音楽制作というと専用のスタジオやプロ用の専門機材、作曲用の設備が必要でした。
しかし、近年は機材や設備の普及が進み、自宅でも音楽制作が可能になりつつあります。
以前なら大金を要していた音楽制作ですが、だんだんと一般向けにも開かれてきました。
音楽家を志している人なら、一度は音質の良い設備での収録に憧れますよね。
これから音楽制作を始めたいと思っている方は、ぜひこの記事の情報を参考にしてください。
この記事では、宅録・DTMでの音楽制作をプロ級にする機材や知識を紹介します。
この記事でわかること
宅録って?
「宅録」とは、スタジオではなく自宅で音楽の録音作業をすることです。
以前は専門的で高価な機材が複数必要でしたが、近年は利用者の増加で比較的安価で手に入れやすくなっています。
そのため、誰でも自宅で自分の音楽を録音できる時代になりつつあります。
「歌ってみた」などで、インターネットに自分で録音した歌声を上げる人もそれに伴い増えています。
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DTMとDAWについて
初めて宅録をする方向けに、まずは専門用語の解説をしておきましょう。
「DTM」とは「デスクトップ・ミュージック」の略称で、パソコンを使って音楽を制作することです。
DTM初心者でも、パソコンとちょっとした設備があれば、自分の歌や演奏を録音し、編集することができます。
一昔前のように専門的な機材が必要ないので、一般の方も趣味として始めやすく、敷居が低いのが特徴です。
ニコニコ動画やユーチューブに簡易的に動画投稿をするだけなら、DTMで十分だといわれています。
「DAW」とは、「デジタル・オーディオ・ワークステーション」の略称で、プロの作曲家も利用するパソコンで音楽制作をするためのソフトウェアです。
自宅で音楽が制作ができる音楽制作ソフトは多数存在しており、フリー版ソフトでも行えます。
ただ、他社のソフト音源やドラムの音源データを購入しても追加できないという機能制限があります。
そのため、無料の作曲ソフトを試してから有料のDAWソフトに切り替えるのが良いでしょう。
いい音録りたい!大事なマイク選び
歌ったり演奏したりと、音楽をやっている方なら一度は「録音してみたい」と思いますよね。
それを簡単に叶えてくれるのが「宅録」です。
しかし、簡単とはいえ音質にこだわるならマイク選びは重要です。
マイクによって特徴があるので、録音したい音楽によってマイクを替えるのが最適です。
ちなみに、広い範囲の音を拾えるマイクは全指向性タイプ、一箇所から録音するのに適したマイクは単一指向性タイプです。PCマイクでも両方のタイプがあります。
ここではマイクの種類についてみていきましょう。
ダイナミックマイク
マイクには複数種類がありますが、初心者にオススメなのがカラオケにも置いてある「ダイナミックマイク」。
ほとんどがヘッドの丸いもので、ライブでもよく使用されています。
ダイナミックマイクは場所を選ばず使えるので、初めての宅録には最適です。
音質は性能の高いマイクに比べると低い傾向にあります。
しかし、その分周囲の雑音(環境音)も拾いにくいので、ノイズの多いライブではハウリングがしづらく、重宝されています。
また、ダイナミックマイクは持ち運びにも便利で、設備が整っていない宅録にも最適です。
さらに頑丈なので、多少雑に扱っても壊れにくいです。
マイクを使い慣れていない方でも扱いやすいマイクといえるでしょう。
とくにおすすめのダイナミックマイクは以下です。
SHURE(シュアー)SM58
ライブハウスやスタジオでもおなじみなのが、「SHURE(シュアー)SM58」。
扱いやすいので初心者にもオススメ!
