ひび割われた砂漠さばくの町まち。
生温なまあたたかい雨あめが、銃弾じゅうだんの様ように撃うち付つけていた。
彼かれは部屋へやの片隅かたすみで小ちいさな詩しを書かいて、それを囁ささやくように歌うたったり、祈いのる様ように叫さけんだり、
時ときには粉々こなごなに壊こわしたり。
新あたらしい光ひかりに群むらがる人達ひとたちは、みんな居いなくなった。
彼かれは一羽いちわの鳩はとの様ように、ゆっくりと群むれから離はなれて行いったんだ。
寂さびしくもなく、悲かなしくもない。
彼かれはいつだって自由じゆうで、気持きもち良よいくらいに孤独こどくだった。
遥はるか遠とおくで誰だれかのクラクションがファンファーレの様ように鳴なり響ひびく度たび、
言葉足ことばたらずの、時ときには字余じあまりの不器用ぶきような歌うたは
どこへ行いく当あても無なく、この部屋へやの天井てんじょうあたりをグルグルと回まわっていた。
彼かれは夏なつの魔法まほうに溶とかされてギターを抱かかえたまま眠ねむりの森もりへと迷まよい込こむ。
「狂気きょうきと紙一重かみひとえの勇気ゆうき」
いつの日ひか、この身体からだを抜ぬけ出だしてやって来きた場所ばしょへと帰かえろう。
彼かれは言葉ことばでは説明出来せつめいできない気持きもちをポケットの中なかにしまい込こむ。
そいつに名前なまえを付つけて仲良なかよくやろうと決きめたんだ。
オレンジ色いろの太陽たいようが地平線ちへいせんに触ふれた時とき、
黄金おうごんの輝かがやきが空間くうかんを染そめて、やがて静しずかに消きえて行いく。
柔やわららかい夜よるが再ふたたび世界せかいを包つつみ込こむ。
なんて美うつくしいのだろう。
雨あめに濡ぬれた鳥達とりたちが海うみを渡わたって行いく。
ひびhibi割waれたreta砂漠sabakuのno町machi。
生温namaatatakaいi雨ameがga、銃弾juudanのno様youにni撃uちchi付tsuけていたketeita。
彼kareはha部屋heyaのno片隅katasumiでde小chiiさなsana詩shiをwo書kaいてite、それをsorewo囁sasayaくようにkuyouni歌utaったりttari、祈inoるru様youにni叫sakeんだりndari、
時tokiにはniha粉々konagonaにni壊kowaしたりshitari。
新ataraしいshii光hikariにni群muraがるgaru人達hitotachiはha、みんなminna居iなくなったnakunatta。
彼kareはha一羽ichiwaのno鳩hatoのno様youにni、ゆっくりとyukkurito群muれからrekara離hanaれてrete行iったんだttanda。
寂sabiしくもなくshikumonaku、悲kanaしくもないshikumonai。
彼kareはいつだってhaitsudatte自由jiyuuでde、気持kimoちchi良yoいくらいにikuraini孤独kodokuだったdatta。
遥haruかka遠tooくでkude誰dareかのkanoクラクションkurakusyonがgaファンファfanfaーレreのno様youにni鳴naりri響hibiくku度tabi、
言葉足kotobataらずのrazuno、時tokiにはniha字余jiamaりのrino不器用bukiyouなna歌utaはha
どこへdokohe行iくku当aてもtemo無naくku、このkono部屋heyaのno天井tenjouあたりをatariwoグルグルguruguruとto回mawaっていたtteita。
彼kareはha夏natsuのno魔法mahouにni溶toかされてkasareteギタgitaーをwo抱kakaえたままetamama眠nemuりのrino森moriへとheto迷mayoいi込koむmu。
「狂気kyoukiとto紙一重kamihitoeのno勇気yuuki」
いつのitsuno日hiかka、このkono身体karadaをwo抜nuけke出daしてやってshiteyatte来kiたta場所basyoへとheto帰kaeろうrou。
彼kareはha言葉kotobaではdeha説明出来setsumeidekiないnai気持kimoちをchiwoポケットpokettoのno中nakaにしまいnishimai込koむmu。
そいつにsoitsuni名前namaeをwo付tsuけてkete仲良nakayoくやろうとkuyarouto決kiめたんだmetanda。
オレンジorenji色iroのno太陽taiyouがga地平線chiheisenにni触fuれたreta時toki、
黄金ougonのno輝kagayaきがkiga空間kuukanをwo染soめてmete、やがてyagate静shizuかにkani消kiえてete行iくku。
柔yawaraらかいrakai夜yoruがga再futataびbi世界sekaiをwo包tsutsuみmi込koむmu。
なんてnante美utsukuしいのだろうshiinodarou。
雨ameにni濡nuれたreta鳥達toritachiがga海umiをwo渡wataってtte行iくku。