることが多いように思います。
しかし、主人公はこの自然な出会いの方が「もっと運命で好きだと思ったんだ」と告白しています。
おそらく彼女の一目惚れでこの恋は始まったのでしょう。
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星5のうち3.2 なんとも言えないこの評価
好きか嫌いかで言えば好き でもここからはネタバレを含む
この人を好きな人は こんな人も好きだろうとか
誰かが決めた人じゃなくて
ここからネタバレ
≪愛のネタバレ 歌詞より抜粋≫
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「星5のうち3.2 なんとも言えないこの評価」というフレーズは、マッチングアプリでのユーザーの評価のことを表していると考察できます。
口コミサイトでは星3以上の評価であればそれなりに良いと見られますが、個人が評価されるマッチングアプリで「3.2」だと少し考えてしまいますよね。
「好きか嫌いかで言えば好き」だけど、恋人にしたいかと言うとそこまでではないという意見が透けて見えてしまうのではないでしょうか。
とはいえ、そんな微妙な評価を受けている男性を好きになるかどうかは自分次第です。
また「この人を好きな人はこんな人も好きだろう」という言葉は、マッチングアプリ内でプロフィールや閲覧履歴などの情報を元にしておすすめのユーザーをレコメンドする機能のことを指していると解釈できます。
しかし、そんな風に「誰かが決めた人じゃなくて」、ましてや他人の評価に流されず自分で好きになった人と恋をしたいという気持ちが見えてくる気がします。
きっと主人公はマッチングアプリを通じて知り合った彼と直接会い、一目惚れして彼との恋を始めたのでしょう。
ここから始まる「ネタバレ」とはどんなものなのでしょうか?
「愛のネタバレ」は別れのこと
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これでお別れ 握りしめた手 笑えないって 笑えがんばれ
夜のコンビニ 駅前の椅子 帰り道で
泣きそうになる っていうか泣いてる
≪愛のネタバレ 歌詞より抜粋≫
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冒頭の幸せな雰囲気とは打って変わって、ここでは別れが描かれています。
つまりタイトルの「愛のネタバレ」とは別れのことと考えられます。
愛の結末にはどんな形であれ必ず別れが待っているので、確かに「愛のネタバレ」と言えるでしょう。
つらい別れを前に、笑えないけれど「笑えがんばれ」と自分に言い聞かせています。
「夜のコンビニ 駅前の椅子 帰り道で」の歌詞が、別れた後に主人公が歩いている風景を伝えてきます。
何気ないいつもの風景でありながら、夜の暗さや静けさが寂しい気持ちをより膨らませるのでしょう。
強がってみせても次々と流れる涙を自分でも止めることができません。
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急上昇ワード1位 「二人でいるのに一人みたい」
言われたあの日から いつまでも忘れられなくて
最後に見た時最後に見たと思ったそれだけで当たり前だけどいつも愛しかった
≪愛のネタバレ 歌詞より抜粋≫
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Twitterの「急上昇ワード」のように、交際中に繰り返し言われるようになった「二人でいるのに一人みたい」という言葉。
愛しているのに伝わらず、恋人に寂しい思いをさせた結果別れることになったようです。
別れの日、これが彼を見る最後になるのかと考えて「いつも愛しかった」気持ちを振り返ります。
もしかしたら別れを回避する方法はあったのかもしれませんが、何を思ってももう手遅れです。
寂しいけれどこれが愛
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あの口コミで知りました あなたの奥の方
蜂蜜みたいな味とか 嘘ついたけど
だから これでお別れ まるでネタ切れ
握りしめた手を振り払え
自分の家が自分の家過ぎて やっと笑えた
≪愛のネタバレ 歌詞より抜粋≫
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「蜂蜜みたいな味とか嘘ついたけど」のフレーズは『蜂蜜と風呂場』の歌詞とリンクしています。
「あの口コミ」は「口込み」という意味も含まれているようで、二人が身体を重ね愛を深めていた様子が垣間見えますね。
それでももう「これでお別れ」です。
ここで「だから」とついているのは、相手に気を遣って嘘をついているような関係では終わってしまうのは当然という考えを示していると考察しました。
ネタ切れになった作家みたいに、二人の愛の物語をこれ以上生み出すことができません。
きっぱり想いを断ち切るために「握りしめた手を振り払え」と自分自身に強く言い聞かせます。
そうして別れ、心を乱されて帰ってきた自分の家があまりにもいつもと変わらず普通だと感じた時に「やっと笑えた」ようです。
張り詰めていた気持ちが解けて無性に笑えてきた主人公の気持ちが切なく心に響きます。
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誰かの落とし物 どこかで花火
たまに間違えるスーパーライト
初めて別れて 初めて別れたと思った
当たり前だけどそれが悲しくて
泣きそうになる っていうか泣いてる
ぜんぶネタバレ
≪愛のネタバレ 歌詞より抜粋≫
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道端でふと見かけた「誰かの落とし物」や遠くで聞こえる「どこかで花火」が上がる音といった描写は、どことなく寂しさや侘しさを感じさせますね。
続く「スーパーライト」はおそらくタバコの銘柄のこと。
別れのつらさでぼんやりと過ごしているせいで、自身の好みの銘柄さえたまに間違えてしまうようです。
「初めて別れて」とあるので、相手が初めての恋人だったか初めて本気で愛した相手だったと解釈できそうです。
愛する人との別れはこんなにも苦しいものなのかと理解した時が、きっと本当の別れなのでしょう。
そんなことを考えると、どうしても悲しくてまた泣けてきます。
この楽曲は最後に「ぜんぶネタバレ」という言葉で締めくくられています。
ここまでの出来事がすべて彼女の想像だったのか、本当にあったことなのかは定かではありません。
どちらにしても、別れを含め思い出す記憶のあれこれが全て恋人への愛から生まれたものという意味で、交際中のどの行動もその人が持つ愛を明かしていると言えるのではないでしょうか。
人はそうしてネタバレを繰り返しながら、愛の全容を知っていくものなのかもしれませんね。
歌詞とMVからストーリーを考察してみよう!
メジャーデビュー10周年を迎えたクリープハイプが贈る『愛のネタバレ』は、尾崎世界観らしい斬新な切り口で愛について歌うラブソングでした。MVを通して見ると歌詞の解釈も変化し、様々な見方ができるのがこの楽曲の面白いところです。
ぜひ多くのファンの考察をチェックしながら、あなたなりの答えを見つけてみてくださいね。