使用するだけで効果音的なスライド音とワイルドなサウンドが楽しめるアイテム、スライドバー。
興味はあるけど、使い方や選び方が分からないので購入しようか迷っているという人も多いのではないでしょうか。
奥が深いアイテムですが自分好みのモデルを選び、基本を意識して練習すれば楽しく演奏できるようになりますよ。
この記事のもくじ
スライドバーとは
スライドバーとはスライド奏法(ボトルネック奏法)に使用する、筒状のアイテムです。
かつては、お酒の瓶の首部分を切り取ったものが使われていましたが、スライド奏法が有名になったため専用アイテムとして開発されました。
現在ではブルースやカントリー系のギタリストが好んで使っているほか、東京事変で有名な長岡亮介(浮雲)や山崎まさよしなどのポップ・ロック系のギタリストも使っています。
使用頻度が高いものではありませんが、使い方をマスターしておくと演奏の幅が広がるアイテムです。
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素材別の特徴
スライドバーは色々な大きさや長さ、厚さのモデルがあるだけでなく、素材のバリエーションも豊富です。
それぞれに演奏性や音質などの特徴があるため、選ぶときに素材の特徴を把握しておくと自分好みのモデルを探しやすくなりますよ。
次はスライドバーの定番素材から意外な素材、有名ギタリストが使用した素材まで幅広く紹介します。
ガラス
ガラスは多くのギタリストから親しまれている、スライドバーの定番素材です。
アコースティックギターとエレキギターのどちらにも合わせやすい、マイルドなトーンが特徴。
弦とスライドバーがこすれる音もマイルドなので、ビブラートやスライドのサウンドもなめらかな雰囲気になります。
割れやすく音の伸びも控えめというデメリットはありますが、軽量でアンプのセッティングやギターの種類を気にせず使える素材です。
スチール
スチールはタイトで高音域が際立ったサウンドが特徴の、スライドバーの定番素材です。
金属でできているためガラスよりも重く、色も金属らしいステンレスやクローム系の光沢のあるカラーとなっています。
また、落とした程度では割れない素材なので、ライブや練習にも安心して使えるのもポイント。
アコギを使ったワイルドなスライド奏法や、ギターアンプや楽器用エフェクターで歪ませたストラト・テレキャスと相性の良い素材です。
セラミック
よりマイルドなサウンドが欲しいという人におすすめなのが、陶器と同じ材質のセラミック製のスライドバーです。サウンドの傾向はガラスに似ていますが、より暖かくマイルドなサウンドになっています。
販売価格が高めで割れやすいため気軽には使えませんが、自分好みの最高の音質でレコーディングしたいと考える人にはピッタリの素材です。
ブラス
ブラスは金管楽器や楽器パーツによく使用される、音響特性に優れた金属です。日本では、真鍮という名前でも呼ばれています。
5円玉に似たゴールド系のカラーの金属で、ブラス製のスライドバーも同じようなカラーになっています。
サウンドは同じ金属のスチールに近いですが、ダークで落ち着いた雰囲気になっていますよ。
ラインアップも豊富なので、定番素材のモデルとは一味違ったサウンドのスライドバーが欲しい人におすすめです。
ソケットレンチ
京都機械工具(KTC) ディープソケットレンチ B3L-14 対辺寸法:14×差込角:9.5m
ソケットレンチとは、取っ手にボルトやナットを回すためのソケットという金属の筒をはめ込んで使う工具です。
このソケット部分も指が入るほどのサイズや長さを持っていれば、スライドバーとして使えますよ。
モデルによって素材は違っていますが、スチール系のタイトで金属的なサウンドが楽しめます。
本来の使い方とは違いますが、個性のある金属的な音が出せるので気になる人は試してみてくださいね。
ボトルネック
往年のブルースマンのような、ヴィンテージサウンドを出せるのがボトルネックです。
お酒やジューズの瓶の首部分を切り取りスライドバーとして使うもので、瓶の大きさや厚さなどで音が変わるのが特徴。
金属やガラス製スライドバーのように複雑な加工を必要としないため、自作して音の違いを楽しんでいる人もたくさんいます。
かつては市販品もありましたが、現在は店頭で見かけることもなく、大手メーカーも製造していないため、自作向きの素材といえるでしょう。
