純文学 歌詞 もの憂げ feat. 可不 ふりがな付

「あいしてた」
そんな五ご文字もじに収おさまってたまるか 長編小説ちょうへんしょうせつなのに
君きみからの返事へんじは 決きまっていつも
つぎはぎ シンプルで なんか悔くやしくなる

Hの濃こさじゃ到底とうてい描えがけない Bでもまだどこか物足ものたりない
君きみを描えがけない人生じんせいなんかいらない
どうかしてる 升目ますめも罫線けいせんも飛とび越こえていきたい
句読点くとうてんすら逃にげ出だすような 裸はだかの愛あいをください

もっと素直すなおに言いえたなら 深読ふかよみせずにイケたなら
バカみたいだ 君きみだけでよかった
書かいては消けして繰くり返かえし 最後さいごの強つよがりで五ご文字もじ
送信そうしんした「さようなら」

出逢であった頃ころは書かき順じゅんを守まもって 正ただしく愛あいし愛あいされていたよね
ショートカットできない思おもいで
書かき殴なぐる黒くろは仰々ぎょうぎょうしく 編集者へんしゅうしゃも読者どくしゃも置おきざり
滲にじんだインク擦かすれる頃ころ 純文学じゅんぶんがくも終おわる

もっと素直すなおに聞きかせてよ 推敲すいこうせずに出だしていいよ
バカみたいだ 私わたしじゃダメなのに
何なにも語かたらぬ横顔よこがお ずるいよ やっぱり五ご文字もじだけ
返かえってきた「ありがとう」

誤字ごじや脱字だつじすら愛いとおしい
そんな日々ひびが いつしか二人ふたりにもありました。
パタンと音おとたて 君きみは消きえてった 付箋ふせんつけたまま…

今日きょうは素直すなおに言いえるかな 文脈ぶんみゃくなんて無視むししてさ
「だいきらい」と
この期ごに及および強つよがって 薄うすい五ご文字もじを返かえしても
情なさけないな 行間ぎょうかんが喋しゃべりだす…
脈絡みゃくらくもまとまりもない ただの駄文だぶんだな

割愛かつあいできない渇愛かつあいが 君きみを描えがく 愛あいを描えがかせる

「あいしてる」