プロの演奏に憧れてスラップの練習をしているけど、思うように音が出せないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
とても奥が深く難しい奏法ですが、弾き方やコツを意識してベースを弾くと、基本フレーズやシンプルな楽曲は楽に弾けるようになります。
この記事のもくじ
ベースのスラップ奏法とは
ベースのスラップ奏法とは、指を使い弦を叩いたり、引っ張ったりして、打楽器のような音を出す奏法です。
ピック弾きや指弾きとも違った派手で個性的な音が出せるのが特徴で、チョッパー奏法とも呼ばれることがあります。
まずはじめに、ベースのスラップ奏法の基本的なフォームや弾き方を紹介します。
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サムピング
サムピングは親指を使って弦を叩くように弾き、打楽器のような音を出すテクニックです。
指弾きの音のアタック感を強くしたような音色で、低音弦によく使用されます。
もちろん、高音弦をサムピングするベーシストも多いので、演奏スタイルや音色の好みを考えて1弦や2弦をサムピングするかを決めるのがおすすめです。
親指をまっすぐ伸ばすスタイルが定番で、このスタイルにも親指を弾く弦の1つ下の弦で止める弾き方や、叩いた直後に跳ね返るように指を話す弾き方があります。
また、サムピングのアップとダウンを交えたロータリー奏法、親指を下に向けたスタイルなど、色々な弾き方がある奥が深いテクニックです。
プリング(プル)
プリングは人差し指を弦に引っ掛けて、垂直方向にはじいて音を出すテクニックです。
シャープでバキッとした音色が特徴で、リズムや音色にアクセントを付けたいときに使われますよ。
「弾き方」
弦と弦の間に指を浅く入れ、指の先端部分で軽く引っかけて音を出します。
サムピングと比べるとキレイな音が出しやすいので、初心者でも気軽に挑戦できるテクニックです。
ベーススラップの魅力
ベースのスラップには、見た目や音が派手なこと以外にも色々な魅力があります。
安定してサムピングやプリングが決まるようになると、演奏の幅も広がりベースを弾くのがもっと楽しくなりますよ。
スラップの魅力や特徴、マスターすることのメリットを紹介するので、挑戦してみたいと考えている人はぜひ参考にしてみてくださいね。
統一した音量が出せるようになる
ベースのスラップをマスターすると、エフェクター無しでも統一した音量が出せるようになるのが魅力です。
スラップは指弾きよりも音量が大きくなりがちなので、指弾きのみで演奏する場合よりも音量に敏感になれますよ。
音量の差をなくすためには右手の脱力が重要で、必要最小限の力で弦を叩く、はじくことを意識しましょう。
ここがポイント
脱力をマスターできると、曲に合わせた音量コントロールもできるようになり、メリハリのある演奏ができるようになります。
リズムが安定する
フレーズがリズミカルになるだけでなく、リズム全体が安定するのもベーススラップの魅力です。
打楽器的なフレーズが多く、ベース1本でも演奏が成り立つので、リズムトレーニングが楽しくなりますよ。
また、ピック弾きや指弾きとは感覚が異なるスラップを練習することで、リズムに当てはめる感覚の復習にもなります。
ベース演奏のリズムに悩んでいる人は、メトロノームを使いながらスラップの練習をしてみるのがおすすめです。
高速フレーズも簡単に弾ける
スラップの魅力は、指弾きやピック弾きよりも簡単に高速フレーズが弾けることです。
サムピングとプリングは連動した動作であるため、手首の動き1つで2音を出せます。
また、発展的なロータリー奏法やダブルプルを組み合わせると、素早く4音を出せるため、指弾きやピック弾きでは対応できない速いフレーズを弾くこともできますよ。
曲中ではあまり使用しませんが、ベースソロでは圧倒的な存在感を示せるので、ソロを弾きたい人はぜひスラップに挑戦してみてくださいね。
ベーススラップのコツ
ベーススラップに憧れて色々な練習方法を試しているけど、サムピングがキレイに鳴らない、指が引っかかってリズムに合わせられないと悩む人も多いのではないでしょうか?
