ベースはバンドのリズムを作り、音圧を上げる重要なパートです。
ギターのように高音域で前に出るような音ではありませんが、ベースの音作り一つでバンドで出す音の輪郭がはっきりさせたり、全体の音の重さを左右します。
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音作りの手順
ベースの音作りをする時に、いきなりツマミを触って音を出すというようなことはしません。正しい手順を踏みながら少しずつ音の特徴を掴んでから、調整して音作りをしていきましょう。
ここでは、ベースの音作りの基礎となる手順について解説します。
ボリュームを0にする
スタジオに入った時に、前の使用者がアンプのボリュームを0に戻していないことが稀にあります。
ベースアンプのボリュームが上がっている状態でベースを接続すると、大きな破裂音などが出て機材が壊れてしまう恐れもあるので、必ず使用する前にボリュームが0になっていることを確認しておきましょう。
逆に、ベース本体側のボリュームは全開にしておきましょう。ベース本体のボリュームが0になっているとベースアンプのボリュームを上げても音は出ません。
ベースに限らず、アンプに接続する楽器は基本的にこの方法を守って準備するようにしましょう。
ベースとアンプを接続
アンプのボリュームが0になっていることが確認できたら、ベースとアンプをシールドと呼ばれるケーブルで接続します。アンプ側の差込口(INPUT)にはPASSIVEとACTIVE、もしくはHIGHとLOWがあります。
使用するベースがパッシブベースならPASSIVEまたはHIGH、アクティブベースならACTIVEまたはLOWに接続してください。使うベースの機種によって差込口が変わるというところは、ギターとは異なるポイントです。
アンプのツマミをフラットにする
ボリューム以外のツマミは全てフラット(0-10表記のツマミなら5)にしておきましょう。
ここでツマミを極端な数値にしてしまったりバラバラにしてしまうと、音作りの基準がわからなくなり何をどうすればいいのか判断できなくなってしまいます。
一度全てフラットな状態にしてから、低音が足りなければBASEを上げる、高音が足りなければTREBLEを上げるという感じで微調整するようにしましょう。
アンプの電源を入れる
ベースをアンプに接続できたらベースアンプの電源を入れましょう。電源を入れる際は必ずアンプ側のボリュームが0になっていることを再度確認してください。
基本的にアンプは暗いステージの上でも電源が入っているかどうかを視認できるようにするため、電源スイッチまたはその周辺のランプが光るようになっています。
もしここでランプが光らなければ、コンセントが抜けているか故障の可能性があります。
音のボリュームを上げていく
アンプの電源が入ったら徐々にアンプ側のボリュームを上げていきます。この時、ベースの弦を弾きながら上げていくとボリュームの感覚がわかるのでおすすめです。
ベースアンプの種類によっては、ゲインコントロールとマスターボリュームの2つのツマミが付いている場合があります。その際はまずゲインコントロールを時計の針で例えると12時〜14時くらいのところに合わせてから徐々にマスターボリュームを上げていきましょう。
他の楽器の音に埋もれない程度までボリュームを上げることができれば、あとはゲインコントロールを上げ下げし、強く弾いても歪みすぎないようにします。歪みすぎてしまう場合はゲインコントロールを下げてマスターボリュームを上げましょう。
アンプのセッティング
音が出るようになったら次は、ベースの音作りの基礎を作っていきます。ゲインコントロールとマスターボリューム以外は全てフラットにしているので、自分の好みや曲の雰囲気などに合わせてその他のツマミを調節していきます。
ここでは、アンプでのセッティングのコツについて解説します。
ブーストとカットとは
「ブースト」とは「音を引き上げる」ことを指し「カット」は「音を省いていく」ことを指します。ベースアンプやエフェクターのツマミのメモリを上げることをブーストといい、下げることをカットと呼びます。
基本的には歪みの量、高音域、中音域、低音域のツマミをそれぞれブーストしたりカットしながらサウンドを作っていきます。
BASS(低音域)を調節
低音域の調節は、エレキベースでは最も重要な音域で、音の太さや低音を作り出す帯域です。
上げていくごとにズンズンとお腹に響くような力強さを出すことができます。
