幸福でロマンチックな歌詞を歌う曲はたくさんありますが、実はよく読んでみると悲しい歌詞だった…というケースも多くあります。
タイトルのイメージに引っ張られて明るい印象を抱きがちな歌も、実際には暗く重いテーマを扱っていたりするものです。
歌詞の意味が深い曲
歌詞の意味を知ると自然ともう一度聴きたくなってしまう、そんな経験は音楽を愛する人なら誰にでもあるはずです。
ここでは、そうした歌詞に深い意味が込められている曲を紹介します。
沢田知可子「会いたい」
沢田知可子の「会いたい」は1990年発表の古い曲ではありますが、さまざまなアーティストにカバーされる名曲です。
一見甘酸っぱい失恋ソングバラードのように聞こえますが、実は死んでしまった恋人を悼む歌です。
それを知ってから聴くと、愛する人に先立たれた悲しく切ない思いがより一層胸に響いてきます。
CHEMISTRY(ケミストリー)「最期の川」
ケミストリーの「最期の川」は、映画「象の背中」の主題歌として制作されました。
作詞は同タイトルの原作者・秋元康が手がけており、もともとガンを患う男性をテーマとする映画のため、歌詞でも暗に死を意味している言葉が多く登場します。
亡くなる人の視点から愛する人を憂う内容の歌詞になっており、最期の川というのも人が死んで最期に渡るといわれている「三途の川」を暗示しているようです。
ゆず「嗚呼、青春の日々」
「嗚呼、青春の日々」は、ゆずの曲の中でも重厚感があり、ロック色の強い曲としてファンの間で人気を集めています。
地元の旧友が成長し、それぞれの道を歩んでいく切なさを描いた歌詞が印象的です。
「泣ける!!」とYouTubeやSNSへの投稿が相次ぐこの歌は、亡くなってしまった友人に向けられたメッセージが込められています。
つまり、若くして命を落とした旧友を追悼するために制作された楽曲なのです。
JUDY AND MARY(ジュディアンドマリー)「手紙をかくよ」
JUDY AND MARYは1998年に「手紙をかくよ」をリリースしたのち、1年間の活動休止に入りました。
アーティストとしての節目に発表された曲とあって、ファンの間では強く印象に残っている楽曲です。
片思いソングのようにも聞こえる歌詞からは、別れた恋人のことを今でも慕う思いをノートに書き綴り、まさに「手紙」を送る前の不安と相手への思いが伝わってきます。
その紡ぎ出された言葉は、恋愛ひとこと名言のように一節ごと印象的です。
歌詞の最後にある「P.S. 私は見た 手を振る あなたを見た」は、恋人の幻を見たような描写をしています。
まるでその恋人が二度と会えない遥か彼方(天国)にいるかのような表現は、相手が現実にはいないことさえ彷彿とさせる非常に幻想的な世界です。
aiko「カブトムシ」
カラオケ音楽ランキングでは、常に上位にランクインするaikoの「カブトムシ」。
この曲には、現在でも歌詞の解釈にさまざまな説があります。
片思いソングという説もあれば、恋人同士の思い出を綴った歌ではないかという考え方もあります。
「あなたが死んでしまって」というフレーズが強く印象に残りますが、実はここで思っている「あなた」はまだ死んではいません。
今若いふたりもいつかは老い、死んでいくという将来を憂いながら、現在の幸せを噛み締めようとする強い意志が隠されている歌です。
絢香「今夜も星に抱かれて…」
絢香の「今夜も星に抱かれて…」は、ロマンチックで美しいタイトルが印象に残る曲で、歌詞の「星になった君に 触れることはできない」から読み取れるように、亡くなってしまった愛する人を思う歌です。
切ない思いを抱える女性の気持ちを歌うこの曲は、英語の詩も交えながら幻想的なイメージが色濃く反映されています。
平井堅「僕は君に恋をする」
「僕は君に恋をする」は、映画「僕の初恋をキミに捧ぐ」の主題歌として起用された平井堅のシングル曲です。
愛する人を残して死んでしまう側の視点から歌った悲しいラブソングで、大切な人を思う切ない気持ちが伝わってきます。