壊れにくく丈夫なのも魅力です。
AKG D5
ライブ専用のボーカル用マイクですが、宅録にも十分な性能を持っています。
比較的安価な割に、他のダイナミックマイクに比べてノイズを拾いにくいという利点もあります。
性能と価格で選ぶなら、「AKG D5」がオススメです。
SHURE(シュアー)BETA58A
ダイナミックマイクとしては高い音質を持っているのが「SHURE(シュアー)BETA58A」。
ノイズを拾いにくいので、宅録でも聴きやすいサウンドを実現できるのが魅力です。
また録音だけでなくライブにも使えるので、汎用性も高いです。
コンデンサーマイク
レコーディングスタジオでよく使用されるのが「コンデンサーマイク」。
ファンに良質な音楽を届けることができるとプロのアーティストが使うほど、音質が良いのが特徴です。
ただ、コンデンサーマイクの使用には専用の「ファンタム電源」が必要です。
そのためマイクと一緒に別途購入しなくてはなりません。
その代わりマイクの性能は高く、高域も低域も拾え、音を拾う方向が選べたり、繊細な音まで表現できたりするのが魅力です。
マイク特性として、ボーカルの声だけではなく、ギターやベースなどの音も正確に再現することができます。
ポップガードをあわせて使用すれば、マイクに息を吹きかけると発生する雑音まで録音されてしまうことも防げます。
ここではおすすめのコンデンサーマイクを紹介します。
RODE NT1000
宅録ユーザーにも愛用者が多いコンデンサーマイクが「RODE NT1000」。
コンデンサーマイクとしては安価な割に、スタジオでも使えるほど高性能です。
本格的な録音と高い音質が楽しめます。
RODE NT1-A
本格的なレコーディングが楽しめるコンデンサーマイク「RODE NT1-A」。
マイクケーブルをはじめとするボーカルRecに必要な機材がこれひとつで一通り揃えられる、スターターセットのような商品です。
初心者にも嬉しい低価格で、コストパフォーマンスの良さは随一です。
AKG C3000
宅録にもスタジオ録音にも万能に使えるコンデンサーマイク「AKG C3000」。
ボーカル録音のみならず、幅広い楽器の音を正確に再現することが可能。
また音質もよく、低音の安定感とクリアな高音が魅力です。
MIDIコントローラー
自宅で音楽制作をするにあたって、導入しておきたいのが「MIDIコントローラー」。
PCのみでも問題なく音楽制作はできますが、MIDIコントローラーを使うことで、より制作の幅が広がります。
MIDIコントローラーには、PAD型MIDIコントローラーやMIDIキーボードなどさまざまな種類があるので、自分に合わせて選ぶことができますよ。
MIDIコントローラーでできること
「MIDIコントローラー」はマウスを使ったPC作業と違って、実際に楽器を打ち込めるのでダイレクトな音楽制作が可能です。
商品によっては制作ソフトも付いているため、安価で楽曲編集ができます。
さらに、音楽制作のみならずリアルタイムで音を出せるので、ライブにも使えます。
MIDIコントローラーは音楽の魅力のひとつでもある生演奏を再現できる便利アイテムです。
パソコンがあればOK
MIDIコントローラーを導入するためには、USB接続ができるパソコンがあれば大丈夫です。
他に必要なものはUSBケーブルくらいなので、とくに大掛かりな準備はありません。
MIDIコントローラーの導入はとても簡単なので、パソコンのみでの音作りに物足りなさを感じたら導入してみましょう。
オーディオインターフェイスは必要?
宅録の機材として導入する方も多い「オーディオインターフェイス」。
こちらを導入することで音質を向上させ、幅広い楽器の録音に対応できるようになります。
プロが使用するようなマイクプリアンプを別途用意する必要なく、プロ級の音質での録音が目指せます。
ただし、音質にこだわらない場合や、簡単なBGMを作りたいだけの場合は、必ずしも導入する必要はありません。
録音に慣れてきたら後から導入するのも可能ですが、初めのうちはなくても作業可能です。
こんな方には必要!
「オーディオインターフェイス」が必要なのは、音楽により高いクオリティを求める方です。
ノイズや音質、楽器の種類など扱うものが多岐にわたる場合には、購入を検討した方がよいでしょう。
オーディオインターフェイスがあることで録音のクオリティは格段に変わります。
ミキサーの必要性が知りたい!
