星街すいせい「綺麗事」が276万再生突破
星街すいせいは、ホロライブプロダクション所属のバーチャルアイドルです。2018年3月22日にデビューを果たした後、2024年には渋谷で路上ライブを敢行。
翌年には夢として掲げていた武道館ライブを成功させました。
デビューから目覚しい活躍を見せている星街すいせい。
透明感がありつつ芯のあるボーカルが印象的です。
『綺麗事』は、2025年5月19日にYouTubeに公開され、2025年6月現在で277万再生を超える人気を誇っています。
彼女の歌声が刺さる理由は何か、歌詞に寄り添いながら考察していきます。
綺麗事だけでは生きていけない人生

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同じことばかりの日々に
ああ 意味を求めて寄り添い合うの
ひしめき合うカラーフィルターの奥で笑ってる
散々恨んだ狡猾さが
今、自分なりの生き方なのに
潔癖な思考に縛られたままで
≪綺麗事 歌詞より抜粋≫
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日々を生き抜く中で身に付けた狡猾さに辟易としながら、上手く生きていく。
生きる力としての武器なのに、「潔癖な思考」に支配されて苦しくなる。
自分なりの正解を手に入れたのに、消えない違和感を抱えている生きにくさが滲んだ歌詞です。
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強がるくせに唇を噛む
分かってない素振りをしてばかり
綺麗事を吐くその口が嫌いだから歌を歌うんだ
諦めているその顔が僕の事を曇らせる
≪綺麗事 歌詞より抜粋≫
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人前では苦悩を感じさせないように強がりながら、唇を噛む。
誰にも言えない孤独を抱える姿は、見ていて苦しくなります。
綺麗事を吐き出しながら自分の痛みに蓋をする。
そんな姿を見ているのが辛くて、助けたくて歌うのに届かない。
そんなもどかしさが滲んでいます。
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こんな声だって伝わらなくて
もっと完璧な言葉を紡ぎたくて
ずっと欲張って
きっと間違えて
今日も転げ落ちる
不完全な朝
≪綺麗事 歌詞より抜粋≫
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綺麗事で自らの首を絞める「君」も、そんな「君」を救いたくて歌う「僕」も、求める自分にはなれなくて苦しんでいるのでしょう。
完璧からはほど遠い声。
届かない歌。
もどかしさを抱えたまま日々を転がる姿には、不器用な優しさが光ります。
思いを届けたいのに伝わらないもどかしさ

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本音も言えない日常にはただ「理想なんて」と嘲け笑う声
言い返す言葉も選べずに ただ増していく痛み
虚勢を張る衝動で隠して 綺麗なままで生きてたいのか
諦めを塗り重ねて 「本当」が見えなくなってしまうんだ
≪綺麗事 歌詞より抜粋≫
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不格好なままでも、自分の理想を貫ければいいのに、現実はなかなかそうもいきません。
周りの圧に押されて本音も言えず、言い返す気力さえも奪われる日々。
本音を隠し続けている内に、本当の自分の気持ちすら見失ってしまうのは、切ないものです。
目立つこと、反論することが悪いこと、避けるべきことだと言う認識が強い昨今、他人に囲まれて生きていくことの息苦しさは増しているような気がしませんか。
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ずっと欲張って
きっと間違えて
それでも歌おう
不完全だから
≪綺麗事 歌詞より抜粋≫
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綺麗なまま生きていこうとするから苦しいのでしょう。
完璧な言葉で伝えようとするから上手く届かないのです。
不格好でもいい、不完全でもいいから自分の言葉で、素直な気持ちを伝えよう。
そんな決意を感じます。
本音を伝え続ける強い意志
星街すいせいの『綺麗事』は、生きるためにもがく「君」の苦しみと、それを支えたい切実な気持ちで溢れた楽曲です。生きるために醜くはなれない。
それ故の生きにくさ。
しかし、綺麗事を吐けば吐くほど追い詰められるのも自分自身です。
‘“もっと自分に素直になっていいよ””
そんな願いが聞こえてくるような楽曲だからこそ、現代社会を生きる人達たちの心に深く刺さるのかもしれません。
自分を出せずに苦しんでいる人や、日々に生きにくさを抱えている人に、ぜひ聴いて欲しい楽曲です。