朝靄あさもやで霞かすんで 隣となり合あう二ふたつの陰かげ
静しずかに 五月雨さみだれが泣なき出だして
雨あめ 雨あめ 雨あめで濡ぬらす
綿密めんみつな言嘘げんうそ[うそ]を何枚なんまいも塗ぬった素肌すはだも
読よみ解とかれる陽炎かげろう[かげろう]の絡からみ目め
君きみの温度おんどを どんな詞し[ことば]にも 今いまは起おこせない
冷ひややかな熱ねつを 私わたしだけが知しっている あゝ
一縷いちるの距離きょりは 月程つきほども近ちかく 何故なぜか届とどかない
詰つめてしまいたい 音おとも無ないような数寸すうすんを
モダンを羽織はおっても肌寒はださむい 夜長よながの陰かげ
桜さくらは然しかして[さして]まだ舞まわないけれど
風かぜ 風かぜ 風かぜが香かおる
行間ぎょうかんに埋いけた[いけた] 火種ひだねが籠こもる戯言ざれごと[ざれごと]
読よみ解といて 私毎わたしまいミラアジュを
君きみの声音こわね[こわね]に ルビなど要いらない 蛇へびの足あしだから
どんな紅玉こうぎょく[こうぎょく]さえ 哀婉あいえんな詞華しか[しか]に霞かすむ あゝ
包つつまれても好いいのなら 外套がいとうの空あき間あいだ 引ひき入いれて
腕うで[かいな]に抱だかれて まるで沸わき立たつ燠火おきひ[おきび]
儚はかない程ほどに 追おいかけてしまう
消きえない様ように 抱だきしめてしまう
雨あめも桜さくらも いずれは泡沫うたかた[うたかた]
文字もじにはできない温度おんどが昂たかぶって 昂たかぶって
私わたしの底そこから
君きみの吐息といきを失うしなわないように 一口閉ひとくちとじ込こめて
熱ねつに中あてられて 引ひき込こまれそうな蜃気楼しんきろう
君きみの纏まとった瑣細さほそな仕草しぐさも むしろ忌いむ程ほどに
只ただの一瞬いっしゅんも 視線逸しせんそらせないから あゝ
ペエジをめくる 皎潔しろきよし[こうけつ]な指ゆびに 触ふれる好奇心こうきしん
落暉らっき[らっき]消きえる頃ころ そっと踏ふみ越こす発火点はっかてん
あゝ あゝ
朝靄asamoyaでde霞kasuんでnde 隣tonaりri合aうu二futaつのtsuno陰kage
静shizuかにkani 五月雨samidareがga泣naきki出daしてshite
雨ame 雨ame 雨ameでde濡nuらすrasu
綿密menmitsuなna言嘘genuso[うそuso]をwo何枚nanmaiもmo塗nuったtta素肌suhadaもmo
読yoみmi解toかれるkareru陽炎kagerou[かげろうkagerou]のno絡karaみmi目me
君kimiのno温度ondoをwo どんなdonna詞shi[ことばkotoba]にもnimo 今imaはha起oこせないkosenai
冷hiyaやかなyakana熱netsuをwo 私watashiだけがdakega知shiっているtteiru あaゝ
一縷ichiruのno距離kyoriはha 月程tsukihodoもmo近chikaくku 何故nazeかka届todoかないkanai
詰tsuめてしまいたいmeteshimaitai 音otoもmo無naいようなiyouna数寸suusunをwo
モダンmodanをwo羽織haoってもttemo肌寒hadasamuいi 夜長yonagaのno陰kage
桜sakuraはha然shikaしてshite[さしてsashite]まだmada舞maわないけれどwanaikeredo
風kaze 風kaze 風kazeがga香kaoるru
行間gyoukanにni埋iけたketa[いけたiketa] 火種hidaneがga籠komoるru戯言zaregoto[ざれごとzaregoto]
読yoみmi解toいてite 私毎watashimaiミラアジュmiraajuをwo
君kimiのno声音kowane[こわねkowane]にni ルビrubiなどnado要iらないranai 蛇hebiのno足ashiだからdakara
どんなdonna紅玉kougyoku[こうぎょくkougyoku]さえsae 哀婉aienなna詞華shika[しかshika]にni霞kasuむmu あaゝ
包tsutsuまれてもmaretemo好iいのならinonara 外套gaitouのno空aきki間aida 引hiきki入iれてrete
腕ude[かいなkaina]にni抱daかれてkarete まるでmarude沸waきki立taつtsu燠火okihi[おきびokibi]
儚hakanaいi程hodoにni 追oいかけてしまうikaketeshimau
消kiえないenai様youにni 抱daきしめてしまうkishimeteshimau
雨ameもmo桜sakuraもmo いずれはizureha泡沫utakata[うたかたutakata]
文字mojiにはできないnihadekinai温度ondoがga昂takaぶってbutte 昂takaぶってbutte
私watashiのno底sokoからkara
君kimiのno吐息toikiをwo失ushinaわないようにwanaiyouni 一口閉hitokuchitoじji込koめてmete
熱netsuにni中aてられてterarete 引hiきki込koまれそうなmaresouna蜃気楼shinkirou
君kimiのno纏matoったtta瑣細sahosoなna仕草shigusaもmo むしろmushiro忌iむmu程hodoにni
只tadaのno一瞬issyunもmo 視線逸shisensoらせないからrasenaikara あaゝ
ペエジpeejiをめくるwomekuru 皎潔shirokiyoshi[こうけつkouketsu]なna指yubiにni 触fuれるreru好奇心koukishin
落暉rakki[らっきrakki]消kiえるeru頃koro そっとsotto踏fuみmi越koすsu発火点hakkaten
あaゝ あaゝ