これらのトラブルは、練習をするときにいくつかのコツを意識して弾くと簡単に解決できます。
初心者でも簡単に取り組めるベーススラップのコツを紹介するので、ベースアンプで音を確認しながらかっこいい音が出せるように練習しましょう。
サムピングは右腕をドリルのように回転
サムピングは右腕をドリルのように回転させ、遠心力や手首のスナップを利用するのがコツです。
回転させる方法は、指をまっすぐ伸ばした状態で中指を中心として回す動きと同様で、スラップの指の形を作って同じ動きを行いましょう。
実際にベースを弾くときにはドリル風の動きに加え、ムチで叩く瞬間や、手で打楽器を叩くイメージを持つとキレイで伸びのある音が出せますよ。
この動きやイメージは、振り抜いて下の弦で止めるスタイル、叩いてすぐ離すスタイルの両方で使えるので、上手くサムピングが鳴らない人は試してみてくださいね。
プルは人差し指の力を抜く
プルの音量が大きすぎたり、引っ掛かりすぎてしまいタイミング良く音が出せない場合は、人差し指の力を抜く意識を持つのが大切です。
力加減は弦に当たっても指の形が崩れない最小限の力が理想で、人差し指の力だけで弦を引っ張らないようにします。
弦に当てる部分は指先から1cm以内にし、深く入りすぎないように指の形や弾き方を調節しましょう。
ドリルの動きの中で手首を返した際に自然に指が通過するイメージを持つと、タイミング良く程よい音量のスラップ音が出せますよ。
ゴーストノートでメリハリをつける
スラップのフレーズをかっこよくするコツは、ゴーストノートを入れてメリハリを入れることです。
ゴーストノートとは音程のない音、音のスキマを埋める装飾音のことで、うまく取り入れるとフレーズがグルーヴィーになり聴いていて心地のいい演奏になります。
やり方はシンプルで、左手で弦に軽く触れてミュートした状態を作り、右手でサムやプルを行い打楽器的な音を出すだけです。
また、左手をミュートと同じ力加減で素早く指板を押さえてゴーストノートを出すという方法もあり、こちらは右手で出すゴーストノートのサポート的な使われ方をします。
使い方や弾き方を詳しく解説した記事もあるので、気になる人はぜひ読んでみてくださいね。
スラップが上達する練習曲を紹介
スラップの音がある程度出せるようになり、練習フレーズなども弾けるようになったら、次は実際に曲を弾いてみたくなるものですよね。
シンプルなフレーズを中心に構成された曲もたくさんあるので、基本をマスターするためにもシンプルな曲から演奏してみてはいかがでしょうか。
初心者でも弾きやすく、スラップの上達にも役立つ練習曲を紹介するので、気になる楽曲は実際にコピーしてみてくださいね。
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カミナリ / RIZE
「カミナリ」はスラップ中心の重低音ベースが印象的な、RIZEのメジャーデビューシングルです。
イントロでは4弦のE音より1音低いDの音が使われているので、レギュラーチューニングから4弦をDに下げた、ドロップDチューニングで弾くと原曲通りに弾けますよ。
全体的に疾走感のある曲ですが、サビ部分はスピードを半分にしたハーフテンポになっているのでドラムの演奏を聴いてノリの違いを確認しましょう。
原曲ではTOKIEがシンプルで安定感のある演奏、最近ではKenKenがバキッとした音でノリのある演奏をしているので、好きな方のバージョンをコピーしてみてくださいね。
ギミギミック / RADWIMPS
RADWIMPSの「ギミギミック」はシンプルでリズミカルなフレーズが登場する、スラップ練習にピッタリの楽曲です。
Aメロや間奏は部分はサムピングを始めに弾き、プルを絡めていくシンプルなフレーズが中心です。
ここがポイント
サムの音を程よく伸ばす、音色はアンプのゲインを抑えめにして、芯のある音にすることを意識すると原曲の雰囲気に近くなります。
指弾きとスラップの両方が登場するので、奏法の切り替えの練習にもおすすめの練習曲です。
ぶっ生き返す!! / マキシマム ザ ホルモン
「ぶっ生き返す!!」はファンキーなスラップフレーズが登場する、マキシマムザホルモンの疾走感あふれる楽曲です。
