語かたる者ものさえもはや
途絶とだえるほどには
悠はるか遠とおくに掻かき消きえた
記憶きおくは疎そなりて幾星霜いくせいそう
並ならんで寄より添そう人ひとと鬼おにの姿すがた
疑うたがうことを知しらぬほど小ちいさな小ちいさなその姿すがた
信頼しんらいのその証あかし
ゆびきりげんまんひとつ
誓ちかったは嘘うそを吐つかぬこと
ずっと傍そばにいるよと
幼稚ようちな約束やくそくひとつ
御伽おとぎの国くにの恋物語こいものがたり
並ならび立たつ影かげ二ふたつ異形いぎょう象かたどる
まだ見みぬ行ゆく末すえ
語かたるが如ごとく
何処どこと行ゆく先さきわからぬ
風かぜが哭なく
語かたる者ものさえもはや
途絶とだえたほどには
悠はるか遠とおくそこにあった
密みつなる絆きずなは変かわらずに
並ならんで寄より添そう人ひとと鬼おにの姿すがた
信しんずることに飽あかぬほど愛いとしい愛いとしいその姿すがた
約束やくそくを交かわし合あう
対たいする人ひとの望のぞみは
けして涙なみだは見みせぬこと
鬼おにの泣なき顔がおなんぞは
見みたくはないのだと
御伽おとぎの国くにの恋物語こいものがたり
幾夜いくよの果はてに二人ふたりは契ちぎりを交かわす
ならば笑わらおうと
未来みらいを語かたる
それはどこまでも
幸しあわせな姿すがた
幾年いくとしが過すぎ去さって
はたと帰かえらない彼かれは
行方ゆくえを探さがされるまま
変かわり果はてたその姿すがた
哀あわれな鬼おにに晒さらした
御伽おとぎの国くにの悲恋こい物語ものがたり
夜盗やとうかそれともはては妖怪あやかしの仕業しわざか
二に度どと動うごかぬ
その姿すがたから
もはや約束やくそくなど
破やぶられたのだと知しった
咆哮ほうこう 慟哭どうこく 大地だいち揺ゆらす
もはや物言ものいわぬ骸むくろの前まえで
「嘘吐うそつききめ!! 裏切うらぎり者ものめ!
約束やくそく一ひとつ守まもれぬ軟弱者なんじゃくものめ…!」
糾弾きゅうだんの声こえも遂ついには虚むなしく響ひびくのみ
叫さけびはて、
疲つかれはて、
立たち尽つくす、
鬼おにの目めには、
―涙なみだ。
語kataるru者monoさえもはやsaemohaya
途絶todaえるほどにはeruhodoniha
悠haruka遠tooくにkuni掻kaきki消kiえたeta
記憶kiokuはha疎soなりてnarite幾星霜ikuseisou
並naraんでnde寄yoりri添soうu人hitoとto鬼oniのno姿sugata
疑utagaうことをukotowo知shiらぬほどranuhodo小chiiさなsana小chiiさなそのsanasono姿sugata
信頼shinraiのそのnosono証akashi
ゆびきりげんまんひとつyubikirigenmanhitotsu
誓chikaったはttaha嘘usoをwo吐tsuかぬことkanukoto
ずっとzutto傍sobaにいるよとniiruyoto
幼稚youchiなna約束yakusokuひとつhitotsu
御伽otogiのno国kuniのno恋物語koimonogatari
並naraびbi立taつtsu影kage二futaつtsu異形igyou象katadoるru
まだmada見miぬnu行yuくku末sue
語kataるがruga如gotoくku
何処dokoとto行yuくku先sakiわからぬwakaranu
風kazeがga哭naくku
語kataるru者monoさえもはやsaemohaya
途絶todaえたほどにはetahodoniha
悠haruかka遠tooくそこにあったkusokoniatta
密mitsuなるnaru絆kizunaはha変kaわらずにwarazuni
並naraんでnde寄yoりri添soうu人hitoとto鬼oniのno姿sugata
信shinずることにzurukotoni飽aかぬほどkanuhodo愛itoしいshii愛itoしいそのshiisono姿sugata
約束yakusokuをwo交kawaしshi合aうu
対taiするsuru人hitoのno望nozoみはmiha
けしてkeshite涙namidaはha見miせぬことsenukoto
鬼oniのno泣naきki顔gaoなんぞはnanzoha
見miたくはないのだとtakuhanainodato
御伽otogiのno国kuniのno恋物語koimonogatari
幾夜ikuyoのno果haてにteni二人futariはha契chigiりをriwo交kaわすwasu
ならばnaraba笑waraおうとouto
未来miraiをwo語kataるru
それはどこまでもsorehadokomademo
幸shiawaせなsena姿sugata
幾年ikutoshiがga過suぎgi去saってtte
はたとhatato帰kaeらないranai彼kareはha
行方yukueをwo探sagaされるままsarerumama
変kaわりwari果haてたそのtetasono姿sugata
哀awaれなrena鬼oniにni晒saraしたshita
御伽otogiのno国kuniのno悲恋koi物語monogatari
夜盗yatouかそれともはてはkasoretomohateha妖怪ayakashiのno仕業shiwazaかka
二ni度doとto動ugoかぬkanu
そのsono姿sugataからkara
もはやmohaya約束yakusokuなどnado
破yabuられたのだとraretanodato知shiったtta
咆哮houkou 慟哭doukoku 大地daichi揺yuらすrasu
もはやmohaya物言monoiわぬwanu骸mukuroのno前maeでde
「嘘吐usotsukiきめkime!! 裏切uragiりri者monoめme!
約束yakusoku一hitoつtsu守mamoれぬrenu軟弱者nanjakumonoめme…!」
糾弾kyuudanのno声koeもmo遂tsuiにはniha虚munaしくshiku響hibiくのみkunomi
叫sakeびはてbihate、
疲tsukaれはてrehate、
立taちchi尽tsuくすkusu、
鬼oniのno目meにはniha、
―涙namida。