「歪み系」「空間系」「モジュレーション系」など、エフェクターには様々な種類があります。
特に、モジュレーション系に属する「フェイザー」は、ファンクやソウルなどのジャンルを中心に愛されてきました。
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フェイザーとは
数あるエフェクターの中で、フェイザーは1960年代から存在する歴史あるエフェクターです。
正式名称をフェイズシフターといい、ギターの音を豊かにするために多くのギタリストが愛用しています。
一方で、フェイザーがどんな仕組みでどんな効果があるのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
まずは、フェイザーの仕組みや効果、他のエフェクターとの違いを説明します。
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モジュレーション系エフェクターの一つ
フェイザーはモジュレーション系エフェクターの一つで、コーラスやフランジャーと同じ部類に入ります。
モジュレーション系エフェクターは、音が振動する周期や幅を動かして、サウンドに揺らぎや奥行きを持たせるエフェクターです。
モジュレーション系エフェクターの中でも音の周期をずらすものと、音を遅れさせることで音を揺らすものの2種類があります。
フェイザーの効果
フェイザーは主に音の振動する周期をずらして、元の音と重ねることで、音量が大きくなる部分や小さくなる部分を生み出します。
その結果、シュワシュワとうねった独特のサウンドになるのです。
音がうねることで強弱が生まれるので、ファンクなどの軽快なリズムの音楽に適しています。
歪み系のエフェクトとも相性が良く、迫力のある音を出したいときにもおすすめです。
フェイザーの歴史
1940年代に考案された「Leslie Speaker」というオルガン用スピーカーは、教会などで使われるパイプオルガンの音色を手軽に再現できると人気になり、1960年代に流行しました。
このオルガン用スピーカーをコンパクトに改良、ギター用に最適化したのが、MXRというメーカーが開発したエフェクターでした。
1974年に発売されたこのエフェクターは「フェイザー」と名づけられ、現在でも発売当時の再現モデルが発売されるほどの人気モデルとなりました。
フランジャーやコーラスとの違い
同じモジュレーション系に、フランジャーやコーラスがあります。
フェイザーとの違いは、原音を遅らせているかどうかです。
モジュレーション系エフェクターは基本的に「元の音+元の音の周期や振幅をいじった音」というサウンド作りが共通しています。
コーラスやフランジャーは元の音を遅らせて鳴らすのに対し、フェイザーは音を遅らせません。
そのため、フェイザーは歯切れのよいリズムで演奏でき、軽快でリズミカルなフレーズ向きです。
反対に、フランジャーやコーラスは音に奥行きが出ますが、リズムがぼやけるためカッティングなどには向きません。
フェイザーの使い方
フェイザーにはさまざまなつまみがあり、設定の仕方によってどのようなサウンドに変えるか決められます。
フェイザーを使った時に自分の出したい音に近付けるよう、それぞれのつまみがどんな効果を与えるのか知っておきましょう。
続いては、フェイザーついているそれぞれのつまみの効果やフェイザーを効果的に使える場面を紹介します。
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フェイザーのつまみ
フェイザーには主に、以下の4種類のつまみがあります。
それぞれ違った効果を発揮し、同じフェイザーでも設定の仕方によって全く違う音を作ることが可能です。
機種によってはつまみがたくさんあったり、逆に少なかったりもするので、どのつまみがどんな効果を持っているのかしっかり頭に入れておきましょう。
- スピード/レイト
周波数を変える速さを調節するつまみです。
このつまみを上げると、音の揺れの速さが増して音がより細かく揺れるようになります。
ほとんどのフェイザーについているつまみで、このつまみしかないモデルもあるでしょう。
- デプス
揺れの大きさを調節するつまみで、このつまみを上げることでより周波数の幅が広がり、低い音域から高い音域までカバーできます。
機種によっては「ワイズ」や「インテンシティ」と書かれることもありますよ。
- フィードバック/レゾナンス