「泣くなよ、バカだな」とおどけたような歌詞もありますが、それは恋人の前で見せる精一杯の強がりなのでしょう。
残された女性と先に旅立ってしまう男性、それぞれの気持ちを想像すると思わず涙が溢れ出してしまいそうになる歌詞です。
奥華子「きみの空」
奥華子の「きみの空」も大切な人を失ってしまう悲しみをテーマにした曲です。
「もう一度あの人に会いたい」という強い感情が伝わってきます。
「突然じゃなく その日はやってきた」とあるため、歌詞のなかで登場する愛する人は、これまで病床にあったことが伺えます。
いつものように眠っていると思いきや、実は息を引き取っていた・・・死を受け止め乗り越えても、あの人への思いを忘れられずにいる切ない気持ちを歌った曲です。
エリッククラプトン「Tears in Heaven(ティアーズインヘブン)」
誰もが一度は聴いたことがある「Tears in Heaven」は、エリッククラプトンによる珠玉のバラード曲です。
4歳であの世へと旅立った息子を惜しんだ歌詞で、深い悲しみがテーマとなっています。
2004年には、クラプトン本人がこの曲を封印することを宣言しました。
当時の「喪失感」が感じられなくなり、この曲が歌えなくなってしまったとのこと。
それだけ彼の辛い人生を支えてきた曲だったということなのでしょう。
歌詞が深い元気がでる曲
ここまでは「実は悲しい歌だった」という曲を中心に解説してきました。
その一方で、テンポのいいメロディや明るい曲調、前向きな歌詞で歌われる、聞いているとつい元気付けられるようなオススメの曲も多くあります。
たとえば、小西康陽プロデュースの「慎吾ママのおはロック」は、歌詞・メロディともに元気が出る曲の代表曲といえるナンバーです。
ここでは、そんなエネルギーをもらえる明るい3曲をご紹介します。
WANIMA(ワニマ)「ヒューマン 」
WANIMAの「ヒューマン」は、サビ前後でイメージがガラッと変わる歌詞が印象的です。
サビ前では逆境に苦しむ若者のイメージが浮かびますが、サビで一気に盛り上がり、「まだ…くたばってたまるか!!」と熱い意志をあらわにします。
こんなところでくじけず、次もがんばろうという気持ちにさせてくれる曲です。
ウルフルズ「笑えれば」
名言ともいえる「とにかく笑えれば」という印象的な歌い出しからはじまるこの曲は、いかにもウルフルズらしい軽快な応援ソングです。
辛いことがあったとしても、とにかく笑っていれば幸せになれる、そんなストレートなメッセージが伝わってきます。
心が少し重くなったときにも、この曲を聴くことで自然と心が軽くなる!そんな元気をもらえる一曲です。
竹原ピストル「よー、そこの若いの」
竹原ピストルの「よー、そこの若いの」は、住友生命の「1UP」シリーズのCMで使われた楽曲。
さまざまなバリエーションの動画で流れたCMで耳に残っている人も多いことでしょう。
「自分だけの花を咲かせよう!」そんなふうに元気づけられる曲で、小さなことでクヨクヨ悩んでしまう若者の背中を押してくれる、オヤジからの応援歌ともいえる曲です。
今生きている幸せを噛み締めよう
今回は、歌詞の意味を知るともう一度聴きたくなる曲を中心に取り上げてきました。
意味を知ることで深い味わいの出る曲も、落ち込んだときに聴きたくなる応援ソングもあり、メッセージソングは本当に幅が広いと改めて感じます。
人生には、他人の思いが及ばないような辛く厳しい壁にぶつかることが多いものです。
他人に愚痴をこぼせないとき、ひとりで抱え込まなきゃいけないときには、ここでご紹介したような切ない曲、元気が出る曲を聴いて今生きていることの幸せを噛み締めましょう。
きっとあなたの心を、もっと豊かにしてくれるはずですよ。
この記事のまとめ!
- 明るいメロディでも、歌詞を読むと切ない気持ちになる歌がある
- 一方で、歌詞を読んで元気をもらえる曲もたくさんある
- お気に入りの歌の歌詞を読んで、生きている幸せを噛み締めよう