カムバック曲は先行公開曲「Allergy」のアンサーソング
韓国のグローバルガールズグループ・(G)I-DLE(読み方:ジー・アイドゥル)が2023年5月15日、前作から約7ヶ月ぶりのリリースとなる6thミニアルバム『I feel』を引っ提げてカムバックしました。プロデューサーでリーダーのソヨンを中心に、収録された6曲全ての作詞作曲にメンバーたちが参加しており、自主プロデュースアイドルとしての存在感を改めて証明する作品となっています。
今作のアルバムのキーワードは、個人的な考えや感情によって変化する自尊心です。
アルバムの正式発売に先立って先行公開された収録曲『Allergy(アレルギー)』では、SNS上の他人と比較する自分を恨みながらも、自分自身を愛したいという相反する感情に悩む20代の等身大の姿を表現していました。
そしてこの記事で紹介するタイトル曲『Queencard(クイーンカード)』は『Allergy』のアンサーソング。
MVも『Allergy』の続編となっており、1990年代後半から2000年代初頭を舞台に平凡な女性の変化を描いています。
これらのMVのコンセプトは「アメリカのTVシリーズ」で、映画『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング(I Feel PRETTY)』や『White Chick』からインスピレーションを受けたそうです。
楽曲タイトルの「Queencard」とは、合コンや組織の中で一番かわいくて人気な女性のことで、マドンナ的な存在と言えるでしょう。
『Allergy』で外見にコンプレックスを持っていた主人公・ソヨンが周囲に愛される「Queencard」となれるのか。
公開から18日で1億回再生を再生を突破した、大注目のMVのストーリーを解説していきたいと思います。
外見が変われば世界が変わる?
まずMV冒頭で、整形手術を終えて退院するソヨンの目には医師たちが微笑みかける様子が映ります。
これがソヨンが待ち望んでいた反応なのでしょう。
続く部分で、ソヨンが憧れていた人物の1人であるフィットネストレーナーのミンニが登場し、彼女のあまりの美しさに信号がクラッシュして事故が起こってしまいます。
しかし振り返ったその女性の顔はミンニではなくソヨンでした。
シーンが変わって華やかなファッションのソヨンがショップに登場すると、いつの間にかウギに変身してしまいます。
そんなウギとシュファが見守るのは『Allergy』でミンニに彼氏を奪われて傷心していたインフルエンサーのミヨンの変貌です。
自信を取り戻したミヨンは元カレと寄り添っているミンニと出会っても動揺することもなく、むしろ自ら近づいてハグして完全に失恋を乗り越えたことを示しました。
次に映し出されるのは、人がひしめくクラブの中です。
中央に進み出たミンニの存在は圧倒的で、周囲の注目を独り占めしていきます。
そこからウギとシュファ、ミンニとミヨンが対抗してダンスバトルが始まり、ソヨンが憧れる4人の“Queencard”が人々の視線を集める様子が描かれています。
夢から覚めて気づいた本当に大切なこと
翌日、ショップ店員のウギとシュファは前夜のクラブでの様子を回想しているようです。
その中でウギのインスタグラムアカウントが表示されますが、撮影されていたのはミンニの服装で踊っているソヨンでした。
またほかのメンバーの姿も鏡やスマホの画面に映るとソヨンに変わってしまうシーンが多数出てくることから、憧れの存在となって周囲の注目を集めていた模様は全てソヨンの妄想であったことが判明します。
そもそもまだ手術は始まっておらず、麻酔をかけられて眠っているソヨンが夢を見ていたに過ぎなかったということです。
現実ではいよいよ手術が始まるという時に麻酔が切れてしまい、手術は失敗に終わります。
手術ができなかったにも関わらず、病院を出て街を歩くソヨンの表情は晴れ晴れとしているのが印象的です。
通りがかったショップの店内からウギとシュファに手を振られて戸惑っていると、スマホに通知が来ます。
SNSを開いてみれば夢だったはずのクラブでの写真が投稿されていて、そこにソヨンを称えるコメントがたくさん届きます。
その時、外見が変わらなくてもありのままの自分を愛してくれる人がいることに気づいたのです。
彼女に必要だったのは美しい容姿でも魅力的なスタイルでもなく、自分自身を愛すること。
どんな自分も魅力的だと愛することで生まれる自信がその人を輝かせます。
そしてそんな内なる輝きを持っている人は、自然と周囲の人の目にも魅力的に映るものです。
つまり『Queencard』では人に愛されたいのならまず自分が自分を愛してあげようというメッセージが込められていることが理解できますね。
ラストの「I FEEL」に込めた想いとは
MVのラストで、アルバムタイトルでもある「I FEEL」に続く単語が次々と変化して表示されているところにも注目できます。
その単語は順に「SEXY」、「PRETY」、「BLUE」、「LONELY」、「ALLERGY」と続き、最後に「I FEEL YOU」で締めくくられます。
「I FEEL」は直訳すると「私は感じる」となるので、自身の気持ちを表現していると解釈できるでしょう。
つまり、自分をセクシーで美しいと感じる自信満々な時もあれば、憂鬱になったり寂しくなったりして自分にアレルギーを感じるような時もあるということが示されています。
そして「I FEEL YOU(あなたの気持ち分かるよ)」と締めくくっていることで、誰もがそんな矛盾した感情に揺れているから心配しなくていいと励まされているように感じます。
実際に主人公を演じたソヨンは練習生時代にラップスキルが高く評価されながらも、ネット上で容姿に関する批判を受けるというつらい時期を経験しました。
しかし今では自尊心が高いメンバーたちの姿から良い感化を受け、容姿にコンプレックスを感じることがなくなったようです。
SNSで他人と比べてしまうことが日常化した現代では自尊心を失いやすいですが、羨むような投稿をしている人も『Allergy』や『Queencard』のMVで描かれていたようにそれぞれ悩みや問題を抱えているはずです。
だから他人を羨むのではなく、自分が自分であることを誇りポジティブに生きていくよう促されます。
全ての女子の自己肯定感を上げてくれる神ソング!
『Queencard』の歌詞とMVは、一貫してありのままの自分を愛して自信を持つことの大切さを教えてくれます。自信に満ちて輝いている(G)I-DLEでさえ悩む時があることを知ると同時に、自信がどれほど人を輝かせるかを彼女たちの姿から見ることができ、リスナーの自己肯定感を上げてくれる楽曲です。
ぜひMVの細部にまで注目して、(G)I-DLEが見せる映画のような世界を楽しんでくださいね!