TREBLE(高音域)を調節
高音域はハリのある音作りに重要となる帯域です。上げていくごとに音の輪郭がはっきりしてきます。
ベースを叩いて弾く操法(スラップ)の際に上げると、パンパンという音が響いて気持ちがいいです。しかし、上げすぎてしまうとキンキンとした金属音が響くような音になってしまい、耳が痛くなるので注意が必要です。
MIDDLE(中音域)を調節
中音域は抜けのいい音作りをするために必要な音域です。バンドではギターやドラムなど複数の楽器が同時に音を出すので、芯のある音作りをすることで自分の音が他の楽器の音に埋もれないようにします。
しかし、上げすぎると逆にモコモコとして輪郭のない音になってしまうので注意しましょう。
全体を調整
全てのツマミをフラットの状態から微調整していくことで音作りをしていきます。
自分のバンドのギタリストが低音の聞いた重めの音作りをする場合は、少しベースを下げてMIDDLEとTREBLEでカバーするなど、周囲との調和も大切にしましょう。
ドンシャリ
ベースやギターの音作りには「ドンシャリ」と呼ばれるサウンドがあります。これは低音がドンドン響いて高音がシャリシャリと鳴るような特徴を持つ音の作り方です。
パンクバンドなどの音作りに多い設定方法で、低音域と高音域を上げて中音域を下げるとこのようなサウンドになります。
こうすることですっきりとした気持ちのいい音になるので、ベーシストの間でもドンシャリ好きな人は多いです。ベースの教則本などでもおすすめの音作り例として度々紹介されていますよ。
しかし、あまり極端にドンシャリにしすぎてしまうと、音の抜けが悪くなってしまってバンドで合わせた時にお客さんに聞こえないような音になってしまうので、バランスを取る必要があります。
抜けのいい音
バンドの中でも抜けのいい音を作るためには中音域を上げることです。低音域と高音域を程々に押さえながら中音域を伸ばすと、音の輪郭がハッキリとしてバンドの中でも埋もれにくい音になります。
特にギターが2本以上あるような楽器の多いバンドでは、抜けのいい音を意識して作り込むと全体的なバンドサウンドはまとまりがよくなるでしょう。
イコライザーのセッティング
アンプに付いているツマミは低音域、中音域、高音域の3種類のみで構成されていて、帯域を細かく調整することができません。さらに細かく音を作り込んでいくためにイコライザーというものを使用します。
ここでは、イコライザーの役割とメリット・デメリットについて解説します。
イコライザーとは
イコライザーは特定の周波数帯域をブーストしたりカットすることができるので、さらに細かい音作りが可能となります。
バンドで演奏している時に「特定のフレーズだけ音の抜けをよくしたい」「低音が強く出過ぎているから少しだけカットしたい」といったシーンで活躍します。
イコライザーには「パラメトリックイコライザー」と「グラフィックイコライザー」の2種類があります。
どちらのイコライザーが自分にあっているのか、そのメリット・デメリットと共にみていきましょう。
パラメトリックイコライザーとは
パラメトリックイコライザー(略してパライコ)はコンパクトエフェクター型の場合、LOW、MIDDLE、HIGH、FREQUENCYに分かれており、それぞれのツマミを調節して音を作っていきます。
FREQUENCYはMIDDLEに関わっており、これによってMIDDLEの調整を細かく設定することができます。
パライコのメリット
ツマミの数が少ないので操作方法は簡単です。細かいことを理解していなくてもある程度好みの音を見つけることができます。
また、音の劣化も少ないとされています。
パライコのデメリット
ツマミが少ない分、ピンポイントでの周波数帯調整が難しいです。
特にFREQUENCYの特徴に慣れるまでに時間がかかるでしょう。
グラフィックイコライザーとは
グラッフィックイコライザー(略してグライコ)とは主にHz(ヘルツ)やKHz(キロヘルツ)の周波数の単位で低音域、中音域、高音域の出力を調整することができます。
エフェクターボードに組み込むコンパクトエフェクター型と、高級なベースアンプには通常のツマミの横に備え付けられているアンプ一体型があります。
グライコのメリット
グライコは低音域から高音域まで周波数帯ごとにツマミが並んでいるので、調節したい音域がハッキリしている時は直接上げ下げできるのでわかりやすいです。