宅録では導入しない方も多い「ミキサー」。
初めて宅録をする方にとって、用途がわかりづらい機材は購入するか悩みますよね。
こちらではミキサーを使用するメリットを解説していきます。
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ミキサーを使用するメリット
ミキサーを導入するメリットは、複雑な音源の録音や大掛かりなセットを要するレコーディングに対応できることです。
音源が複雑になっていけば、それを繋いだり処理したりするための機材が必要となってきます。
しかし、宅録のレベルであればそれほど複雑な音源にはならない場合が多いので、オーディオインターフェイスやソフトで十分でしょう。
あると便利!モニタースピーカー
作曲のアイテムとして便利なのが「モニタースピーカー」。
音楽制作のなかでも、細かいミックス作業などを行う方は、導入しているケースが多いようです。
普通のスピーカーとどう違うの?
一般的なスピーカーは、音がよく聞こえるように加工されています。
例えば、本来の音に比べて重低音を強くして迫力を出したり、音の差を操作して高音をクリアに響かせたりするため、実際の音とは少し違って聞こえます。
しかし、作曲する際は音が違ってしまうとうまくミックス作業ができません。
そのため加工されない生の音が出せるモニタースピーカーが重宝されます。
モニター環境を整えることは音楽制作にとって大切なので、モニタースピーカーの使用をおすすめします。
アクセサリー類
宅録は自宅で気軽にできるとはいえ、レコーディング機材を豊富に揃えるに越したことはありません。
自分に必要なものかどうかをしっかり見極め、その都度購入しましょう。
ケーブル
機材を繋ぐための必需品です。
いくら機材を買い揃えても、ケーブルで繋がなければ使えません。
機材を購入した際に、一緒に買っておくとよいでしょう。
ヘッドホン(スピーカーが無い方は必須)
ヘッドホンは、スピーカーが自宅にない方の必需品です。
また、家や部屋の密閉性が低くても音楽制作ができるのも魅力です。
音楽を聴くためのリスニングヘッドホンをお持ちの方は多いと思いますが、音楽制作をする際は「モニターヘッドホン」を使うようにしましょう。
リスニングヘッドホンの場合、音が操作されてしまい、素の音がわからないからです。
いざ完成した曲を聴いてみたら、制作中に聴いていた音と違っている…という事態が起こりかねません。
この点は前述のスピーカーと同じです。
その他あったらいいもの
他にも録音したい音楽に合わせて定番アクセサリーを揃えておきましょう。
とくにあると便利なのが、マイクスタンドやボーカル録音のためのポップ・フィルターなどです。
良質なサウンドのためには必要なアイテムとされます。
部屋の防音対策アイテムを紹介!
自宅で音楽制作をする際のネックは、「防音対策」。
一般の家庭はスタジオのように防音加工がされていないので、音響機器で大きな音を出せば近所迷惑になってしまいます。
それを防ぐためにも、防音対策にはとくに力を入れることが大切です。
防音対策をとると、反射音・反響音を防ぐことができ、よりよいボーカルトラックを録音できるというメリットもあります。
スポンジ
部屋の隙間からの音漏れを防いでくれるのが「スポンジ」。
基本的に部屋の扉や窓は密閉性が低いので、スポンジをかませて、より防音性を高めましょう。
自宅にあるものを遮音材の代用品にする
遮音材は専用のものを購入してもいいのですが、自宅にあるものでも簡単に行えます。
具体的には音を反響させない衣類や毛布、布団などを使う方法です。
一方、金属類は音を反響しやすく逆効果になるため避けましょう。
マイク正面側(ボーカルの後ろ)に物干し竿などで布団を吊り下げておくと、反響音を吸収してくれるため、雑音を抑えたボーカル録音が目指せます。
吸音材・防音シート
レコーディング環境を整えるためには、音を吸収する吸音材・防音シートを導入するのもオススメです。
本来の音を小さくし、外へ漏れる量を減らしてくれます。
必要機材として導入するのも良いでしょう。
機材をそろえてオリジナル宅録環境をつくろう!
プロ向けのレコーディング用スタジオでなくても、簡単にレコーディングができる「宅録」。
簡単なレコーディング機材をそろえるだけで録音ができるだけでなく、こだわりの機材を購入すればプロ並みのレコーディングができるのも魅力です。
ぜひ自分だけのスタジオをつくり、ボーカルレコーディングセットをそろえて、宅録での音楽制作を楽しんでください。
この記事のまとめ!
- パソコンひとつでも音楽制作ができる
- 機材には特徴があり、必要かどうか見極めて購入する
- 部屋の防音には気をつける