A Love Note For You 歌詞 黒木香 ふりがな付

朝あさの 光ひかりのつぶてをうけ
目覚めざめるたび 私わたくしは
抗あらがうことのかなわぬ力ちからに
くみしかれる思おもいに
襲おそわれるのでございます
それは おそらくは
我わが打うち捨すてたる十字架じゅうじかの
呪縛じゅばく もしくは
恩おん籠ちょうでございますのでしょう

現在いまという都市としの
囚人とらわれびとになりて
罪つみのない戯たわむれに
ただ あなたと溺おぼれる

過か烈れつな夏なつがふと口くちをつぐむ
魔性ましょうの ある昼下ひるさがり
死しに瀕ひんした獣けものが
陶然とうぜんとあえぐ様さまが
ふと 私わたくしの視界しかいをよぎった

もしも 私わたくしを決けっして
許ゆるさないでくださるならば
この淫みだらな口くちにひろがる
無花果いちじくの汁しるを
喉のどにつまらせ
私わたくしは生うまれて初はじめての
激はげしい鳴咽おえつに
むせぶことでありましょう

空そらと海うみが溶とける
夜明よあけの奇蹟きせきを待まつ
地上ちじょうに残のこされた ただ二人ふたりの迷まよい子ご
私わたくしの身体からだに刻きざみ込こまれた
あなたという烙印らくいんは
フェイタルな傷きずとなり
私わたくしの命いのちの証あかしを立たてる

置おき去ざりにされた
エロスの遠とおい岸辺きしべより
官能かんのうのなごりを残のこす指ゆびが
不可思議ふかしぎなるさざ波なみを立たて

こなたに居おる
私わたくしという かたい器うつわの内うちを 熱あつくしめらせる
あの燃もえる夏なつの青あおが
永遠えいえんとも思おもわれた眠ねむりから息いきを吹ふき返かえし
遅過おそすぎたフェスタの狼煙のろしは
高たかく高たかく上あがるのでございます

あの日ひ
眼前がんぜんに迫せまる死しに
もだえていた獣けものは
今いまや
褐色かっしょくの巌いわおとなりぬ