ドンシャリ系や抜けのいいサウンドなど、ネットで調べるとある程度設定方法が公開されていることもあるので、目的の音作りに近づきやすいというメリットがあります。
グライコのデメリット
自分でオリジナルの調整をしようと思ったら、周波数の変化による音の違いなどを詳しく知る必要があります。
そのため、チグハグな設定にしてしまった時に変な音作りになってしまいます。
また、コンパクトエフェクターではなくアンプ編のグライコの場合、演奏中にサウンドの変更をすることができないという点もデメリットです。
音作りのコツ
アンプやエフェクターなどベースの音作りで調節するツマミは、たくさんあることが分かっていただけたのではないでしょうか。では具体的に音作りをする時にはどんなことに気をつければいいか、気になっている人も多いでしょう。
ここでは、ベースの音作りのコツを解説します。
アンプの向きや場所も考える
狭いスタジオでの練習の場合、アンプの向きや場所は非常に重要です。
ライブではアンプのスピーカーに集音用のマイクを設置してPAで調整しますが、スタジオでの練習ではスピーカーから出力された音をダイレクトに聞くことになります。
そのため、極端に壁側を向いていたりすると音が均一に広がらないので、スタジオの中央へ目掛けて音を出すように調整しましょう。
ブーストしすぎない
音作りをしていると「もっとハイが欲しい」「もっとミドルを上げて抜けをよくしたい」といって、いろいろツマミをいじってしまいます。
そのように調節していると、いつの間にかブーストしすぎてしまって抜けが悪くドンシャリでもない中途半端な音作りになってしまいます。ついついブーストしてしまいがちになりますが、ここはグッと堪えて不要なものを削りましょう。
イコライザーは音の引き算
よく勘違いされがちなのですが、イコライザーは音にエフェクトをかけるものではありません。あくまで周波数帯を調節するものです。
そのため、ブースト目的で足し算の音作りをするのではなく、不要な音域をカットしていく引き算の音作りをするのが効果的です。足し算の音作りをしてしまうと、基準値以上の音域が多くなり、他の楽器の音とぶつかってしまいます。
そうなると、他の楽器も音を上げてくるしかないので、お互いがどこまででも引き上げてしまってボコボコの音作りになってしまいます。しっかりと抑えるところを押さえて整理するという使い方を心がけましょう。
作った音が少し小さく聞こえたらアンプ側のマスターボリュームを少し上げてみてください。一気に抜けのいいクリアなトーンのサウンドが出るはずですよ。
ピッキングの位置を変えてみる
エレキベースの音は、弾いた弦の振動をベースに取り付けられたピックアップが拾い、シールドを伝ってアンプへと入力されてスピーカーから出力されます。
そのため、ピッキングをする位置が変わればピックアップとの距離が変わるので格段に音が変わります。
また、ピッキングの強弱によっても音が変わります。優しく弾けば柔らかいサウンドになり、強く弾けば歪みサウンドになります。
バスドラムと帯域を分ける
ベースの帯域と最も近い音を出すのがバスドラムです。バスドラムはベースと共にバンドサウンドの重低音を支える重要なパートです。
そのバスドラムと音の帯域が被ってしまうと、バンドサウンドの中でお互いの音がぶつかり合い、一気に音の輪郭を失ってしまいます。
バスドラム側では音の帯域を調整することはできないので、ベース側で調整してあげましょう。
ベースの音作りは経験と慣れが必要?音作りの方法を学んでセッティング時間を短縮しよう!
今回はベースの音作りについて解説してきました。
バンドの中では縁の下の力持ちとも表現されるベースは、サウンドが全面的に前に出てくることはなく、バンドの重低音とリズムをドラムと共に支えています。
そんなベースだからこそ、ドラムやギターの音とミックスさせて干渉しないような音作りを心がけなくてはなりません。そういった音作りをマスターするためにはやはり経験と慣れが必要です。
積極的にスタジオに入って音作りを学ぶことで、セッティングにかける時間も短縮できるようになるでしょう。
この記事のまとめ!
- ベースをアンプに接続する前は必ずボリュームを0にする
- アンプのツマミはフラットの状態から調節を始める
- アンプのセッティングでは「ドンシャリ」と「抜けのいい音」をマスターすることが大切
- イコライザーは引き算の考え方で調整する
- とにかくギターやドラムとスタジオに入って経験を積むことが音作りを習得するコツ