電子機器を使った作曲をしようと思ったことがある人なら、一度は耳にする「MIDIキーボード」。
「普通のキーボードと何が違うの?」と疑問に思っている人もいるかもしれません。
MIDIキーボードにはたくさんの種類があるので、初心者のうちは何を使ったら良いのか迷う人も多いでしょう。
せっかくなら、自分の用途にぴったりのツールを見つけたいですよね。
この記事のもくじ
MIDIキーボードとは
MIDIキーボードとは作曲に使うソフト・DAW上で音符を入力するとき、特定の機材を演奏するときに使われる鍵盤型のコントローラーです。
見た目は鍵盤楽器ですが、どちらかというとゲームのコントローラーやPCのキーボードに近いものと考えるとより使い方をイメージしやすくなるでしょう。
はじめに、この個性あふれる機材MIDIキーボードの基礎知識や特徴を紹介します。
MIDI(ミディ)とは
MIDIとは、電子楽器同士を接続するために作られた規格のことです。
Musical Instrument Digital Interfaceの略称で、主に演奏情報を伝達するために使われています。
音の長さや音程、強弱はもちろん、ペダル類の操作などもしっかりとデータ化できるのが特徴。
そのため、鍵盤のような操作パネルを持たないハード・ソフトタイプのシンセサイザーの演奏から、DAWを使った作曲や自動演奏まで幅広く使われていますよ。
また、BluetoothやUSBのような世界共通の規格でもあるため、メーカーによって使えない、挙動が違うといったトラブルが発生しないのも特徴の1つです。
DTMには必須級のアイテム
MIDIキーボードは、DTMでの音楽制作には欠かせないアイテムの一つです。
もちろん、キーボードとマウスだけでも作業は進められますが、この2つがメインだと1つの音符を入力するだけでも複数の操作が必要になります。
一方、MIDIキーボードなら音階はもちろん、音の長さや強弱なども一緒に入力できるので、音楽制作もスピーディーに進められますよ。
ドラムやピアノといった、同時に複数の音を鳴らす楽器のフレーズが素早く入力できるのもポイント。
鍵盤を全く弾けない人が使っても、大幅に作業効率が上げられるのでDTMに挑戦する予定の人は、ぜひ揃えるようにしましょう。
単体では音が出ない
MIDIキーボードは、単体では音が出ないものです。
これは、もともとシンセサイザーやパソコンに音のデータを入力・送信するための機器として設計されているため。
加えて、音を出すために必要なスピーカーや音源も搭載していないので、単体では演奏を楽しめません。
なかには、シンセサイザーや電子ピアノとしても使えるモデルもありますが、基本的に音が出ないものと覚えておきましょう。
音源と組み合わせれば楽器としても使える
単体では音が出せないMIDIキーボードですが、PCにインストールして使うソフト音源や、ハードタイプの音源を使えば楽器としても使えます。
ソフト音源の場合はPCに接続した後に、DAWソフト上で起動させる、もしくは単体(スタンドアロン)で起動させるだけ。
ハードタイプなら好みの音源モジュールを購入し、マニュアル通りに接続するだけで手軽に演奏を楽しめますよ。
高品質なものを用意すれば、ライブにも使えるのでシンセや鍵盤の演奏に興味がある人は、ぜひこの使い方も検討してみてくださいね。
MIDIキーボードの選び方
MIDIキーボードは様々なメーカーから、色々な種類が販売されているので、初心者のうちは何を使ったら良いか迷いますよね。
MIDIキーボードの選び方には、いくつかのポイントがあります。
用途によって使いやすさは人それぞれなので、以下のポイントを参考に自分にあった製品を選びましょう!