ローズウッド
ローズウッドはギターの指板や、アコギのボディなどによく使用されている木材です。
スライドバーは金属やガラス系の素材が定番ですが、過去にはローズウッドを使ったスライドバーも販売されていますよ。
木材らしいマイルドなサウンドで、摩擦が大きいため弦とこすれる音が目立つのが特徴。
現在は中古品や自作品メインのようですが、有名アコギメーカーのTaylorがエボニー材を使ったモデルを販売しているので、気になる人は要チェックです。
コリシディン
The Allman Brothers Bandのギタリスト・デュアン・オールマンがスライドバーとして愛用していたのが、コリシディンの瓶です。
コリシディンとは60年代~70年代のアメリカでよく使われていた風邪薬の名前で、瓶は大きめのスライドバーと同じサイズ感になっています。
ガラス系のサウンドですが、ガラス部分の体積が大きいためマイルドで伸びの少ないサウンドになっているのが特徴。
日本で本物のコリシディンを手に入れるのは難しいですが、似たタイプをJim Dunlopが販売しているので気になる人は試してみてくださいね。
形状の種類
音質や演奏性にこだわりたいなら、スライドバーの形状にも注目しましょう。
ギター向けのスタンダードなタイプを使うのが基本ですが、他の弦楽器用のモデルや機能性を重視したタイプもチェックすると自分に合った1本を見つけやすくなりますよ。
スライドバーの形状を3つ紹介するので、好みのモデルを探すときの参考にしてみてくださいね。
円筒型
円筒型はギター用スライドバーの定番の形状です。
指を筒に入れて使うタイプで、7cmほどのスタンダードなモデルから単音プレイに適した短いモデルまで色々な長さが揃っているのが特徴。
素材や厚さのバリエーションも幅広く、ボトルネックのように根本が広がっているタイプやくびれのあるタイプのような特殊な形状も揃っています。
サウンドの好みや演奏スタイルに合わせて選べる、スタンダードな形状です。
円柱型
円筒型と同じ丸い筒状の形状をもちながらも、穴のない構造になっているタイプが円柱型です。
主にハワイアンに登場する、琴とギターの中間のようなルックスを持つスチールギターに使われています。
素材は金属系のみですが、木製の取っ手が付いたタイプや四角いタイプがあるなど形のバリエーションは豊富です。
ギターにも使用できますが円筒型よりも重く、指に通すことができないため基本的に使用しません。
変形型
変形型はスライドバーを使うとき、未使用時の両方の演奏性を追求した、独特な形状をもつタイプです。
円筒型の半分を切り取ったような形状のSHUBBの「AXYS」や、棒状のバーが付いたJETSLIDEの「JetSlide Slide Bar」が有名。
どちらも、スライドバーをはめていない指を使えば簡単にバーと指の切り替えができますよ。
体積が少ない分軽いサウンドになりやすいですが、機能性に優れた形状です。
スライドバーの使い方
スライドバーは手が大きい人は薬指、標準サイズ~小さめの人は小指にはめるのが定番です。
残りの指はフレーズやコードを弾いたり、不要弦のミュートをしたりするだけなので、バーをはめた状態でも小指が自由に使える人は薬指に装着しても良いでしょう。
音を出すときは、狙った音の真上を、バーとフレットが平行になるように当てます。
このとき指の力はバーを支えるのみに使い、指板の方向に押し込まないようにするのがポイント。
指板方向に力を入れてしまうと、弦とフレットがぶつかり伸びのないノイジーなサウンドになるので注意が必要です。
弦1本のみを狙う場合は、バーの角度や長さを調節して低音源に当たらないように調節。
加えて、指弾きの場合は親指で低音弦、中指で高音弦をミュートし、ピック弾きの場合も同様に余った指で高音弦側をミュートします。
慣れるまでは難しいですが、1つ1つの動作をゆっくりと確かめながら練習していくと思い通りに弾けるようになりますよ。
また、ブルースを弾く場合にはオープンGやオープンDといった、開放弦がコードになるオープンチューニングを使うと、雰囲気を出しやすくなるので試してみてくださいね。
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スライドバーの選び方
自分好みのスライドバーを探すときには、以下の4つの要素に注目して選ぶのがおすすめです。
