ギターを弾くうえで、指板はとても重要な素材であることをご存じでしょうか。
弦を押さえる部分なので、材質や形状で弾きやすさや音の傾向も変わってきます。
また木で作られているため、お手入れをしないと思わぬトラブルが発生することも。
この記事のもくじ
指板とは?
指板とはネックの表面に貼り付けられている板のことです。
弦を指で押さえるための板であることから「フィンガーボード」と、呼ばれることもあります。
指板には「フレット」という音階を区切るためのパーツが打ちつけられており、正確な音程で演奏することの手助けとなります。
「フレット」はヴァイオリンなどのクラシック弦楽器には装着されておらず、完全に指の感覚と音感のみで演奏しなければなりません。
ギターやベースは「フレット」があることで、比較的演奏がしやすいようになっているのです。
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ギター指板の材質の種類
指板の材質は主に「メイプル」「ローズウッド」「エボニー」の3種類。
大きく分けるとこちらの3種類ですが、産地や木の状態で変わってくるのでさらに細かな種類に分かれています。
サウンドはもちろん、ルックス・希少性なども変わってくるので中々奥が深いですよ。
指板の種類によってギターの価格が大きく変わることもあるので、覚えておいて損はありません。
「メイプル」「ローズウッド」「エボニー」それぞれの材質を細かく分類し、特徴を紹介するので参考にしてみてくださいね。
メイプル指板はネック材にも使われることが多く、さらに細かな知識を持っておくと良いのでこちらの記事もぜひ参考にしてくださいね。
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メイプル指板
メイプル指板はジャリッとしたニュアンスで、クリアなサウンドが得られることが特徴。
通常のメイプル指板以外にも、代表的な3種類の木材があるので紹介します。
- ローステッドメイプル
メイプル材を180~240℃の高温で加熱処理した「ローステッドメイプル」は、水分が抜けるためヴィンテージライクな「枯れたサウンド」を狙いやすくなります。 - バーズアイメイプル
「バーズアイメイプル」はその名の通り、鳥の目のような木目が出たメイプル材。
サウンドに変化はありませんが、ルックスに高級感が出るので人気です。 - カーリーメイプル
「カーリーメイプル」は波状にシワが寄ったような木目のメイプル材。
切り出し方で木目が大きく変わり、最終的には「フレイムメイプル」か「タイガーメイプル」に分類されます。
「バーズアイメイプル」と同様に、ルックスの高級感が特徴です。
ローズウッド指板
ローズウッド指板は多くのギターに使用されている定番の木材です。
高級版も多く、市場価値が上がりやすい傾向にあります。
- インディアンローズウッド
「インディアンローズウッド」は最もポピュラーで、多くのローズウッド系のギターに使われている木材です。
コクのある中音域に定評があります。 - ホンジュラスローズウッド
中米、ホンジュラスで採れる高価なローズウッドです。
中音域が際立ちながらも、硬質で立ち上がりの速い極上サウンドが狙えます。 - マダガスカルローズウッド
「マダガスカルローズウッド」は「ホンジュラスローズウッド」に近い特性を持つと言われています。
楽器の弦振動を良く伝えてくれる高級なローズウッドです。 - ハカランダ
「ハカランダ」はワシントン条約にて絶滅危惧種に指定された、希少性の高いローズウッド。
各音域のバランスとレスポンスの良さから非常に人気が高く、中古で探している人も多いです。 - ソノケリン
「ソノケリン」は「インディアンローズウッド」の種を、インドネシアで植林した木材です。
そのため「インディアンローズウッド」に近い音質の木材と言えます。
エボニー指板
エボニー指板は黒檀(こくたん)とも呼ばれ、色の黒さが高級感を演出してくれます。
非常に硬質な木材で、アタックの強い音色が特徴です。
- マッカーサーエボニー
「マッカーサーエボニー」は美しい縞模様(しまもよう)があり、縞黒檀(しまこくたん)とも呼ばれています。 - ペールムーンエボニー
エボニーながらもベースの色が白で、黒がランダムに混ざった木材。
幻想的なルックスは一度見たら忘れられないインパクトがあります。 - アフリカンエボニー
「アフリカンエボニー」は部分的に入っている、白い線のような模様が特徴です。
ワシントン条約で「取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの」とされています。 - ブラックエボニー
特に真っ黒なエボニーは「ブラックエボニー」、または本黒檀(ほんこくたん)と呼ばれており、希少性の高い木材となります。 - マッカサルエボニー
「マッカサルエボニー」は「マッカーサーエボニー」の違う発音での呼び方で、どちらで表記するかは楽器メーカーによって異なります。
「マッカーサーエボニー」と同様に、縞模様(しまもよう)の入った木材です。
ギター指板の形状・R(アール)
ギター指板は形状にも種類があります。
R(アール)と呼ばれるギター指板の形状は、押さえやすさやサウンドにも大きく影響が出る重要な要素です。