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鍵盤数で選ぶ
MIDIキーボードには25鍵、37鍵、49鍵、61鍵、88鍵の鍵盤数があります。
自分がMIDIキーボードを使ってしたいことを基準に、鍵盤数を選びましょう。
ちょっとしたコードやメロディの打ち込みなら25~49鍵で十分。
本格的な演奏をしたいならシンセサイザーにも良く採用される61鍵や、グランドピアノと同じ88鍵タイプがおすすめです。
しかし、鍵盤の数が多くなるほどに、本体のサイズが大きくなる点には要注意。
そのため、MIDIキーボードを選ぶときには鍵盤数と設置スペースの両方を考えて選ぶと、自分にピッタリの1台が見つかるでしょう。
接続方法で選ぶ
MIDIキーボードの接続方式には、
- USB接続
- MIDI端子を使った接続
- Bluetoothを使ったワイヤレス接続
などがあります。
多くの商品がUSB接続に対応しているため、USBを使う予定ならあまり気にする必要はありません。
しかし、用途によっては他の接続にも対応した商品のほうが使い勝手が良い場合もあるので、ぜひチェックしておきましょう。
オーディオインターフェイスのMIDI端子に接続してPC側のUSB端子を節約したい、ハードタイプのシンセの演奏にも使うならMIDI端子を使った接続に対応したモデル。
手軽にパソコンやスマホと接続したいなら、Bluetooth接続に対応したものがおすすめです。
キータッチ
MIDIキーボードには、ライトウェイト鍵盤、セミウェイト鍵盤、ピアノタッチ鍵盤の3種類があります。
最もメジャーなのがライトウェイト鍵盤でこちらは、ピアノの鍵盤に比べてタッチが軽いのが特徴。
セミウェイト鍵盤はやや重めのタッチ感で、鍵盤としての演奏はもちろん、その他の打ち込みも快適にこなせるバランスの良いタイプとなっています。
本物のピアノの弾き心地を目指して作られたものがピアノタッチ鍵盤で、こちらはピアノに近いリアルなタッチ感が楽しめますよ。
普段からピアノを弾く人には、ピアノタッチ鍵盤がおすすめ。
鍵盤楽器に不慣れな人や、操作性を重視する人は、ライトウェイトやセミウェイトのほうが扱いやすいでしょう。
鍵盤の大きさ
MIDIキーボードの鍵盤には、ミニサイズとフルサイズの2種類があります。
フル鍵盤サイズは通常のピアノ鍵盤と同じ大きさですが、ミニ鍵盤サイズは通常よりも短く小さいです。
キータッチと同様、ピアノをよく弾く人にとっては、ミニ鍵盤サイズだと物足りなさを感じるかもしれません。
一方で、ミニの方がコンパクトな設計のモデルが多く、収納に困らないというメリットもありますよ。
コントローラー機能
音符の入力はもちろん、その他の作業も効率良く進めたいならコントローラー機能も要チェックです。
コントローラー機能とは機能が割り当てられたボタンやパッド、ツマミのことで、高性能なモデルになるほど色々なものが搭載されていますよ。
電子系のリズムやドラムを感覚的に入力したいならパッド付きのもの。
ミキシングをスムーズに進めたいなら、フェーダーを搭載したMIDIキーボードを選ぶと良いでしょう。
よく使う機能のショートカットが割り当てられるものもあるなど、モデルごとに違うので、ぜひ自分好みの1台を見つけてみてくださいね。
ペダル端子の有無
鍵盤演奏をそのまま打ち込みたい、演奏に使いたいならペダル端子の有無も必ずチェックしましょう。
ペダル端子とはサスティンペダルを接続するために必要なもので、楽器用シールドのものと似たサイズ感の端子になっています。
この端子があれば、別売りのサスティンペダルも簡単に接続できますよ。
MIDIキーボードとペダルはセットになっていることが少ないので忘れられがちですが、キーボード的な使い方をする予定なら要チェックです。
iOSでの使用の可否
iPhoneやiPadとMIDIキーボードを直接接続するためには、iOSでの使用可否のチェックも必要です。
MIDIキーボードとiPhoneなどを直接つなぐケーブルが予め付属で付いているものや、USB-Lightingカメラアダプタが必要なタイプなどがあります。
自分の作業方法に合わせて、音楽機器同士の接続方法も確認しておくことが大切です。
MIDIキーボードのおすすめメーカー
MIDIキーボードには、高価なものもあれば、安くて多機能なものがあったりと、価格設定もメーカーによって様々です。
どれを買うか迷った時は、メーカーから選ぶのも一つの手段です。
MIDIキーボードに実績のあるメーカーや、多くの人が使っているメーカーなら安心ですよね。
MIDIキーボードの人気メーカーをチェックしましょう!