一度周期を変化させた音を、もう一度Phase回路に送る量を調節するためのつまみです。
このつまみを上げるほど、よりエフェクトの効いた音になります。
癖を強めて目立つ音にしたい場合はこのつまみを上げ、さりげなくエフェクトをかけたい場合はつまみを下げると良いでしょう。
- ミックス
元の音と位相を変化させた音とをどれぐらい混ぜるか調節できるつまみです。
ミックスを上げることで、一度回路を通して変化させた音をより目立たせることができます。
フィードバックとは違って、2つの音のバランスを調整するだけなので、よりシンプルに効きの強さをコントロールできますよ。
カッティングで使う
フェイザーを使った音は、リズミカルなカッティングに向いています。
フェイザーを使って音の周期(位相)を変えることで元の音と位相を変化させた音がぶつかり合い、響きが悪くなって適度に潰れた歯切れのよいサウンドになるのです。
スピード/レイトを曲のテンポに合った値に設定すると、ファンキーな雰囲気で気持ち良い演奏ができますよ。
レゾナンスを調整して、さまざまなエフェクトの強さで試すのもおすすめです。
アルペジオで使う
クリーントーンのアルペジオを弾く際、コーラスやトレモロサウンドでは思ったような演奏ができないときはフェイザーを使ってみましょう。
フェイザーは音の奥行きが変わらないので、コーラスのように音が広がりすぎてぼやけてしまう心配もありません。
トレモロは元の音を混ぜずに位相を変化させた音のみを使うので、音量の変化に戸惑うこともあるかもしれません。
そのため、人によっては元の音も混ったフェイザーのほうが弾きやすいと感じるでしょう。
MXRのおすすめフェイザー
少し説明した通り、元はオルガン用のスピーカーだったものをギター用の電子回路を使ってエレキギター用エフェクターにしたのが「MXR」というブランドです。
MXRの創業は1972年で、エフェクターブランドの中でもかなり古い部類でしょう。
そんなフェイザーの生みの親、MXRから販売されているおすすめのフェイザーを紹介します。
MXR M101 Phase90
MXRが初めて開発したエフェクター「MXR M101 Phase90」は、アメリカのロックバンド、ヴァン・ヘイレンも愛用していました。
とても温かみのあるサウンドや「スピード」のつまみしかないとてもシンプルな作りで、初心者にも簡単に操作できるのが魅力です。
シンプルながら上質な音が得られることから、ギタリストの他にもキーボードなどの電子楽器奏者高い人気を誇っています。
MXR M290 Phase 95
MXRの他の商品の半分ほどのとてもコンパクトなサイズのフェイザー「MXR M290 Phase 95」は、Phase 90とその兄弟機として開発されたPhase 45を合わせた機種です。
スイッチ一つでPhase 90とPhase 45のいずれかのサウンドを選択できます。
「Script」のスイッチを押すと位相を変化させた音をフィードバックしますが、スイッチを切ればフィードバックしないモードにも切り替えられる点も魅力です。
MXR EVH90 Phase 90
ヴァン・ヘイレンとのコラボレーションによって誕生した「MXR EVH90 Phase 90」は、赤のボディに白と黒のストライプ模様が目を引く印象的なデザインです。
派手なデザインとは対照的な落ち着いた骨太サウンドで、操作性もいいので初心者でも簡単に扱えます。
Scriptスイッチで効果を切り替えられるので、フェイザーのエフェクトを存分にかけたい時、スッキリしたエフェクトを楽しみたい時どちらにも使えますよ。
MXR CSP101SL Script Phase 90 LED
「MXR CSP101SL Script Phase 90 LED」は、MXRの初代機種「Phase 90」を再現しながら、電源アダプターでの駆動システムや動作状況を確認できるLEDライトなど、より便利に使いやすくなったモデルです。
初代Phase 90と同様、つまみが一つしかないので初心者でも簡単に操作できますよ。
「スクリプトロゴ」と呼ばれるMXRの昔ながらのデザインを引き継いだデザインなので、Phase 90のヴィンテージサウンドのファンにもたまらない商品です。
MXR M107 Phase100
「MXR M107 Phase100」はPhase 90のモジュレーションの幅を広げた上位機種で、「スピード」つまみの他に「インテンシティ」のつまみも備えています。
インテンシティのつまみを使って4種類のモードを切り替えることで、温かいサウンドから荒っぽいサウンドまで幅広い音作りが楽しめます。
