AKB初の朝ドラ主題歌
2015年に発表されたAKB48の『365日の紙飛行機』は、2015年度下半期放送のNHK連続テレビ小説『あさが来た』の主題歌です。AKBやその姉妹グループがNHKの主題歌として採用されたのは本作が初で、アイドルグループとして日本全国で認知度や人気が高まっていた事がうかがえます。
センターポジションを務めたのは、NMB48およびAKB48のメインメンバーとして活躍していた山本彩です。
というのも、作詞を手掛けた秋元康が山本の急成長に感銘を受け、彼女をセンターに据えた楽曲制作を開始したのです。
『365日の紙飛行機』は人生における過程や成長をテーマにしており、山本の実直で努力家な生き方と重なる部分が大いに生み受けられます。
彼女の音楽面が評価され、ソロとして度々ギターの弾き語りと共に本作を披露してきました。
年末恒例となる「NHK紅白歌合戦」では、第66回（2015年）にNMB48、第68回（2017年）にAKB48がそれぞれ本作を歌唱。
特に後者は「AKB48の歌唱曲目投票企画」の中で2位を勝ち取り、ファンを問わず根強い人気を証明しました。
歌いだしに隠された仕掛け
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朝の空を見上げて
今日という一日が
笑顔でいられるように
そっとお願いした
時には雨も降って
涙も溢れるけど
思い通りにならない日は
明日 頑張ろう
≪365日の紙飛行機 歌詞より抜粋≫
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一日の始まりに、今日という日の幸せを願う主人公が描かれており、冒頭から清々しい空気感が感じられます。
「あさが来た」という朝ドラのタイトルや、ヒロインが「白岡あさ」という名前であることから、”あさ”というドラマのキーワードを1言目に持ってくるという秋元の手腕が光ります。
Aメロでは、シンプルな表現で人生の紆余曲折が丁寧に描かれています。
上手くいかない日もくよくよせず、明日の自分に託そうとする様は、とても前向きな気持ちにさせてくれます。
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ずっと見てる夢は
私がもう一人いて
やりたいこと 好きなように
自由にできる夢
≪365日の紙飛行機 歌詞より抜粋≫
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夢の中ではのびのびと好きなことを自由にやってる自分が存在しています。
これは、理想と現実のギャップを投影しているのではないでしょうか。
しかし、人間が想像出来ることはほとんどが実現可能と言われるように、すでに思い描けているということは、実際に行動に移せる可能性を秘めています。
本作では、出来ないことに対して鬱屈とするのではなく、好きなことややりたいことに踏み出す糸口を前向きに探そうとしている印象を受けます。
紙飛行機で”人生”そのものを表現
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人生は紙飛行機
願い乗せて飛んで行くよ
風の中を力の限り
ただ進むだけ
その距離を競うより
どう飛んだか どこを飛んだのか
それが 一番 大切なんだ
さあ 心のままに
365日
≪365日の紙飛行機 歌詞より抜粋≫
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サビに辿り着くと、楽曲中に登場する「紙飛行機」が”人生”そのものを指していることが分かるでしょう。
ただ出来ることをやってみようというポジティブな姿勢が伝わってきます。
そして、結果よりも過程を大切にし、その過程を通して何を感じたのかという問いが最も印象深く描かれてることが分かります。
自分の心が赴くままに1年365日を生きてみようというメッセージが込められています。
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人生は紙飛行機
愛を乗せて飛んでいるよ
自信持って広げる羽根を
みんなが見上げる
折り方を知らなくても
いつのまにか飛ばせるようになる
それが希望 推進力だ
ああ 楽しくやろう
365日
≪365日の紙飛行機 歌詞より抜粋≫
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人生という名の紙飛行機は、自分と関わってくれる人々の愛情がとても大きなエネルギーになります。
自分の力で風に乗って飛んでいたつもりが、実はたくさんの人の応援によって支えられていたことを表現しているのかもしれません。
初めて何かに挑戦するときはやり方が分からなくても、いつの間にか出来るようになっている様を紙飛行機の折り方や飛ばし方に重ねて表現しています。
そして、少しずつ掴んだ”出来た”という実感が、次のステップへの希望や推進力になるのではないでしょうか。
最終的に「楽しく生きる」という人間の本質的な幸せに辿りつくのでした。
『唇にBe My Baby』のカップリング曲
今回は、AKB48の『365日の紙飛行機』の魅力を歌詞の意味から考察してきました。良い意味でアイドルソング過ぎず、歌詞の中には深いテーマが静かに存在している名曲でした。
本作はAKB48の42ndシングル『唇にBe My Baby』のカップリング曲として収録されたほか、各種音楽配信サイトでダウンロードすることも出来ます。
普段アイドルの楽曲を聴かない人も、この機会にぜひ聴いてみてください。