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KORG(コルグ)
「KORG」は、特にシンセサイザーで有名な、老舗の電子楽器メーカーです。
電子キーボードや電子ピアノなどの鍵盤楽器を多く製造しています。
音質には定評があり、プロのミュージシャンをはじめ、世界的にも人気です。
KORGのMIDIキーボードにはたくさんのラインナップがあり、スタイリッシュなデザインながら機能も充実した製品が販売されています。
Roland(ローランド)
KORGと同じく「Roland」も老舗の電子楽器メーカーです。
Rolandの電子ピアノを愛用するプロアーティストも多く、電子鍵盤楽器には実績があります。
Rolandからは、鍵盤数が多くてピアノタッチのMIDIキーボードがたくさん製造、販売されているので、ピアノをよく弾く人におすすめです。
M-Audio(エムオーディオ)
「M-Audio」は、アメリカのDTM向け音響機器の専門メーカーです。
ステージ楽器を販売していないので、DTMを始めたばかりの人には聞きなれないメーカーかもしれません。
M-AudioのMIDIキーボードは操作性が良いので、鍵盤数が少なくても違和感がなく、打ち込みに集中できます。
ラインナップも多いので、自分に必要な機能が備わったぴったりのMIDIキーボードにきっと出会えるでしょう。
初心者におすすめMIDIキーボード
MIDIキーボードには、弾き心地を重視した製品から、パッドやコントローラーなどの機能を重視したタイプまで、様々なものがあります。
初めてMIDIキーボードを選ぶときには、自分の制作スタイルに合った製品を探しましょう。
色々な機能が付いていた方が便利に思うかもしれませんが、初心者のうちはなるべくシンプルなMIDIキーボードがおすすめです。
ここでは、MIDIキーボードで初心者におすすめ人気ランキング8選を紹介します!
M-Audio Keystation Mini 32 MK3
気軽に使える、リーズナブルなMIDIキーボードが欲しい人におすすめなのが、M-AudioのMini 32 MK3です。
6000円前後と安い価格帯のモデルながらも、ちょっとした演奏やドラムの打ち込みには十分な32鍵仕様になっているのが特徴。
ミニ鍵盤タイプのため鍵盤としての演奏性は高くありませんが、そのぶんコンパクトな設計なので持ち運びや収納も簡単でしょう。
プラグインや音源といった付属ソフトが充実しているのも魅力の、コスパ抜群の1台です。
KORG microKEY2 Air-25
KORGのmicroKEY Air-25は、Bluetooth接続に対応した25鍵仕様のMIDIキーボードです。
ミニ鍵盤仕様を採用することで幅39.5cm、奥行き13.1cmとコンパクトなサイズ感を実現。
Bluetoothに対応したパソコンとワイヤレス接続できるのはもちろん、タブレットやスマホとも簡単に接続できるので、外出先で作曲したいという人でも快適に使えますよ。
USBケーブルを使った有線接続も可能な、コンパクトで機能性にも優れたMIDIキーボードです。
Akai Professional USB MIDIキーボード MPK mini MK3
鍵盤だけでなく、パッド機能もしっかり使いたい人におすすめなのが、Akai Professional USB MIDIキーボードMPK mini MK3です。
25鍵タイプのコンパクトなモデルですが、音の強弱まで細かく打ち込めるベロシティ対応で、さらに音を長く伸ばせるサスティンやトランスポーズ機能などが付いています。
赤と黒を基調とした、スタイリッシュなデザインに仕上げられているのも魅力の1つ。
パッドが大きくて使いやすいため、ドラムの打ち込みをたくさんする人におすすめです。
KORG MIDIキーボード nanoKEY Studio
持ち運びに便利でコンパクトなMIDIキーボードといえば、KORGのnanoKEY Studioです。
パソコンのキーボードと同じくらい薄いことで知られています。
25鍵盤のミニ鍵盤ながら、鍵盤の間に隙間があるためミスタッチが少なく、操作性の良いMIDIキーボードです。
とにかくコンパクトなので、スタジオなどに持ち込んで使いたい人に向いています。
KORG 定番 USB/ワイヤレス オールインワン モバイルMIDIキーボード nanoKEY Studio 音楽制作 DTM A4サイズ ...
NOVATION Launchkey 37 MK3
イギリス発の電子楽器メーカー・NOVATIONが手掛ける、高コスパなMIDIキーボードがLaunchkey 37 MK3です。
演奏性と携帯性のバランスが良い37鍵盤仕様のモデルで、パッドやツマミといったコントローラー類が充実した設計になっているのが特徴。
さらに、設定したスケールに含まれない音が入力されなくなる機能や、指1本でコードを作る機能といった作曲に役立つ機能も充実していますよ。
操作性を重視する人はもちろん、鍵盤の演奏に自信がない人にもおすすめできる人気モデルです。
Roland MIDI Keyboard Controller A-49
Rolandから販売されているMIDI Keyboard Controller A-49は、シンセサイザーとしてライブパフォーマンスでも活躍するMIDIキーボードです。
ステージと音楽制作での併用を考えている場合にはとても便利です。
鍵盤の弾き心地も良く、ライブパフォーマンスで活躍できるD-BEAMという機能も付いています。
D-BEAM機能は、手をかざすだけで音を自在に変化させられる機能で、クラブ音楽やDJなどでよく使われています。
M-Audio Keystation 61
M-AudioからリリースされているKeystation 61は、ベロシティ対応、セミウェイト鍵盤を採用したMIDIキーボードです。
シンプルなデザインで、音の高さを自由に変えられるピッチベンドなど、様々な機能を搭載しており、操作性も評価されています。
iOSデバイスにも対応しているので、iPhoneやiPadで作曲している人にもおすすめのMIDIキーボードです。
Nektar Technology Impact LX88+
Nektar TechnologyからリリースされているImpact LX88+は、88鍵モデルのMIDIキーボードです。
セミウェイト鍵盤を採用しており、弾いた感じはピアノより少し軽いです。
トランスポーズやオクターブ機能などを豊富に搭載しているだけでなく、DAWインテグレーション機能まで付いています。
そのため、DAW上の操作をMIDIキーボードで直接できるのも魅力です。
音楽制作の効率アップを目指せるMIDIキーボードと言えるでしょう。
Nektar Technology IMPACT LX88+ DAW連携MIDIキーボードコントローラー エンコーダー/フェーダー/トランス...