イントロ部分は勢いのある、ロックテイストなスラップフレーズが演奏されています。
ギターがカッティングしている部分は、サムピングで低音を伸ばした後にゴーストノートを交えたフレーズが登場します。
ゴーストノートを交える箇所はタイトなリズム、他の部分はノリや疾走感を意識するのがポイントです。
難易度は少し高めの曲ですが、サムピングやプルの基本をマスターした人はぜひ挑戦してみてくださいね。
スラップ奏法におすすめのベースタイプとメーカー
スラップ奏法には、電池を必要とするアクティブピックアップを搭載し、高音域がハッキリとした音色のジャズベースがおすすめです。
もちろん、電池が不要なパッシブピックアップでも可能ですが、パワフルな音を出したい場合にはアクティブピックアップのほうが向いていますよ。
また、プレシジョンベースは中音域がハッキリとしているため、バキッとした音を出したい場合には他のタイプがおすすめです。
最後にジャズベースタイプを中心に、スラップ奏法にピッタリなサウンドのおすすめのベースを紹介します。
MUSICMAN STINGRAY
MUSICMANのSTINGRAY(スティングレイ)は、金属パーツが2列に並んでいるハムバッカーを1つ搭載した、個性的なデザインのベースです。
ピックアップはアクティブ仕様、本体のノブはアンプのように低音域や中音域、高音域を調整できるアクティブサーキットを採用しています。
音色は低音域と高音域が強調された音色で、スラップに使うと派手で重みのあるサウンドになりますよ。
Red Hot Chili Peppersのフリーや、70年後半から活躍するファンク、ディスコバンドChicのバーナード・エドワーズがスラップに使用していたことでも有名なベースです。
Fender Jazz Bass
Fender Jazz Bassは、スラップ奏法でも良く使用される定番のベースです。
スティングレイに比べると、芯のあるヴィンテージ寄りなサウンドなので、ロックからファンク、R&B、フュージョンまで幅広く対応できます。
ジャズベースを使うスラップの名手として有名なのがマーカス・ミラーで、アクティブピックアップ仕様に改造したものを使用しています。
他にもスラップの先駆け的存在のラリー・グラハム、ベースボーカリストのミシェル・ンデゲオチェロもジャズベースを使用して名演を残していますよ。
パッシブモデルのイメージが強いですが、モダン仕様のアクティブベースも揃っているので気になる人は弾いてみてくださいね。
ATELIER Z
ATELIER Zは1989年に設立された、日本のベースメーカーです。
ジャズベースを基にしたアクティブピックアップ搭載モデルを多数発表しており、サウンドの素晴らしさや使いやすさが多くのベーシストから高く評価されています。
RIZEのKenKenや、スラップを得意とする日野JINO賢二もATELIER Zのベースを使っていますよ。
アクティブとパッシブを切り替えるスイッチも付いており、ジャンルや弾き方に合わせて音色を変えられるのも特徴。
20万以上のモデルが多いですが、本格サウンドが楽しめる国産ベースが欲しい人におすすめです。
スラップを弾くにはアクティブのジャズベースタイプが音色的に最適!スラップを習得して上達しよう
パワフルでバキッとした音でスラップを弾くには、アクティブピックを搭載したジャズベースタイプがおすすめです。
もちろん、今持っているベースがパッシブタイプでも、プリアンプエフェクターやアンプのセッティングを工夫すると本格サウンドが出せますよ。
今回紹介したスラップのコツを意識してベースを練習して、リズミカルでかっこいい演奏を身に着けてみてくださいね。
この記事のまとめ!
- ベースのスラップ奏法は、サムピングとプルを組み合わせた弾き方で、色々なスタイルがある
- スラップの正しい力加減やフォームをマスターすると、演奏もかっこよくなる
- サムピングやプルは力ではなく、手首や腕の動きを使って出すのがコツ
- シンプルなフレーズが多い楽曲に挑戦して、スラップの基本をマスターしよう
- スティングレイやジャズベースは、スラップにピッタリの音色