『一いち.人形にんぎょうの顔かお』
私わたしの遠とおい親戚しんせきの
家いえにあった古ふるい茶箪笥ちゃだんすに
顔かおのない尼あまの人形にんぎょうが
座すわっていた
笑わらっていた
なぜ笑わらってると思おもったか
今いまとなってはわからないけど
その親戚しんせきは今いま
なぜか家いえの前まえにいる
お姫ひめ様さまは赤あかい指ゆびをなめて
けらけらと笑わらい白目しろめむいた
鳥とりも鳴なかぬ昼下ひるさがりの庭にわに
輪わになり歌うたうたうたくさんの子供こども
かわいいひめさんなにしとる
くちをほおぽりわろうとる
なにがそんなにおかしいか
なにがそんなにおかしいか
『二に.記憶きおくの夏なつ』
かび臭くさい一いち畳じょう間まで
浅あさい眠ねむりから覚さめていく
私わたしは九きゅう歳さいの夏なつに
消きえた妹いもうとを思おもい出だしてた
彼女かのじょは目元めもとに小ちいさな
ほくろのあるかわいい女おんなの子こ
思おもい出だした
彼女かのじょがいなくなったのは
親戚しんせきの家いえだった
お殿様とのさまはいつか案あんじられて
娘むすめを寺てらに出だすことにした
敷しき布ふが赤あかく濡ぬれる夜半やはんに
すべての秘密ひみつがあふれだす
頭あたまの奥おくに深ふかく押おし込こめた
記憶きおくが次第しだいに色いろを帯おびる
森もりに切きり取とられた歪いびつな空そら
吐はき気けのするワゴン車しゃのにおい
私わたしの手てに真まっ赤かな八重やえの花はな
一いち畳じょう間まはいつかあの日ひの午後ごご
買かったばかりの靴くつでころがした
顔かおの目元めもとには小ちいさなほくろ
とのさんまいにちなきはらし
おなじことばをしゃべっとる
なにがそんなにかなしいか
なにがそんなにかなしいか
『一ichi.人形ningyouのno顔kao』
私watashiのno遠tooいi親戚shinsekiのno
家ieにあったniatta古furuいi茶箪笥chadansuにni
顔kaoのないnonai尼amaのno人形ningyouがga
座suwaっていたtteita
笑waraっていたtteita
なぜnaze笑waraってるとtteruto思omoったかttaka
今imaとなってはわからないけどtonattehawakaranaikedo
そのsono親戚shinsekiはha今ima
なぜかnazeka家ieのno前maeにいるniiru
おo姫hime様samaはha赤akaいi指yubiをなめてwonamete
けらけらとkerakerato笑waraいi白目shiromeむいたmuita
鳥toriもmo鳴naかぬkanu昼下hirusaがりのgarino庭niwaにni
輪waになりninari歌utaうたうたくさんのutautakusanno子供kodomo
かわいいひめさんなにしとるkawaiihimesannanishitoru
くちをほおぽりわろうとるkuchiwohooporiwaroutoru
なにがそんなにおかしいかnanigasonnaniokashiika
なにがそんなにおかしいかnanigasonnaniokashiika
『二ni.記憶kiokuのno夏natsu』
かびkabi臭kusaいi一ichi畳jou間maでde
浅asaいi眠nemuりからrikara覚saめていくmeteiku
私watashiはha九kyuu歳saiのno夏natsuにni
消kiえたeta妹imoutoをwo思omoいi出daしてたshiteta
彼女kanojoはha目元memotoにni小chiiさなsana
ほくろのあるかわいいhokuronoarukawaii女onnaのno子ko
思omoいi出daしたshita
彼女kanojoがいなくなったのはgainakunattanoha
親戚shinsekiのno家ieだったdatta
おo殿様tonosamaはいつかhaitsuka案anじられてjirarete
娘musumeをwo寺teraにni出daすことにしたsukotonishita
敷shiきki布fuがga赤akaくku濡nuれるreru夜半yahanにni
すべてのsubeteno秘密himitsuがあふれだすgaafuredasu
頭atamaのno奥okuにni深fukaくku押oしshi込koめたmeta
記憶kiokuがga次第shidaiにni色iroをwo帯oびるbiru
森moriにni切kiりri取toられたrareta歪ibitsuなna空sora
吐haきki気keのするnosuruワゴンwagon車syaのにおいnonioi
私watashiのno手teにni真maっxtu赤kaなna八重yaeのno花hana
一ichi畳jou間maはいつかあのhaitsukaano日hiのno午後gogo
買kaったばかりのttabakarino靴kutsuでころがしたdekorogashita
顔kaoのno目元memotoにはniha小chiiさなほくろsanahokuro
とのさんまいにちなきはらしtonosanmainichinakiharashi
おなじことばをしゃべっとるonajikotobawosyabettoru
なにがそんなにかなしいかnanigasonnanikanashiika
なにがそんなにかなしいかnanigasonnanikanashiika