中上級者におすすめのピアノタッチ系・多機能系MIDIキーボード
コスパよりも機能性を重視したい、作曲や演奏を力強くサポートしてくれるMIDIキーボードが欲しいという人におすすめなのが高性能モデルです。
価格は少し高めですが、ピアノタッチに近いモデルや多機能な商品などがたくさん揃っているので、自分に合ったものを選べば快適に作曲や演奏を楽しめるでしょう。
最後に、中上級者におすすめの高性能なMIDIキーボードを紹介します。
Roland MIDIキーボード A-88 MKII
2020年3月に発売になったRolandのA-88 MKⅡは、ピアノタッチを追求したMIDIキーボードです。
象牙調の88鍵、ハンマーアクションもあるピアノ鍵盤なので、ピアノさながらの弾き心地のMIDIキーボードです。
また、自由に色を変更できる自照式ノブなので、視認性にも優れており、パッドが搭載されるなど機能も充実しています。
USB-C 接続や、バスパワーによる駆動もできるので、MIDIキーボードにあれば嬉しい機能のほとんどが付いた商品です。
Arturia KeyLab MK2 61
使いやすく多機能な61鍵のMIDIキーボードが欲しい人にピッタリのモデルが、フランスのシンセメーカーArturiaが手掛けるKeyLab MK2 61です。
フェーダーやパッドといったコントローラー類を多数搭載しているのはもちろん、それぞれが使いやすい配置、設計になっています。
鍵盤初心者でも快適に入力できる、軽めのタッチになっているのも特徴の1つ。
MIDI端子やUSB端子はもちろん、本格シンセとの接続に使うCV/Gate端子やペダル専用端子も搭載した、DTMからライブまで幅広く使えるMIDIキーボードです。
Native Instruments S-シリーズキーボード KOMPLETE KONTROL S88 MK2
Native Instrumentsから販売されているKOMPLETE KONTROL S88 MK2は、ピアノのようなリアルな弾き心地を実現したキーボードです。
88鍵仕様になっているのはもちろん、最先端のハンマーアクション技術も導入しているのでピアノ演奏に慣れている人でも快適に使えるでしょう。
鍵盤の一つ一つに小さなLEDが付いているため、打ち込みや演奏時の視認性が高いのも魅力の1つ。
細かな設定やミキシングに役立つ液晶ディスプレイやツマミ類も搭載しているので、DAWでの作曲もスムーズに進められますよ。
高品質なエフェクトや音源を多数内蔵した、NATIVE INSTRUMENTSの人気ソフト「Komplete」の1部が試せるライセンスが付属しているのも魅力のプロ仕様モデルです。
MIDIキーボードを使いこなせばDTMがもっと楽しくなる!
MIDIキーボードがあると、DTMでの音楽制作が効率良く行えます。
MIDIキーボードは、ピアノのように使えるものから、MIDIコントローラーとしての機能が充実しているものまで様々です。
まずは、自分の制作スタイルに合ったMIDIキーボードを選びましょう。
最近では、iPhoneやiPadと直截接続できるものがあったり、ライブステージと併用できるものがあったりラインナップも豊富です。
ぜひ、色々な製品をチェックしてみてください!
この記事のまとめ!
- MIDIとは、電子楽器の音の情報をデータとして転送できる規格のこと
- MIDIキーボードを使うと、パソコン上に音の情報を簡単に入力できる
- MIDIキーボード選びのポイントは、鍵盤数、コントローラー機能や他機器との接続方法など
- ピアノタッチに近いMIDIキーボードは、ピアノをたくさん弾く人におすすめ