せめて一花の祝福を 歌詞 初音ミク ふりがな付

暖炉だんろの炎ほのおが煌々こうこうと霞かすむ自意識じいしきを照てらしだして
絵えの具ぐはやがて泥どろに変かわり、それでも眩暈くるめき、美うつくしく

各自てんでの愚劣ぐれつをぶら下さげた、狂くるいに狂くるった蒙昧もうまいどもの
批評家気取ひひょうかきどりの値踏ねぶみの目め、ここに価値かちあるものはないさ

誰だれも見みたこともない景色けしきを誰だれにも見みせることなく描かいた
朽くちゆく心こころに讃美さんびの歌うたを礼讃らいさんの声こえを死しに花ばなに泪なみだを

群青ぐんじょうに染そまりゆく箱庭はこにわに咲さくはとりどりの
悲かなしみに満みち満みちた不揃ふぞろいな造花ぞうかで花束はなたばを
痩やせぎすに瞬またたいた新月しんげつを食はむは白鯨はくげいの
遊波ゆうなみが凪ないだ街まち、その暗くらがりに色いろを塗ぬるよ

行いき場ばを無なくした感情かんじょうが天鵞絨ビロードのインクに混まざれば
炉棚マントルピースの天使てんしたちさざめき静寂しじまをかき消けした

気取きどり屋やたちの迂愚うぐな声こえ、卑いやしい快楽けらくを引ひき連つれては
価値かちすら解かいさぬ哀あわれな目め、げに見みるべきもわからずに

誰だれも見みたこともない景色けしきを誰だれにも見みせることなく描かいた
餓うえる魂たましいに一縷いちるの笑えみを一切ひときれのパンをせめてもの祈いのりを

リキュールに沈しずみゆくアトリエが生うむは雛鳥ひなどりの
そのうち枯からした尾羽おはねを癒いやす止とまり木ぎの木漏こもれ日びよ
憂鬱ゆううつを吸すい込こんで蝶ちょうよ花はなよと育はぐくむ夢ゆめ
両りょうの手てで温あたためて孵かえるその時ときを待まちわびた

枯かれた造花ぞうかに恵めぐみの落涙らくるいを 素晴すばらしき日々ひびにただただ祈いのりを
頑是無がんせなき夢ゆめに帆走ほばしる希望きぼうを 途切とぎれて消きえた視野しやの先さきで

滔々とうとうと 雄弁ゆうべんに語かたることなどできないけど
誰だれからも愛あいされるような人ひとにはなれないけど
あんなにも美うつくしく歌うたうことなどできないけど
カラカラのこのペンで君きみの心象しんしょうに絵えを描かいた

群青ぐんじょうに染そまりゆく箱庭はこにわに咲さくはとりどりの
悲かなしみに満みち満みちた不揃ふぞろいな造花ぞうかで花束はなたばを
痩やせぎすに瞬またたいた新月しんげつを食はむは白鯨はくげいの
遊波ゆうなみが凪ないだ街まち、その暗くらがりに色いろを塗ぬるよ