- 形状
- 大きさ
- 重さ
- 素材
形状は色々なものがありますが、まずはスタンダードな円筒型がら試し、スタイルに合わないと感じたら変形型を使ってみるのがおすすめです。
大きさは円筒の外径や長さするもので、細く小さいものほどフレットの真上を狙いやすくなります。
重さは基本的に気にする必要はありませんが、外径が大きく分厚いタイプのような極端なモデルは指の負担が増えてしまうため、握力に自信がない人は避けたほうが無難です。
さらに音質や重量にこだわる場合には素材も重要で、金属系は重く高音域がハッキリした音、ガラス系は軽量でマイルドな音色になります。
音質のみで考えると、太く伸びのあるサウンドが出せる厚く大きなバー優れていますが、使いこなすのが難しいため上級者向けといえるでしょう。
初めてスライド奏法に挑戦するという人には、程よい厚みのあるガラスや、薄めのスチール・ブラスを使用した、長さ7cmほどのスタンダードなモデルがおすすめです。
ギター初心者にもおすすめのスライドバー3選
スライドバーの使い方や選び方を覚えたら、次は自分に合った使いやすいモデルを探してみましょう。
色々なメーカーが販売しているため商品数も多いですが、選び方と好みのサウンド、演奏スタイルを考えながら選べばピッタリのモデルが見つかりますよ。
最後にギター初心者にもおすすめの、音質と演奏性のバランスに優れたスライドバーを紹介します。
PYREX GLASS #215 / Jim Dunlop
Jim Dunlopの「PYREX GLASS #215」は硬質で熱に強い硼珪酸ガラス(ホウケイ酸ガラス)で作られた、スタンダードな形状のスライドバーです。
へビーという厚めの設計ですが、素材が軽いため初心者でも気軽に装着できるのが特徴。
ガラスらしい丸く暖かいサウンドであるのはもちろん、厚さを生かした太く伸びのある音が出せるようになっています。
表面にはキズや凹凸をなくすための熱処理が施されているなど。使いやすさにもこだわられたスライドバーです。
CHROMED STEEL #220 / Jim Dunlop
お手頃価格で使いやすいスチール製スライドバーが欲しい人におすすめなのが、Jim Dunlopの「CHROMED STEEL #220」です。
内径が日本のリングサイズで18~19号ほどと他のモデルよりも細めの設計になっているため、フレットの真上を狙いやすくなっています。
厚さもミディアムという、音質と操作性のバランスに優れたものになっているため、初心者でも簡単に本格サウンドを楽しめるのもポイント。
シンプルで全体のバランスに優れた、金属製スライドバーが欲しい人にピッタリのモデルです。
AXYS reversible Guitar Slide / SHUBB
ギター用カポで有名なブランドSHUBBが販売する「AXYS reversible Guitar Slide」は、演奏性に優れた変形型のスライドバーです。
バー部分はブラス素材となっており、円筒型の半分を深く切り取ったような形状になっています。
指にふれるリング部分は、摩擦の少ない樹脂素材を採用し、バー部分がなめらかに回転できるような構造を採用。
特殊な形状と樹脂のリングにより、演奏中のバーと指の切り替えが素早く行えるようになっています。
色々な音色を使い分けたい人、スライドバーの脱着が面倒な人にピッタリな、機能性に優れたスライドバーです。
スライドバーは好みの素材や形状で選ぶのがおすすめ!演奏する曲に合わせて使いこなそう
スライドバーは好みに合った素材や、形状のモデルを選ぶのがおすすめです。
加えて、演奏性を重視するなら変形型、音質を重視するなら大型で厚いモデルといった具合に、厚さや形状に注目すると選びやすくなります。
まずは、好みの音質や演奏スタイル、弾きたい曲に合ったスライドバーを手に入れて、独特なサウンドを楽しんでみてくださいね。
この記事のまとめ!
- スライドバーとは、スライド奏法に使う筒状のアイテム
- 素材や形状によってスライドバーの使い心地やサウンドが変わるので、色々と試してみよう
- スライドバーはミュートに気をつけながら、フレットの真上にバーがくるように使うのが基本
- 形状や大きさ、素材などに注目して選ぶと、自分好みのスライドバーが見つけやすくなる
- スライドバー初心者は厚みのあるガラスタイプや、薄めのスチール、使いやすい変形型を試してみよう