ギターはもちろんキーボードやベース、ボーカルなど、さまざまな電子楽器に使える万能なエフェクターです。
その他のおすすめフェイザー
エフェクターブランドで有名なBOSSやBehringerなど、初めてフェイザーを開発したMXR以外にも魅力的なメーカーはたくさんあります。
それぞれの製品ごとにサウンドや機能は全く違うため、どれを買えばいいか迷ってしまいますよね。
しかし、それぞれの特徴やポイントを押さえれば、自分がほしいフェイザーに必要な機能も分かり、いい買い物ができるはずですよ。
最後に、MXR以外のメーカーから発売されているおすすめのフェイザーを紹介します。
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BOSS PH-3
音のうねりが上がったり下がったりするのが一般的なフェイザーですが、「BOSS PH-3」はうねりを上げ続ける「Rise」と、うねりを下げ続ける「Fall」も選択できます。
うねりを段階的に上下させることも可能で、これ一台あればさまざまな音作りが実現できる、夢のようなフェイザーです。
外付けのペダルを使ったテンポ入力にも対応しているので、曲に合わせて足でレイトを操作できるのも魅力的ですよ。
Behringer VP1 Vintage Phaser
「Behringer VP1 Vintage Phaser」は、Electro-Harmonix社の「Small Stone」というフェイザーを再現した製品です。
レイトのつまみとトーンを切り替えるスイッチのみのシンプルな構成なので、とても扱いやすくなっています。
温かみのあるヴィンテージサウンドはもちろん、トーンスイッチを切り替えることで強いフェイザーをかけられるのも魅力です。
安い価格で本格的なフェイザーサウンドが手に入るので、初心者に特におすすめですよ。
Empress Effects Phaser
カナダのエンジニア集団が開発した「Empress Effects Phaser」は、緻密な設計と高級なパーツで得られる上質な音が魅力です。
タップやつまみでスピード/レイトを操作できたり、演奏に合わせてオートでフェイザーをかけられたりさまざまな機能があります。
外部ペダルや外部オーディオ、MIDI(打ち込み音の信号)入力など外部からの入力にも幅広く対応しているため、自由自在のサウンドメイクができます。
従来のフェイザーにはなかった画期的な機能持ったエフェクターです。
ARION STEREO PHASER SPH-1
「ARION STEREO PHASER SPH-1」は、4000円ほどで購入できる安価なモデルですが、ロックバンド「凛として時雨」の楽曲でも使われるほどのクオリティを誇ります。
レイト・デプス・レゾナンスのつまみが付いており、幅広いサウンドメイクができるのも嬉しい点です。
安く買えるので、エフェクターを自分好みに改造してみたい人にもおすすめですよ。
Electro-Harmonix Nano Small Stone
1970年代に発売されたフェイザーの名機「Small Stone」をコンパクトなサイズにした「Electro-Harmonix Nano Small Stone」は、温かみがあってふくよかなサウンドが特徴です。
Colorスイッチでエフェクトのかかり具合を切り替えられ、温かい音からエフェクトの効いた強烈なサウンドまで再現できます。
オーバードライブやディストーションなどのエフェクターを使って、強く歪ませたサウンドとの相性も良く、飛び道具的な使い方でも使えますよ。
フェイザーは音にうねりを出すエフェクター!上手く使って音作りを楽しもう
フェイザーを使うと、音にうねりが出て独特のギターサウンドになります。
ファンキーな曲でリズミカルにカッティングをしたり、歪ませて強烈なジェットサウンドにしたり、使い方はさまざまです。
フェイザーを使いこなせれば、歪み系や空間系のエフェクターだけでは出せない独特な音も出せるので、上手く使って自分の納得する音作りを探求してみてくださいね。
この記事のまとめ!
- フェイザーはモジュレーション系エフェクターの一つで音をうねらせる効果を持つ
- 位相を変える速さやフィードバックなど、さまざまなセッティングが可能
- 歯切れのよいカッティングやクリーントーンのアルペジオに使うと効果的
- 初めてフェイザーを開発したMXRの他にも、有名ブランドや新進気鋭のブランドがたくさんの機種を発売している