いつもの店みせの いつもの席せき
いつもの酒さけと いつもの話はなし
どうしたことか今日きょうは いつもの話はなしができない
僕ぼくはと言いうと 変かわらない
いつもの上着うわぎと ボロ靴ぐつを
引ひきずってまたこの店みせに来きているのだが
やっと暖簾のれんが揺ゆれたかと思おもうと
暖簾のれんを揺ゆらしたかと思おもうと
僕ぼくの前まえを素通すどおりし 奥おくの席せきに一人ひとり
名前なまえを呼よんでみるのだが
あいつはこっちを見みない
そのうち主人しゅじんがおかしな顔かおで おかしな顔かおで僕ぼくを見みる
やっとのことで目めが合あったと思おもうと
その口くちを開ひらいて 何なにかを言いおうとしているのだが
聞きこうにもガヤに消けされて
ガヤに消けされていくうちに
その口くちは閉とじて その口くちを閉とじて下したを向むき
僕ぼくを見みようとしない
やりきれぬまま この僕ぼくも
だんだん思おもい出だしてきたのだが
あいつは そう あいつはもういないのだ
気きづいた頃ころには いつもの店みせの
いつもの席せきで いつもの酒さけが
汗あせをかいて待まっていた この僕ぼくを待まっていた
いつものitsumono店miseのno いつものitsumono席seki
いつものitsumono酒sakeとto いつものitsumono話hanashi
どうしたことかdoushitakotoka今日kyouはha いつものitsumono話hanashiができないgadekinai
僕bokuはとhato言iうとuto 変kaわらないwaranai
いつものitsumono上着uwagiとto ボロboro靴gutsuをwo
引hiきずってまたこのkizuttematakono店miseにni来kiているのだがteirunodaga
やっとyatto暖簾norenがga揺yuれたかとretakato思omoうとuto
暖簾norenをwo揺yuらしたかとrashitakato思omoうとuto
僕bokuのno前maeをwo素通sudooりしrishi 奥okuのno席sekiにni一人hitori
名前namaeをwo呼yoんでみるのだがndemirunodaga
あいつはこっちをaitsuhakotchiwo見miないnai
そのうちsonouchi主人syujinがおかしなgaokashina顔kaoでde おかしなokashina顔kaoでde僕bokuをwo見miるru
やっとのことでyattonokotode目meがga合aったとttato思omoうとuto
そのsono口kuchiをwo開hiraいてite 何naniかをkawo言iおうとしているのだがoutoshiteirunodaga
聞kiこうにもkounimoガヤgayaにni消keされてsarete
ガヤgayaにni消keされていくうちにsareteikuuchini
そのsono口kuchiはha閉toじてjite そのsono口kuchiをwo閉toじてjite下shitaをwo向muきki
僕bokuをwo見miようとしないyoutoshinai
やりきれぬままyarikirenumama このkono僕bokuもmo
だんだんdandan思omoいi出daしてきたのだがshitekitanodaga
あいつはaitsuha そうsou あいつはもういないのだaitsuhamouinainoda
気kiづいたduita頃koroにはniha いつものitsumono店miseのno
いつものitsumono席sekiでde いつものitsumono酒sakeがga
汗aseをかいてwokaite待maっていたtteita このkono僕bokuをwo待maっていたtteita