60なかば 歌詞 嘉門タツオ ふりがな付

60なかばの晴はれた日ひに 空そらを見上みあげてふと思おもう
なんとかここまできたけれど この先さきどこまでゆけるのか
血気けっき盛さかんな20代だい ドラマのようにプロポーズ
子宝こだから授さずかり子育こそだてに 夫婦ふうふで追おわれた30代だい
会社がいしゃの業績ぎょうせき好調こうちょうで いろんなトラブル乗のり越こえて
課長かちょう 部長ぶちょうと出世しゅっせして 自分じぶんの居場所いばしょを手てに入はいれて

仕事しごと優先ゆうせんの毎日まいにちに いつしか妻つまとは冷ひえ切きって
けれども子供こどものこと想おもい 荒あら波立なみだてずに暮くらしてる
平穏へいおん無事ぶじが一番いちばんと 言いい聞きかせ暮くらしてる

「毎日まいにち毎日まいにち、決きまった時間じかんに家いえを出でて、満員電車まんいんでんしゃに揺ゆられてさ
会社がいしゃじゃあやることきちっとやって、堅実けんじつにキャリア重かさねてさ
付づき合あいでゴルフ たまの飲のみ会かい
人間にんげん関係かんけいのちょっとしたトラブルも乗のり越こえてねえ
子供こどももいろいろ手間てまはかかったけど、なんとか成長せいちょうしてくれましたよ
勤つとめ上あげました 晴はれて定年ていねん!
ふと鏡かがみに映うつった顔かおを見みて、ええ!年取としとったなあ!はあ……」

まだまだ元気げんきなこの体からだ 行いく場所ばしょ探さがせず持もて余あます
写真しゃしんに川柳せんりゅう 水彩画すいさいが 自分じぶんは何なにがしたいのか
あいつはそば打うち始はじめたよ
スポーツクラブに通かよう奴やつ
ふらっと出でかける映画館えいがかん 入場にゅうじょう料りょうもシニア割わり
膝ひざの痛いたみに股関節こかんせつ
段差だんさもないのにつまずいて
あの人ひとの名前なまえ出でてこない そんな自分じぶんに焦あせる

あいつの訃報ふほうに驚おどろいて 命いのちのはかなさ感かんじてる
自分じぶんが逝いったら子供こどもたち 涙なみだを流ながしてくれるのか

60なかばの晴はれた日ひに 空そらを見上みあげてふと思おもう
人生じんせい100年ねん時代じだいだと言いうけど どこまでゆけるのか
穏おだやかに下くだり坂ざか ゆっくりと歩あるいてく