- 丸みのある指板
指板のR(アール)は、丸みが強い程に数値が小さく表記されています。
具体的には184R~250R辺りの数値の指板は丸みが強いとされており、コードの鳴りが良く、握りこみやすい形状です。 - 平らな指板
300R以上の指板は平らに近い形状をしており、押さえやすいことからテクニカル系のプレイに向いています。
チョーキングのサスティーンも得やすく、均一感のあるサウンドです。 - 円錐指板(コンパウンド・ラディアス)
ナット側からブリッジ側へ向かうにつれ、丸みが弱くなっていく加工を施した形状を、円錐指板(コンパウンド・ラディアス)と呼びます。
コードを弾くことが多いローポジション・ソロや、繊細なフォームが増えてくるハイポジションの両方に対応。
サウンドもオールマイティーなプレイを好むギタリスト向きと言えるでしょう。
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ギター指板の覚え方
「ギター指板の音階を覚えるのは大変だ」と、感じている人は多いはず。
全てのポジションを記憶することはかなり大変ですし、あまり音楽的とは言えません。
まずはC(ド)のポジションを覚えて、C→D→E→F→G→A→B→C(ドレミファソラシド)を、縦と横の基本フォームとして弾き続けてみましょう。
慣れてくると自然とC(ド)以外の音も、しっかりポジションが把握出来るようになっていきますよ。
例えばB(シ)はC(ド)の半音下なので、C(ド)のポジションが頭に入っていれば、B(シ)はヘッド側の1フレット隣のポジションとして頭に入るでしょう。
このように音階の法則を利用して覚えると効率が良くておすすめなので、ぜひ試してみてくださいね。
ギター指板のお手入れ道具
ギターの指板はきちんとお手入れをすることで、より弾きやすいコンディションを保つことができ、鳴りも向上します。
汚れが付着していると滑りが悪くなるのはもちろん、水分を補給させてあげないと真冬にヒビが入ってしまうなんてことも…。
ギター指板のお手入れは基本的に、汚れの除去と保湿が重要です。
これから紹介するお手入れ道具を弦交換の際に使用して、メンテナンスしてあげましょう。
レモンオイル
「レモンオイル」には保湿に加え、汚れを落とす効果もあります。
ローズウッドやエボニーなど、無塗装の指板に使ってあげると良いでしょう。
ただしメイプルの場合は、ほとんどが「オイルフィニッシュ」という無着色塗装をしてあります。
そのためレモンオイルの保湿効果は発揮しないので、注意してくださいね。
メイプルでも無塗装の場合は有効なので、自分の楽器の仕様を調べておきましょう。
オレンジオイル
「オレンジオイル」もローズウッドやエボニー、無塗装のメイプル指板に有効なオイルです。
レモンオイルに比べてオレンジオイルの方が粘度が高く、揮発性が低いので指板の保湿に向いています。
汚れを落とす効果も低くはないので、乾燥しやすい冬場はオレンジオイルを優先して使うのもアリですよ。
クロス
「クロス」は楽器を拭くためのクリーニングアイテムです。
指板だけでなく、ボディやネックを拭くのにも使えるので1枚は持っておきましょう。
ギターを弾いた後の指板には汗などが付着しているので、こまめに空拭きしてあげると汚れが溜まらずに済みます。
オイルなどの塗るタイプのメンテナンス用品を使った後も、クロスで空拭きするのをお忘れなく。
ワックス
近年話題になっているのが「ワックス」です。
オイルと比較して粘度が高く、さらに高い保湿性がありながらも塗った後の使用感はサラサラしているのが特徴です。
オイルを配合した商品もあるので、好みの使用感のワックスを探してみるのも良いですよ。
指板だけでなくフレット磨きにも使えるので、1つ持っておくとかなり幅広く対応してくれるでしょう。
クリーナー
「クリーナー」は指板の汚れを落とす効果のみを発揮してくれる、シンプルなお手入れ道具です。
塗装されたメイプル指板は、クリーナーで汚れを落としてあげるだけで十分。
ローズウッドやエボニーでもクリーナーは有効で、汚れをしっかり落としたうえでオイルやワックスで仕上げるのもアリです。
併用するかどうかは好みによって分かれるので、一度は試してみると良いでしょう。
ギター指板材質は種類が多い!押さえる位置を覚えて練習しよう
ギター指板は弦を押さえて演奏する部分なので、非常に重要な部位となります。
多くの材質があり、種類によってサウンドや弾き心地が大きく変わってくるので奥が深いですね。
ギター指板にこだわりが出てくると、演奏もより楽しめるようになってきます。
ぜひ「メイプル」「ローズウッド」「エボニー」の3種類に、一度は触れてみましょう。
好みの弾き心地で練習すれば、押さえる位置を覚えるのもきっと早くなります。
ぜひこの記事で紹介した方法を参考に練習に励んでくださいね。
この記事のまとめ!
- 指板とは弦をさ押えるための木材であり、音階をコントロールする重要な部位
- 主な3種類はメイプル・ローズウッド・エボニーで、音も弾き心地もそれぞれ異なる
- 指板の形状はR(アール)と呼ばれ、丸みを帯びている
- 音のポジションはC(ド)から覚えてみよう!基本フォームをまずはマスターするべし
- 指板はこまめにお手入れするのが重要!保湿とクリーニングは定期的に